学校の昼休みは短い。会社と違って40分しかないから、外で食べることはできないし、生徒や保護者の対応に追われることもある。
弁当は必需品だ。家から持ってくる者もいるし、コンビニで買ったり、職場で仕出し弁当を頼んだりする人もいる。短時間だが、疲れた体を休め、からっぽの胃袋を満たし、ほっと一息つける貴重なひとときである。
しかし、私の職場では、そのオアシスで何回もトラブルが起きている。
「あっ、俺の弁当がない!」
ヒトシさんは、仕出し弁当の入っている発泡スチロールの中を見て、呆然とした。朝、注文用紙に○をつけて、たしかに頼んだはずなのに、いざ食べようと思ったら一個も残っていない。
その日のメニューはチキンカツ。サクサクの鶏肉を楽しみにしていたのだが。
すぐに、近くにいたヤスシさんが、青ざめた顔で謝ってきた。
「申し訳ない! 私が食べちゃいました。○をつけたつもりでしたが、書き忘れていたんです。」
「何だ、ヤスシさんだったのか。勘弁してよ」
わざとではないということがわかり、その場は丸く収まったようだ。だが、そういう事件は、その後もしばしば起きていた。犯人が申し出てくるのはいいほうで、場合によっては、誰が食い逃げをしたのかわからないこともある。
私は、そんな低レベルの争いに巻き込まれたくないから、自分で弁当を作っている。仕出し弁当は一度も利用したことがない。
「あれは揚げ物ばかりだし、味が濃くて胃がもたれるのよね」
レイコさんは、仕出し弁当に見切りをつけ、配達してくれる別のヘルシー弁当を開拓した。肉は全然入っておらず、十穀米のご飯に、魚や大豆類が中心の薄味メニューである。単価は500円と、仕出し弁当より80円高いが、健康には代えられない。
「いいですね、それ。僕も頼んでいいですか」
腹が出てきたと悩むヒロシさんも、興味を示してきた。しかし、男性には量が少ないかもしれない。
「ええ。構いませんが、ライスは大盛りにしたほうがいいですよ。料金は同じだし」
かくして、わが職場では、仕出し弁当派とヘルシー弁当派に分かれたようだ。ヘルシー弁当だったら、私も食べたい気がする。
ところが、こちらでも事件が起きた。
「あらっ、この弁当、やけにご飯が多いわね」
昼休みになると、手の空いた者から順に弁当を取りにくる。この日は、レイコさんが最後だった。残った一個をしげしげと見て、すぐさまヒロシさんの元へと走った。
「ねえ、ヒロシさん。間違えて普通盛りのお弁当を食べませんでした? 大盛りが残っているんだけど」
「えっ、そうでしたか? ……でも、もう食べてしまったので、たまには大盛りを召し上がってください。すみませんでした」
「はあ。……それしかないですね」
レイコさんは、どうにかお弁当を平らげ、苦しそうに立ち上がった。
……やはり、自分で作ったほうがよさそうだ。
オアシスは、蜃気楼のときもある。
↑
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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
弁当は必需品だ。家から持ってくる者もいるし、コンビニで買ったり、職場で仕出し弁当を頼んだりする人もいる。短時間だが、疲れた体を休め、からっぽの胃袋を満たし、ほっと一息つける貴重なひとときである。
しかし、私の職場では、そのオアシスで何回もトラブルが起きている。
「あっ、俺の弁当がない!」
ヒトシさんは、仕出し弁当の入っている発泡スチロールの中を見て、呆然とした。朝、注文用紙に○をつけて、たしかに頼んだはずなのに、いざ食べようと思ったら一個も残っていない。
その日のメニューはチキンカツ。サクサクの鶏肉を楽しみにしていたのだが。
すぐに、近くにいたヤスシさんが、青ざめた顔で謝ってきた。
「申し訳ない! 私が食べちゃいました。○をつけたつもりでしたが、書き忘れていたんです。」
「何だ、ヤスシさんだったのか。勘弁してよ」
わざとではないということがわかり、その場は丸く収まったようだ。だが、そういう事件は、その後もしばしば起きていた。犯人が申し出てくるのはいいほうで、場合によっては、誰が食い逃げをしたのかわからないこともある。
私は、そんな低レベルの争いに巻き込まれたくないから、自分で弁当を作っている。仕出し弁当は一度も利用したことがない。
「あれは揚げ物ばかりだし、味が濃くて胃がもたれるのよね」
レイコさんは、仕出し弁当に見切りをつけ、配達してくれる別のヘルシー弁当を開拓した。肉は全然入っておらず、十穀米のご飯に、魚や大豆類が中心の薄味メニューである。単価は500円と、仕出し弁当より80円高いが、健康には代えられない。
「いいですね、それ。僕も頼んでいいですか」
腹が出てきたと悩むヒロシさんも、興味を示してきた。しかし、男性には量が少ないかもしれない。
「ええ。構いませんが、ライスは大盛りにしたほうがいいですよ。料金は同じだし」
