これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

ピスタチオにかくれんぼ

2010年08月29日 20時16分56秒 | エッセイ
 私は片付けが苦手だ。
 しかし、散らかった部屋は嫌いなので、邪魔なものはすべて隅っこに追いやっている。その結果、すくすくと邪魔者の山が育ち、大きくなってくる。
 今日は、ついにこの山を切り崩さねばと決心した。
 冬の小物は所定の場所へ、腰のベルトは屋根裏収納庫、帽子は押入れ、サンバイザーも押入れへ……。
 着々と片づけが進んでいく。最初から山にせず、その都度こうやって収納していけば楽なのに、どうしてやる気にならないのだろう。自分のものぐさ加減に呆れる。
 下のほうには、旅行のおみやげが埋まっていた。
 まず、姉が台湾に行ったとき、買ってきてくれたものが出てきた。



 この、干からびたニンニクのようなものをお湯や水に入れると、お花に変身するのだ。



 東方美人茶である。パッケージの写真は、もっと鮮やかな黄色なのに、この花は茶色だ。もっと新鮮なうちに飲めばよかった。味もなかなかだ。

 次に、母がトルコに行ったとき、もらった袋が出てきた。
「ピスタチオが入っているからね」と言われたので、実は開けてもいない。私にとって、ピスタチオは好物ではない。きちんと礼は言ったが、心の中では「いらねー」を連発する。すぐに捨てるのも悪いから、しばらく置いてから捨てようと考えていた。
 かれこれ5カ月も経っている。そろそろ処分する頃合だろうと袋を開けてみると、出てきたのはピスタチオではなく、細長い小さな箱だった。側面には「カッパドキア」という文字が躍り、てっぺんのラベルには控えめに「ワイン」と書かれている。私は目を剥いた。

 なんですって!!

 ピスタチオは不用品だが、ワインは必需品である。ドキドキしながら箱を開けてみると、カッパドキアの不可思議な瓶が現れた。これはユニークだ!
 さらに、ワインの隣にはトルコ産とおぼしきビールもあり、まるで宝を掘り当てたような幸福感を感じた。



 まったく人が悪い。一言、「ワインとビールも入っているよ」と教えてくれればいいのに、何も言わないのだから。
 でも、娘の好きなものを買ってくる親心に、胸がほんわかしてくる。年寄りにとっては、重くて大変だったろう。いくつになっても、お母さんはありがたい存在なのだ。

 うれしくて、母に感謝の気持ちを伝えたくなった。でも、何といえば言いのだろう……。
「もらったピスタチオを捨てようとして袋を開けたら、ワインとビールを見つけたよ。どうもありがとう」では角が立ちまくりである。
 結局、「この前もらったトルコビールを飲んでみたの。マイルドで、すごく美味しかった。カッパドキアのワインは、もったいなくて飲んでないよ。いいものくれてありがとね」にした。電話ではボロが出そうだ。メールでさりげなさを装い送信する。
 間もなく、母から返信がきた。やけに短い文だ。
「気に入ってもらえてよかった」

 ん? 見抜かれている!?




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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (14)
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