新年あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/1b/2a6ab980ad7925ab95cafb2343d6276c.jpg)
毎年、元日は親族との新年会である。
料理は、姉や妹、母とダブらないよう事前に相談し、それぞれが作ったり買ったりして持ち寄るが、今年はニューフェイスが加わった。
「ミキも作りたい!」
大学1年の娘も名乗りを上げ、「玉子豆腐」で参戦することになったのだ。少し手伝ってあげたけれど、ほとんど一人で完成させた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/cd/085da8522fcdc2895c614b3aa2b2bd50.jpg)
表面のツブツブは、インスタントのだしを使った証拠である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/1c/f3a831aeb7e425314a35a3aa3705c6d0.jpg)
母が手抜きなので、それがスタンダードになっているのだと反省した。
「こんばんは~」
妹の家に着くと、義弟が一生懸命牛肉を焼いていた。今日は休みが取れたようだ。
「あけましておめでとうございます」
「あけましておめでとうございます」
身内といっても、こういう場での挨拶はきちんとするのが習わしだ。両親や姉夫婦はすでに来ていたので、これで全員集合となる。準備ができたところで、シャンパン係の姉が立ち上がった。
「今年は、クリスタルってシャンパンのロゼにしたわ。ロシア皇帝の愛したシャンパーニュって言われているのよ」
「わあ、すごーい! きれいなラベルねぇ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/14/8666d1764ecee0ab9fd8858cfbcfbcc2.jpg)
姉がボトルを掲げると、いっせいに歓声があがった。コルクを抜けば、宴会の始まりだ。
クリスタルは、甘味と酸味のバランスがとれていて、絶妙の口あたりである。ゴクンと飲みこめば、フルーティーな風味が喉から立ち上ってくる。後味スッキリで実に美味しい。ロシア皇帝でなくても虜になりそうだ。
「玉子豆腐いただきまーす」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/ce/bb92bbfa3b78afb0090ab48ee916068f.jpg)
73歳の母が、さっそく娘の料理に箸をつけた。
「うん、美味しいよ!」
様子を見ていた義弟も、玉子豆腐の器を取り上げる。
「ミキちゃん、美味しくできてる」
口々に褒められて、本人は少々照れているようだった。実は、切り分けたあと、型から取り出すのが大変だったのだ。フライ返しを借りて、四苦八苦した舞台裏をチラリ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/99/e6449cd2177db8c4632e80695f327c59.jpg)
誰もが絶賛したクリスタルがなくなったあと、私はバッグに忍ばせてきた「ゆずとジンジャーの梅酒」というボトルを開けた。やたらと甘くてドロドロしているところが好きなのだ。
「あっ、この梅酒、南高梅を使っているぞ。もったいないなぁ」
ラベルを目にした義兄が驚きの声を上げた。彼は、南高梅は梅干しにするのが一番だと思っているようで、妙な梅酒に加工されるのが気に入らないらしい。
「南高梅か、道理で美味しいと思った」
原材料には無頓着だった私も、まじまじと眺めてみた。そこに妹が、したり顔で割り込んでくる。
「ちょっとちょっと。なんこうばい、じゃなくて、なんこううめ、が正しいんだって」
「えっ、本当?」
「音読みが続いたあとに訓読み? おかしいでしょ」
「あはは、変~」
いわゆる、重箱読みというヤツか。ひとつ利口になったかも。こんなことでも盛り上がるわが親族……。
姉はチーズを何種類か持ってきてくれた。
「この白いチーズ、マイルドでいいね!」
「それはパルミジャーノ。粉状にするとパルメザンだよ」
「あれか! 道理で馴染みのある味だと思った」
義弟の焼いたステーキは、適度に脂がのっていて軟らかく、何度も箸を往復させた。ステーキソースもあったが、粗塩におろしたての山葵を添えていただくのが最高!
