これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

太宰治とデトロイト美術館展

2016年11月10日 21時50分32秒 | エッセイ
 ルノワールの絵も見られる、「デトロイト美術館展 クリアファイル付き前売券」を買ったのは8月のことだ。
 先週になってようやく、仕事帰りに上野の森美術館に立ち寄った。



 11月に入り日が短くなった。まだ6時半なのに、深夜のような暗さである。
 入口の掲示を見て、早々にショックを受けた。
「本日は撮影できません」
 なに? 撮影できる日があったのか!!
 どうやら、月曜と火曜は撮影可能のようだ。もっと早くにわかっていれば、休みを取ってでも来たのに、後の祭りである。ロッカーに荷物を入れ、まあいいやと気持ちを切り替えて入場する。予定を変更するのは嫌いだ。
 印象派とポスト印象派のところはまずまず。
 ルノワールは相変わらず透き通る肌の女性を描いていたし、苦手なセザンヌも「三つの髑髏」はコミカルでよい。これって本物を並べて描いたのかしらなどと想像し、ワクワクしながら鑑賞できた。
 ところが、そのあとの、20世紀のドイツ絵画がいけない。
 日本初公開が多いとはいえ、「これは失敗作か」と疑うような魅力のない絵のオンパレードであった。陰鬱でロマンのかけらもなく、夢も希望も感じさせない絶望的なゾーンとなっている。作品は全部で52点しかないのに、12点がこれでは元がとれない。脳裏に浮かんだ言葉は「金返せ」……。
 しかし、ラストの20世紀のフランス絵画で救われる。ピカソの絵が光り輝いていたからだ。気に入った作品はポストカードを購入した。「読書する女性」と「座る女性」という絵である。日本初公開のため、SNS等への投稿を禁止されており、写真をアップできず残念無念。
 他にも心を惹かれる絵があった。アメデオ・モディリアーニの「男の肖像」である。この男が太宰治に似ていて、思わずプッと噴出した。太宰の生まれは1909年だが、1916年の作品なので、彼がモデルになっているはずはないのだが。
 お時間があれば、ぜひこの絵を検索していただきたい。ファンの方からは「全然似ていないわよ!」とお𠮟りを受けるかもしれないが、観る者を笑顔にさせる魅力を感じる。
 ふと、太宰の作品はほとんど読んだことがないことに思い当たった。彼の筆力には定評がある。ちょうど、朝活の「他人の文章書き写し」がマンネリ化してきたところだ。「明日からは太宰で行くぞ」と即決した。
 図書館で借りてきた本は『走れメロス』。



 中には『富獄百景』も入っている。実のところ、『斜陽』を読みたかったので、これをクリアできたら購入するとしよう。
 いただいたクリアファイルは、ゴッホの「自画像」であった。



 裏にはマティスの「窓」が隠れている。
 消化不良感は否めないけれど、思いがけない出会いもあったから、これでよしとしよう。


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コメント (6)
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