来週は、エッセイ教室の忘年会がある。
先日、リーダーからメールが送られてきた。
「今回はプレゼント交換をしましょう。プロが書いたエッセイ集を一冊、用意してください」
各自のお気に入りを持ち寄り、読み比べるのもまた一興というわけだ。これという本を探さなくては。
「うーん、何にしよう……」
私の好みはユーモアのあるエッセイだ。原田宗典にあたりをつけて、ジュンク堂に行く。ネットで買うほうが楽なのだが、中身はすっかり忘れている。実物を見て、「ああ、こういう話だったな」と思い出さなくてはいけない。
ところが、原田宗典の本は品ぞろえが悪かった。代わりに、妹の原田マハがたくさん並んでいる。
いつのまに!
時代の移り変わりを感じるばかりだった。
次の候補を考える。土屋賢二はどうだろう。売れているのか、本棚にはズラリと著書が並んでいる。一冊手に取って中を見ると、作者の経歴が書いてあった。どうやら、哲学者が本業のようだ。となると、今回の趣旨からズレているかもしれない。
「これもダメかぁ……」
米原万里も、涙が滲むくらい笑わせてくれる本を書いているが、本業はロシア語通訳。同様の理由でやめておいた。
当てもなく売り場をうろついていたら、江國香織が目に入った。『とるにたらないものもの』はタイトルだけ聞いたことがある。すぐさま棚に駆け寄り、「これはどうだ?」とページをめくってみた。
この人の文章は、夕焼けの空のように美しい。独特のリズムを刻みながら、優雅な情景を描き出し、いつしか、まったく異質な世界に入り込んでいく。これを読んだら、自分のエッセイが変化するような気がした。
しかし、読み進んでいくと、だんだん飽きてくる。事件がないからだろうか。目の肥えた熟女たちには単調かもしれないと、泣く泣く本棚に戻した。
「仕方がないな……」
実は、どうしても見つからなかったら、これにしようと決めていた本がある。
辻 仁成著 『そこに僕はいた』
『冷静と情熱のあいだ』を読んだことがきっかけで、辻仁成の作品に興味を持った。この本は図書館で借りたのだが、単なる昔話をユーモラスに描写するだけでなく、今にどうつながっているかが描かれていて、妙に心に響く。「教訓になるな」と思う部分もあり、プロの技量を感じた作品である。
探してみたら、「やっと来たか」と言わんばかりに、本棚で待っていた。ピックアップして、レジに持って行く。
おそらく、10年ぶりの再会である。忘年会までに、もう一度目を通しておこう。お姉さま方も、気に入ってくれるとよいのだが。
さて、みなさんだったら、どの本を選びますか?
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
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「うーん、何にしよう……」
私の好みはユーモアのあるエッセイだ。原田宗典にあたりをつけて、ジュンク堂に行く。ネットで買うほうが楽なのだが、中身はすっかり忘れている。実物を見て、「ああ、こういう話だったな」と思い出さなくてはいけない。
ところが、原田宗典の本は品ぞろえが悪かった。代わりに、妹の原田マハがたくさん並んでいる。
いつのまに!
時代の移り変わりを感じるばかりだった。
次の候補を考える。土屋賢二はどうだろう。売れているのか、本棚にはズラリと著書が並んでいる。一冊手に取って中を見ると、作者の経歴が書いてあった。どうやら、哲学者が本業のようだ。となると、今回の趣旨からズレているかもしれない。
「これもダメかぁ……」
米原万里も、涙が滲むくらい笑わせてくれる本を書いているが、本業はロシア語通訳。同様の理由でやめておいた。
当てもなく売り場をうろついていたら、江國香織が目に入った。『とるにたらないものもの』はタイトルだけ聞いたことがある。すぐさま棚に駆け寄り、「これはどうだ?」とページをめくってみた。
この人の文章は、夕焼けの空のように美しい。独特のリズムを刻みながら、優雅な情景を描き出し、いつしか、まったく異質な世界に入り込んでいく。これを読んだら、自分のエッセイが変化するような気がした。
しかし、読み進んでいくと、だんだん飽きてくる。事件がないからだろうか。目の肥えた熟女たちには単調かもしれないと、泣く泣く本棚に戻した。
「仕方がないな……」
実は、どうしても見つからなかったら、これにしようと決めていた本がある。
辻 仁成著 『そこに僕はいた』
『冷静と情熱のあいだ』を読んだことがきっかけで、辻仁成の作品に興味を持った。この本は図書館で借りたのだが、単なる昔話をユーモラスに描写するだけでなく、今にどうつながっているかが描かれていて、妙に心に響く。「教訓になるな」と思う部分もあり、プロの技量を感じた作品である。
探してみたら、「やっと来たか」と言わんばかりに、本棚で待っていた。ピックアップして、レジに持って行く。
おそらく、10年ぶりの再会である。忘年会までに、もう一度目を通しておこう。お姉さま方も、気に入ってくれるとよいのだが。
さて、みなさんだったら、どの本を選びますか?
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