妹は、ペコロスとよばれる小玉ネギを使った料理を用意していた。やわらかく煮たペコロスに、肉みそをかけていただくと、体が温まる。これはかなり好評だった。
「うわあ、この料理、初めて食べた。美味しいね」
「玉ねぎが軟らかいし、肉みそもいい味」
たぶん、妹が作った唯一の料理と思われるが、これは大ヒット。私も真似しなくては。
「奈津、ご飯は炊いてあるの?」
母が疑惑のまなざしを妹に向けた。クリスマス会では、おにぎりを作ろうとしたとき、お釜がからっぽだったことを心配しているのだ。奈津は、思い出し笑いをこらえながら答える。
「今日は大丈夫。もう炊いてあるから」
「そう? ならよかった」
母は、おあずけを食らう破目にならないとわかり、ホッとしたようだ。
「じゃあ、次はグリューワインね。温めるから鍋貸して」
話題が途切れることなく、新年会は続いていく。23時半を回った頃、ようやくお開きとなった。
「ごちそうさまでした。おやすみ~」
帰りの車の中で、新年の抱負が浮かんできた。
今年は、昆布とかつおぶしから、だしがとれるようになるぞ~!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/18/b2b19eb2db2595e3407c99e2498c999f.png)
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
今年もよろしくお願いいたします。
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毎年、元日は親族との新年会である。
料理は、姉や妹、母とダブらないよう事前に相談し、それぞれが作ったり買ったりして持ち寄るが、今年はニューフェイスが加わった。
「ミキも作りたい!」
大学1年の娘も名乗りを上げ、「玉子豆腐」で参戦することになったのだ。少し手伝ってあげたけれど、ほとんど一人で完成させた。
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表面のツブツブは、インスタントのだしを使った証拠である。
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母が手抜きなので、それがスタンダードになっているのだと反省した。
「こんばんは~」
妹の家に着くと、義弟が一生懸命牛肉を焼いていた。今日は休みが取れたようだ。
「あけましておめでとうございます」
「あけましておめでとうございます」
身内といっても、こういう場での挨拶はきちんとするのが習わしだ。両親や姉夫婦はすでに来ていたので、これで全員集合となる。準備ができたところで、シャンパン係の姉が立ち上がった。
「今年は、クリスタルってシャンパンのロゼにしたわ。ロシア皇帝の愛したシャンパーニュって言われているのよ」
「わあ、すごーい! きれいなラベルねぇ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/14/8666d1764ecee0ab9fd8858cfbcfbcc2.jpg)
姉がボトルを掲げると、いっせいに歓声があがった。コルクを抜けば、宴会の始まりだ。
クリスタルは、甘味と酸味のバランスがとれていて、絶妙の口あたりである。ゴクンと飲みこめば、フルーティーな風味が喉から立ち上ってくる。後味スッキリで実に美味しい。ロシア皇帝でなくても虜になりそうだ。
「玉子豆腐いただきまーす」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/ce/bb92bbfa3b78afb0090ab48ee916068f.jpg)
73歳の母が、さっそく娘の料理に箸をつけた。
「うん、美味しいよ!」
様子を見ていた義弟も、玉子豆腐の器を取り上げる。
「ミキちゃん、美味しくできてる」
口々に褒められて、本人は少々照れているようだった。実は、切り分けたあと、型から取り出すのが大変だったのだ。フライ返しを借りて、四苦八苦した舞台裏をチラリ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/99/e6449cd2177db8c4632e80695f327c59.jpg)
誰もが絶賛したクリスタルがなくなったあと、私はバッグに忍ばせてきた「ゆずとジンジャーの梅酒」というボトルを開けた。やたらと甘くてドロドロしているところが好きなのだ。
「あっ、この梅酒、南高梅を使っているぞ。もったいないなぁ」
ラベルを目にした義兄が驚きの声を上げた。彼は、南高梅は梅干しにするのが一番だと思っているようで、妙な梅酒に加工されるのが気に入らないらしい。
「南高梅か、道理で美味しいと思った」
原材料には無頓着だった私も、まじまじと眺めてみた。そこに妹が、したり顔で割り込んでくる。
「ちょっとちょっと。なんこうばい、じゃなくて、なんこううめ、が正しいんだって」
「えっ、本当?」
「音読みが続いたあとに訓読み? おかしいでしょ」
「あはは、変~」
いわゆる、重箱読みというヤツか。ひとつ利口になったかも。こんなことでも盛り上がるわが親族……。
姉はチーズを何種類か持ってきてくれた。
「この白いチーズ、マイルドでいいね!」
「それはパルミジャーノ。粉状にするとパルメザンだよ」
「あれか! 道理で馴染みのある味だと思った」
義弟の焼いたステーキは、適度に脂がのっていて軟らかく、何度も箸を往復させた。ステーキソースもあったが、粗塩におろしたての山葵を添えていただくのが最高!
妹は、ペコロスとよばれる小玉ネギを使った料理を用意していた。やわらかく煮たペコロスに、肉みそをかけていただくと、体が温まる。これはかなり好評だった。
「うわあ、この料理、初めて食べた。美味しいね」
「玉ねぎが軟らかいし、肉みそもいい味」
たぶん、妹が作った唯一の料理と思われるが、これは大ヒット。私も真似しなくては。
「奈津、ご飯は炊いてあるの?」
母が疑惑のまなざしを妹に向けた。クリスマス会では、おにぎりを作ろうとしたとき、お釜がからっぽだったことを心配しているのだ。奈津は、思い出し笑いをこらえながら答える。
「今日は大丈夫。もう炊いてあるから」
「そう? ならよかった」
母は、おあずけを食らう破目にならないとわかり、ホッとしたようだ。
「じゃあ、次はグリューワインね。温めるから鍋貸して」
話題が途切れることなく、新年会は続いていく。23時半を回った頃、ようやくお開きとなった。
「ごちそうさまでした。おやすみ~」
帰りの車の中で、新年の抱負が浮かんできた。
今年は、昆布とかつおぶしから、だしがとれるようになるぞ~!
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