かくして、わが職場では、仕出し弁当派とヘルシー弁当派に分かれたようだ。ヘルシー弁当だったら、私も食べたい気がする。
ところが、こちらでも事件が起きた。
「あらっ、この弁当、やけにご飯が多いわね」
昼休みになると、手の空いた者から順に弁当を取りにくる。この日は、レイコさんが最後だった。残った一個をしげしげと見て、すぐさまヒロシさんの元へと走った。
「ねえ、ヒロシさん。間違えて普通盛りのお弁当を食べませんでした? 大盛りが残っているんだけど」
「えっ、そうでしたか? ……でも、もう食べてしまったので、たまには大盛りを召し上がってください。すみませんでした」
「はあ。……それしかないですね」
レイコさんは、どうにかお弁当を平らげ、苦しそうに立ち上がった。
……やはり、自分で作ったほうがよさそうだ。
オアシスは、蜃気楼のときもある。
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
悪気じゃないけど、食べちゃうんだよね。
私はお弁当では被害はなかったけれど、冷蔵庫に入れておいた飲み物を間違えて飲まれたことはありました。
でも,缶に名前まで書いておいたんだよ。
あれは故意か〜と思わないでもないですが…
昔よく見かけた、味噌汁まで入るランチバッグ(?)を持ってくる人はあまりいないのかな…。
そんなことがあるのですね・・。
今日朝の情報番組で学校給食について取り上げてました。
今はアレルギー対応の給食も作らないといけないから給食を作る方も神経を使うそうです。
アレルギーを持つ子供に間違って提供したためにアレルギーのショックで亡くなるという事故がありましたね。
仕出し弁当もそうならないといいのですが・・。
私も手作り弁当派でした。
ほんの短期間、仕出しを注文していた時期もありました。
「あれ?僕のお弁当は?」事件は日常茶飯。
でも、やめる決意をしたのは、もっと恐怖の事件でした。
「千切りキャベツに青虫事件」の翌日に
「レタスに芋虫事件」
あり得ない!
事務室から職員室直通のインターホンで悲鳴が。
「先生方、大変です。お弁当を食べている手を止めてください!今日の仕出しから青虫が多数発見されたそうです」
げっ!
おそるおそるキャベツをかき分けると、私の仕出しにもいました!ハラペコあおむしがっ
二度と仕出しは食べないと決意した瞬間でした。
注文するのを忘れることもあるでしょうし。
以前は私も、官庁街の近くに居た時は大変でした。
性格的に毎日同じような弁当は飽きてきます。
ラーメン屋に入ったり、定食屋に入ったり、洒落たレストランに行ったり、コンビニから買ったり。
昼飯に全力をつぎ込む毎日でした。(_ _;)…パタリ
注文忘れても先に食べるが勝ちですね。食い物の恨みは恐ろしいけど・・・(*^^*)ポッ
えっ、名前入りの缶飲料を飲まれてしまったんですか?
それは怪しい…。
確信犯の可能性がありますね。
それとも、YUMIさんのファンかも~♪
小学校の事務員をしていた人が、これを読んで笑っていました。
そこの学校では、注文した店屋物を忘れて、人が頼んだものを食べてしまう教員が多かったそうです。
名前を書かせてチェックしていたとか。
厳重ですね(笑)
それくらいでちょうどいいと思います!
私の隣の席の方は、ランチジャー持参です。
奥様が作ってくれるんだって。
みそ汁入り(笑)
いいね~、愛情たっぷり♡
2校目は、昼休みが35分しかなかったよ。
胃下垂になるほど食べられない…。
本当にあわただしかったなぁ。
昼休みを60分たっぷり取れる仕事が羨ましいよ。
給食は半強制ですが、仕出し弁当は個人の自由ですから、アレルギーのある人は自己責任でしょうね。
基本的に、注文しないみたいです。
何を食べてもオッケー、という頑丈な人が、毎日のように頼んでいます。
私は食物アレルギーこそありませんが、油に弱いので厳しいです。
最近、若杉式「肉食禁止食」を始めました。
何を食べたらいいのかしら??
でも、体調がいいです(笑)
うーん、青虫に芋虫ですか…。
私も御免こうむります。
しかし、見方を変えたら、虫もつかない野菜よりは安全なのかも。
最近は、バイオで農薬いらずのものも多いみたいですもの。
でも、青虫は食べたくない(笑)
仕出し弁当は、メニューも固定されています。
同じおかずの繰り返しで飽きないのかしら。
私が心配することじゃないけど…。
昼食中心の日々だったんですね(笑)
椎名誠のエッセイにも、『昼めしのモンダイ』という本があったような…。
中には、お昼を抜く人もいました。
よく平気だなぁと感心します。
ちょっと怒りっぽいけど…。
うちの父は、毎朝同じパンを食べているそうです。
妹の夫も、毎日お昼は同じメニューの繰り返しみたいです。
保守的で、好きなものを毎日食べるほうが幸せなんですって。
人それぞれですね。
でも、片割れ月さんは、毎日同じ女性(奥様?)と過ごす幸せがあるじゃないですか!