これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

20121212

2012年12月13日 21時11分33秒 | エッセイ
 ロシアでは、2012年12月12日が非常に縁起の良い日だったため、モスクワ市内で1千組以上の結婚式が行われたそうだ。フェイスブックの友人は日本人だが、「12月12日12時ごろ入籍しました」とつぶやいていた。
 ごちそうさま。
 幸せいっぱいのカップルが多い一方で、私はツキから見放されていた。
 まず、お昼ご飯を食べていたときだ。水曜日は忙しいので、パッパとすませなければならない。急いでいると、ろくなことがないとわかっていたのに。
「イタッ!」
 案の定、失敗し、口の粘膜を噛んでしまった。



 ジンジンしたまま授業に行ったものの、口が思うように動かず、「はがはが」とわけのわからぬ話をした。まあ、ちゃんと話せたところで、生徒は聞いていないのだが。
 放課後は、長~い会議に時間を取られ、翌日の授業準備ができなかった。残って仕事をしたくても、その日にかぎってPTAとの飲み会が予定されている。ギリギリまでパソコンに入力し、続きは帰ってからやることにした。飲んだあとの仕事はツラいが、背に腹は代えられない。
 一緒に行く同僚が、「そろそろ出られますか」と声を掛けてくる。4人いるので、バスではなくタクシーで行こうという話になっていた。そのほうが安いのだ。ロッカーからバッグとコートを取り出し、玄関へと急いだ。
 飲み会では、親しい保護者の隣になった。
「笹木先生、異動は?」
「しませんよ。また来年もよろしくお願いします」
 中華料理をつつきながら、楽しく話していたら、あっという間にお開きとなった。
 私は「カエルコール」をするために、携帯電話を探した。しかし、見当たらない。
 ときどき、職場に忘れることがあるので、そのときは「またやったか」と苦笑した程度だったのだが……。
 唇にリップクリームを塗ろうと、化粧ポーチに手を伸ばしたら、それも見つからない。よく見たら、弁当箱も手帳も入っていない。あわてて出てきたので、すべて忘れてきたらしい。「いったい、何をやっているのか」と、ひどく絶望的な気持ちになった。できれば取りに戻りたい気分だが、そんな体力も残っていない。
「三本締め、お願いしま~す」
 酔って顔を赤らめたお母さんたちが、男性教員と仲よくはしゃいでいる。
 心はグレーだったが、威勢のいい拍手に加わり、一番に店から飛び出した。
 しかし、家に着いたら眠くなってしまった。結局、その日は無理せず寝て、翌朝4時半に起きてパソコンに向かう破目になった。とことん、ついていない。
 
 モスクワの人たちに、私の幸せを吸い取られちゃったかな?
 早く、取り返してこなくちゃ。
 口の中が、まだ腫れている。


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (14)
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