先週は勤務校の推薦入試があり、仕事量が増えて忙しかった。
「やっと土曜が来たぁ~。ゆっくり休もうっと」
いつもより遅く起き、パジャマのまま本を読んだり、洗濯をしたりする。解放感があって、かなりリラックスできるのだ。宅配便がきたら、夫に頼めばよい。
ちょうど、東野圭吾の『流星の絆』を読み終わったところだ。面白くてよかったと、しばし余韻に浸る。
だが、この日は9時半過ぎに電話がかかってきて、事情が変わってしまった。
「もしもし笹木です」
「すみません、職員のタカハシです。お休みのところ申し訳ありません」
休日に職員から連絡があるときは、大抵ろくなことではない。私は警戒モードに入った。
「授業の準備が終わっていないので、今、学校に来たのですが、警備会社と警察の方が何人もいます」
「なんと」
「侵入者が確認されたそうで、校内を調査するようです」
「あらま」
昔は学校で警備員を雇っていた。でも、20年ほど前から機械警備になったので、何か問題が起きると警備会社が対応してくれる。内容によっては、警察も来るのだとわかった。どうも、のんびり過ごしている場合ではないらしい。
「じゃあ、私もこれからそちらに向かいます。ちょっと待っててください」
「すみません」
と言ったものの、すぐに出発できる状態ではない。まずは洗濯物を干し、着替えて顔も洗わないと、とても他人様の前には出られない。
「ひええええ」
さきほどまでの優雅さとは打って変わって、超特急で動き始めた。洗濯物を干すのに5分、洗顔に10分、着替えに5分という具合だ。えーと、帰りにスーパーに寄るのだから、買い物リストも持っていかないといけないし、スマホのバッテリーが残り30%だから、充電器もいるか。
あとはコートを着るだけというときに、またタカハシさんから電話がかかってきた。
「校内の確認が終わりました。荒らされた形跡がないので、生徒が忘れ物を取りに来ただけなのではと言われました」
「ふーん」
「みなさん、もうお帰りになりましたから、笹木先生もいらっしゃる必要ないようです。警備会社の報告書には、1階の非常口が未施錠のため、そこから侵入と書いてありました」
「えええ? ちゃんと閉めたんだけどな」
「そうですか? 私も授業の準備が終わったら帰ります。お騒がせしてすみません」
「はあ。ありがとうございました」
結局、行かずに済んだのは助かったが、どうも解せない。私はたしかに非常口を閉めてから帰ったし、たまたま出くわしたバスケ部の顧問もそれを確認している。おそらく、生徒は財布やスマホといった、急を要するものを取りに来たと思われる。非常口が閉まっているからといって、簡単にあきらめるとは思えない。カギを閉め忘れた窓を探し、そこから侵入したのではないか。
たとえ窓から入っても、同じ窓から出るわけないだろう。出るときにこそ、非常口を開けたのだ。
「あああ、クソッ! 間に合えば説明できたのに!」
なんだか、すごく悔しい。
まずは、戸締りを徹底するようにしよう。
それから、パジャマでいる時間を短くしなくちゃね。
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
「やっと土曜が来たぁ~。ゆっくり休もうっと」
いつもより遅く起き、パジャマのまま本を読んだり、洗濯をしたりする。解放感があって、かなりリラックスできるのだ。宅配便がきたら、夫に頼めばよい。
ちょうど、東野圭吾の『流星の絆』を読み終わったところだ。面白くてよかったと、しばし余韻に浸る。
だが、この日は9時半過ぎに電話がかかってきて、事情が変わってしまった。
「もしもし笹木です」
「すみません、職員のタカハシです。お休みのところ申し訳ありません」
休日に職員から連絡があるときは、大抵ろくなことではない。私は警戒モードに入った。
「授業の準備が終わっていないので、今、学校に来たのですが、警備会社と警察の方が何人もいます」
「なんと」
「侵入者が確認されたそうで、校内を調査するようです」
「あらま」
昔は学校で警備員を雇っていた。でも、20年ほど前から機械警備になったので、何か問題が起きると警備会社が対応してくれる。内容によっては、警察も来るのだとわかった。どうも、のんびり過ごしている場合ではないらしい。
「じゃあ、私もこれからそちらに向かいます。ちょっと待っててください」
「すみません」
と言ったものの、すぐに出発できる状態ではない。まずは洗濯物を干し、着替えて顔も洗わないと、とても他人様の前には出られない。
「ひええええ」
さきほどまでの優雅さとは打って変わって、超特急で動き始めた。洗濯物を干すのに5分、洗顔に10分、着替えに5分という具合だ。えーと、帰りにスーパーに寄るのだから、買い物リストも持っていかないといけないし、スマホのバッテリーが残り30%だから、充電器もいるか。
あとはコートを着るだけというときに、またタカハシさんから電話がかかってきた。
「校内の確認が終わりました。荒らされた形跡がないので、生徒が忘れ物を取りに来ただけなのではと言われました」
「ふーん」
「みなさん、もうお帰りになりましたから、笹木先生もいらっしゃる必要ないようです。警備会社の報告書には、1階の非常口が未施錠のため、そこから侵入と書いてありました」
「えええ? ちゃんと閉めたんだけどな」
「そうですか? 私も授業の準備が終わったら帰ります。お騒がせしてすみません」
「はあ。ありがとうございました」
結局、行かずに済んだのは助かったが、どうも解せない。私はたしかに非常口を閉めてから帰ったし、たまたま出くわしたバスケ部の顧問もそれを確認している。おそらく、生徒は財布やスマホといった、急を要するものを取りに来たと思われる。非常口が閉まっているからといって、簡単にあきらめるとは思えない。カギを閉め忘れた窓を探し、そこから侵入したのではないか。
たとえ窓から入っても、同じ窓から出るわけないだろう。出るときにこそ、非常口を開けたのだ。
「あああ、クソッ! 間に合えば説明できたのに!」
なんだか、すごく悔しい。
まずは、戸締りを徹底するようにしよう。
それから、パジャマでいる時間を短くしなくちゃね。
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