熊谷には負けるが、私の家は、夏暑くて冬寒い練馬にある。お盆に、掃除をしようと部屋のドアを開けたら、廊下で蜘蛛のような虫が死んでいた。しかし、よく見ると、蜘蛛ではなく蚊であった。結構大型で、足が白黒のシマシマであることから、ヒトスジシマカと思われる。デング熱が流行したとき、戦犯とされた蚊だから、刺される前に死んでくれてよかった。
死骸を片づけながら、単純な疑問がわいてきた。
「何で死んだんだろう。熱中症?」
さあ、知りません。
こう暑くては体に悪い。精のつく食べ物を検索しところ、「フカヒレ」がヒットした。
「えー、フカヒレ? ホント?」
私はフカヒレが大好きだ。スタミナはさておき、美容によさそうなイメージが大きい。
「だったら、試してみないとねっ」
よい口実を見つけ、ルンルンしながら中華料理屋さんを探し始めたのであった。
その日は、新宿で映画を観る予定だった。新宿三丁目近辺を検索したところ、ランチにフカヒレ姿煮のある店を発見し、すかさず予約を入れる。
フカヒレ姿煮は、前菜のあとに運ばれてきた。


「あれえ~?」
ちょっとたじろぐ。
今まで食べたフカヒレと形が違ったからだ。
こんなのや

あんなのは、どれもクロワッサンみたいになっていた。

「何で、フリル全開みたいな形なんだろう」
やがて理由がわかった。これまでのフカヒレは背びれの部分だったが、これは胸びれらしい。要は、部位の違いというわけだ。多いに納得。まろやかであっさりした醤油味で、かなりイケた。
しかし、この店のウリはフカヒレではなく、北京ダックであった。客の目の前で、焼き上がった鴨を丸ごと一羽、カットしながら給仕してくれる。その多彩なバリエーションは、「これまで食べてきた北京ダックは何だったんだ」と考えさせらるほど、お見事だった。

「皮に砂糖をかけたものです」
「うめー」
砂糖をかけると、タレの香ばしさが引き立ち、皮の旨味が倍増する。

「野菜とおつつみしたものです」
「う、うめー」
一般的なダックだが、肉の部分が大きい気がした。味噌もいい味だ。

長崎の角煮まんじゅうを彷彿とさせる食べ方もあった。
「蒸しパンにおつつみしたものです」
「ううう、うめー」
さらには、北京ダックつゆ出汁そばが提供され、食材となった鴨さんを無駄にしない工夫がある。

「ああ、ちゃんと鴨の味がする~」
食べ終わったところで、体内に、やたらと活力がみなぎっていることに気づかされた。前言撤回をさせていただきたい。
「夏バテ防止には、北京ダックよ!」

↑
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
死骸を片づけながら、単純な疑問がわいてきた。
「何で死んだんだろう。熱中症?」
さあ、知りません。
こう暑くては体に悪い。精のつく食べ物を検索しところ、「フカヒレ」がヒットした。
「えー、フカヒレ? ホント?」
私はフカヒレが大好きだ。スタミナはさておき、美容によさそうなイメージが大きい。
「だったら、試してみないとねっ」
よい口実を見つけ、ルンルンしながら中華料理屋さんを探し始めたのであった。
その日は、新宿で映画を観る予定だった。新宿三丁目近辺を検索したところ、ランチにフカヒレ姿煮のある店を発見し、すかさず予約を入れる。
フカヒレ姿煮は、前菜のあとに運ばれてきた。


「あれえ~?」
ちょっとたじろぐ。
今まで食べたフカヒレと形が違ったからだ。
こんなのや

あんなのは、どれもクロワッサンみたいになっていた。

「何で、フリル全開みたいな形なんだろう」
やがて理由がわかった。これまでのフカヒレは背びれの部分だったが、これは胸びれらしい。要は、部位の違いというわけだ。多いに納得。まろやかであっさりした醤油味で、かなりイケた。
しかし、この店のウリはフカヒレではなく、北京ダックであった。客の目の前で、焼き上がった鴨を丸ごと一羽、カットしながら給仕してくれる。その多彩なバリエーションは、「これまで食べてきた北京ダックは何だったんだ」と考えさせらるほど、お見事だった。

「皮に砂糖をかけたものです」
「うめー」
砂糖をかけると、タレの香ばしさが引き立ち、皮の旨味が倍増する。

「野菜とおつつみしたものです」
「う、うめー」
一般的なダックだが、肉の部分が大きい気がした。味噌もいい味だ。

長崎の角煮まんじゅうを彷彿とさせる食べ方もあった。
「蒸しパンにおつつみしたものです」
「ううう、うめー」
さらには、北京ダックつゆ出汁そばが提供され、食材となった鴨さんを無駄にしない工夫がある。

「ああ、ちゃんと鴨の味がする~」
食べ終わったところで、体内に、やたらと活力がみなぎっていることに気づかされた。前言撤回をさせていただきたい。
「夏バテ防止には、北京ダックよ!」

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