6月の第3日曜は父の日であるが、夫の誕生日も近いので、一緒くたにしてお祝いする。ごちそうもケーキも1回ですむ。ついでに、プレゼントも1個でいいから、実に経済的だ。
一方、私の誕生日は10月である。母の日に近い、5月2週あたりが誕生日だったら大変だ。2回も楽しみが待っていることに優越感を感じる。
誕生日の前日、デパートに行った。Tシャツかポロシャツを買ってやろうと思ったのだ。しかし、出かけるところといえば、スーパーくらいしかない夫が、果たして袖を通すか疑問である。投資に見合った見返りが期待できないなら、他のものにしたほうがいい。
「そうだ、パジャマなんかどうかしら」
夫は睡眠時間が長い。22時には布団に入り、起きるのは7時すぎ。その間、パジャマは肉厚な夫の下敷きとなり、伸びたり破れたりして、短期間でヨレヨレになってしまう。
紳士服のフロアでパジャマを探すと、オシャレなデザインがいくつもあった。その辺のスーパーとは品ぞろえが違う。青のボーダー柄でLLサイズを選び、レジに持っていくと、担当のお姉さんがぎこちない笑顔で尋ねてきた。
「父の日用ですか?」
少々迷ったが、「はい」と答えた。
「黄色の造花を入れることもできますが、どうされますか」
「じゃあ、お願いします」
「包装紙とリボンのお色は……」
紳士服売り場には、精鋭の店員がいない気がする。接客業にしては、棒読み調の話し方をし、ラッピングに10分もかかったお姉さんであった。
誕生日当日は、仕事帰りにケーキ屋さんに寄った。職場の近くには、美味しいお店があるのだ。ホールで4~5人用と書いてあるから、義母の分を入れればちょうどいいかもしれない。
「お誕生日ですか? プレートのお名前はどういたしましょう?」
私は答えに窮した。子どもの名前だったら、「〇〇ちゃん」だの「△△くん」だのと、可愛く書いてもらえる。しかし、高齢者に分類される男に、「△△くん」はイタイ。まさか、あだ名の「牛さん」などとするわけにもいかないし。
「…………」
「お父さん、お誕生日おめでとう」
「ありがとう」
まずはプレゼント。

黄色の造花があるだけで、2倍もの贈り物をした錯覚に陥る。
お寿司のあとはケーキ。

ファーストネームは避け、プレートには無難に「パパ」と書いてもらった。売り子さんも、楽チンでよかっただろう。
「ホワイトチョコレートだ!」
夫はプレートをつまみ、真っ先に口に放り込んだ。おやおや、気に入ってもらえたらしい。
今までカットケーキばかりだったから、念願のプレートだったのかもしれない。

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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
一方、私の誕生日は10月である。母の日に近い、5月2週あたりが誕生日だったら大変だ。2回も楽しみが待っていることに優越感を感じる。
誕生日の前日、デパートに行った。Tシャツかポロシャツを買ってやろうと思ったのだ。しかし、出かけるところといえば、スーパーくらいしかない夫が、果たして袖を通すか疑問である。投資に見合った見返りが期待できないなら、他のものにしたほうがいい。
「そうだ、パジャマなんかどうかしら」
夫は睡眠時間が長い。22時には布団に入り、起きるのは7時すぎ。その間、パジャマは肉厚な夫の下敷きとなり、伸びたり破れたりして、短期間でヨレヨレになってしまう。
紳士服のフロアでパジャマを探すと、オシャレなデザインがいくつもあった。その辺のスーパーとは品ぞろえが違う。青のボーダー柄でLLサイズを選び、レジに持っていくと、担当のお姉さんがぎこちない笑顔で尋ねてきた。
「父の日用ですか?」
少々迷ったが、「はい」と答えた。
「黄色の造花を入れることもできますが、どうされますか」
「じゃあ、お願いします」
「包装紙とリボンのお色は……」
紳士服売り場には、精鋭の店員がいない気がする。接客業にしては、棒読み調の話し方をし、ラッピングに10分もかかったお姉さんであった。
誕生日当日は、仕事帰りにケーキ屋さんに寄った。職場の近くには、美味しいお店があるのだ。ホールで4~5人用と書いてあるから、義母の分を入れればちょうどいいかもしれない。
「お誕生日ですか? プレートのお名前はどういたしましょう?」
私は答えに窮した。子どもの名前だったら、「〇〇ちゃん」だの「△△くん」だのと、可愛く書いてもらえる。しかし、高齢者に分類される男に、「△△くん」はイタイ。まさか、あだ名の「牛さん」などとするわけにもいかないし。
「…………」
「お父さん、お誕生日おめでとう」
「ありがとう」
まずはプレゼント。

黄色の造花があるだけで、2倍もの贈り物をした錯覚に陥る。
お寿司のあとはケーキ。

ファーストネームは避け、プレートには無難に「パパ」と書いてもらった。売り子さんも、楽チンでよかっただろう。
「ホワイトチョコレートだ!」
夫はプレートをつまみ、真っ先に口に放り込んだ。おやおや、気に入ってもらえたらしい。
今までカットケーキばかりだったから、念願のプレートだったのかもしれない。

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