昨日は、エッセイ教室の忘年会だった。
一緒に入会している姉が、たまたま正面に座ったので、自然と装いに目が行く。姉は、普段、お堅いスーツばかりなのに、オフのその日はラフなニットを着ていた。
若草色のそのニットは、ファスナーつきで、前開きのスタイルだ。身頃や袖のゆとりといい、ファスナーを上げるとスタンドカラーになる形といい、カーディガンではないものを連想させる。
私はつい、率直な意見を口にした。
「それ、ジャージみたいね」
「えっ、ジャージ!? 違うわよ!」
姉は、少々気を悪くして否定する。しかし、見れば見るほど、ジャージのような気がしてきた。
姉の隣に座った仲間は、黒い羽に似た飾りのついたカットソーをまとっている。ふわふわしていて、柔らかそうだ。
「それ、すごくオシャレですね。ちょっと触ってもいいですか?」
「いいわよ~! もらいものなんだけど、カラスみたいって言われるの」
「カラス!!」
私も姉も噴出した。なかなかうまいことを言う。
「ああ、のどが渇いた。今日は整体に行く日だったから、余裕で間に合う時間にしたのに、人身事故で電車が止まっちゃって、散々な目にあったわ! 早くビールが飲みたい」
メニューを見ながら、姉が何やらつぶやいている。
ようやく私は納得した。
「ああ、整体に行ったのね。それでジャージなのか」
間髪入れずに返事がある。
「だから、ジャージじゃないってば!」
姉が学生の頃、気に入って買った服にもあだ名があった。
「どう? いいでしょ、これ」と自信たっぷりに見せられたコットンシャツは、白地に淡いブルー、イエローの、太めのストライプが入っていた。パステル調のやさしい色づかいだが、どこかで見たようなおぼえがある。

いきなり、母が核心を突いた。
「なんか、パジャマみたいね~!」
「パジャマ!!」
私も姉も大笑いだったが、姉だけは「パジャマじゃないわよ、失礼ね」と口を尖らせた。
この場合、太めの縦縞が災いしたようだ。
しかし、細ければよいというものでもない。
同じ職場の30代男性が、紺と赤の細いストライプが入った、白いシャツを着てきたことがあった。

ひと目見て、シャツのニックネームが浮かんできた。
金銭出納帳……。

彼のシャツは、市販の帳簿に印刷されている罫線に、そっくりだったのだ。
そういえば、しばらくかのシャツを目にしていないが、同僚に漏らしたひと言がめぐりめぐって、本人の耳にまで届いてしまったのかもしれない。
決して悪気はないのだが、ビッタリの例えがひらめくと、黙っていられない性分なので、大目に見てもらいたい。
生徒も、私に負けず劣らず正直である。
緑色のミニのワンピースを着ていけば「ピーターパン」、茶色の床まで届きそうなツーピースには「スカーレット・オハラ」などと名づけてくれる。中身が、かけ離れているところが申し訳ない。
蛇足だが、今日、スーパーまで買い物に出かけたら、高級外車B○Wを3台見かけた。
あの車には、いつもギョッとさせられる。
豚みたい……。
正面から見たデザインが、豚の鼻を思わせるのだ。
ユーザーには申し訳ないが、買えない者のひがみだと、寛容に受け流していただきたい。

楽しんでいただけましたか? クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
一緒に入会している姉が、たまたま正面に座ったので、自然と装いに目が行く。姉は、普段、お堅いスーツばかりなのに、オフのその日はラフなニットを着ていた。
若草色のそのニットは、ファスナーつきで、前開きのスタイルだ。身頃や袖のゆとりといい、ファスナーを上げるとスタンドカラーになる形といい、カーディガンではないものを連想させる。
私はつい、率直な意見を口にした。
「それ、ジャージみたいね」
「えっ、ジャージ!? 違うわよ!」
姉は、少々気を悪くして否定する。しかし、見れば見るほど、ジャージのような気がしてきた。
姉の隣に座った仲間は、黒い羽に似た飾りのついたカットソーをまとっている。ふわふわしていて、柔らかそうだ。
「それ、すごくオシャレですね。ちょっと触ってもいいですか?」
「いいわよ~! もらいものなんだけど、カラスみたいって言われるの」
「カラス!!」
私も姉も噴出した。なかなかうまいことを言う。
「ああ、のどが渇いた。今日は整体に行く日だったから、余裕で間に合う時間にしたのに、人身事故で電車が止まっちゃって、散々な目にあったわ! 早くビールが飲みたい」
メニューを見ながら、姉が何やらつぶやいている。
ようやく私は納得した。
「ああ、整体に行ったのね。それでジャージなのか」
間髪入れずに返事がある。
「だから、ジャージじゃないってば!」
姉が学生の頃、気に入って買った服にもあだ名があった。
「どう? いいでしょ、これ」と自信たっぷりに見せられたコットンシャツは、白地に淡いブルー、イエローの、太めのストライプが入っていた。パステル調のやさしい色づかいだが、どこかで見たようなおぼえがある。

いきなり、母が核心を突いた。
「なんか、パジャマみたいね~!」
「パジャマ!!」
私も姉も大笑いだったが、姉だけは「パジャマじゃないわよ、失礼ね」と口を尖らせた。
この場合、太めの縦縞が災いしたようだ。
しかし、細ければよいというものでもない。
同じ職場の30代男性が、紺と赤の細いストライプが入った、白いシャツを着てきたことがあった。

ひと目見て、シャツのニックネームが浮かんできた。
金銭出納帳……。

彼のシャツは、市販の帳簿に印刷されている罫線に、そっくりだったのだ。
そういえば、しばらくかのシャツを目にしていないが、同僚に漏らしたひと言がめぐりめぐって、本人の耳にまで届いてしまったのかもしれない。
決して悪気はないのだが、ビッタリの例えがひらめくと、黙っていられない性分なので、大目に見てもらいたい。
生徒も、私に負けず劣らず正直である。
緑色のミニのワンピースを着ていけば「ピーターパン」、茶色の床まで届きそうなツーピースには「スカーレット・オハラ」などと名づけてくれる。中身が、かけ離れているところが申し訳ない。
蛇足だが、今日、スーパーまで買い物に出かけたら、高級外車B○Wを3台見かけた。
あの車には、いつもギョッとさせられる。
豚みたい……。
正面から見たデザインが、豚の鼻を思わせるのだ。
ユーザーには申し訳ないが、買えない者のひがみだと、寛容に受け流していただきたい。

楽しんでいただけましたか? クリックしてくださるとウレシイです♪
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)