実家は駅から遠い場所にあった。電車に乗るには、バスを利用しなければならない。終バスを逃したら、タクシーに頼るしかない。父は、飲み会で帰りが遅くなったとき、迎えに来てもらえるようにと、母に普通免許を取らせようとした。
現在、母は70代目前だが、当時は30代の終わりである。教官は、概して若い女性にはやさしい。しかし、『あたしンち』のお母さんに似ているオバさんには、かなり冷たかったらしい。なかなか見きわめをもらえずに、相当な金と時間をかけて、父のお迎えのために何とか免許を取った。
帰りの心配がなくなると、父は遠慮なく、駅まで母を呼びつけた。ときには、毎日のように迎えに行ったようだ。当たり前のように「○時に来てくれ」という電話がかかってきて、無言で車にエンジンをかけていた母の姿を思い出す。
そして、事件は起こった。
若葉マークが取れた頃だろうか。いつものように、父から「11時に着くから駅まで頼む」と連絡があり、子どもたちを残して、母はひとりで車を運転した。駅前のスペースに車を停めると、ちょうど電車が到着している。ほどなく、構内から人がうじゃうじゃと出てきた。母は父を探したが、見当たらない。
次の電車にも、その次の電車にも、父の姿はなかった。
駅前は、いつまでも車を停めておける場所ではない。他の車にクラクションを鳴らされ、母はロータリーから離れようと車を発進させた。
そのとき、前にいたタクシーが、いきなりバックしてきた。ブレーキをかけたが、逃げ場がない。リアガラスが迫ってきて、「ガシャーン」という金属音と同時に、体に軽い衝撃が走った。
ぶつけられたのだ。
すぐに、タクシーから運転手が降りてきて、「邪魔じゃないか!」と怒鳴りつけてきた。
母も、「そっちがぶつけてきたんじゃないですか」と言い返したが、周りはタクシーばかりで分が悪い。早く父に加勢してもらいたかったが、まだ帰ってこない。普段は気丈な母も、このときばかりは心細くてしかたなかったそうだ。
結局、父が駅に登場したのは、それからさらに20分経ってからだった。
「寝過ごして終点まで行っちゃったから、折り返し運転で帰ってきたよ」などとほざいたというから呆れる。ふくれっ面の母から話を聞き、「こういう男と結婚するのは、絶対にゴメンだ!」と肝に銘じた。
先日読んだ本に、「女性の扱いに不慣れで恋愛スキルが低く、気が利かない、甘い言葉もささやけない日本男性は、欧米女性にまったくモテない」というくだりがあった。
まっさきに、私の脳裏に浮かんだ男性が父であったことは、いうまでもない……。
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
現在、母は70代目前だが、当時は30代の終わりである。教官は、概して若い女性にはやさしい。しかし、『あたしンち』のお母さんに似ているオバさんには、かなり冷たかったらしい。なかなか見きわめをもらえずに、相当な金と時間をかけて、父のお迎えのために何とか免許を取った。
帰りの心配がなくなると、父は遠慮なく、駅まで母を呼びつけた。ときには、毎日のように迎えに行ったようだ。当たり前のように「○時に来てくれ」という電話がかかってきて、無言で車にエンジンをかけていた母の姿を思い出す。
そして、事件は起こった。
若葉マークが取れた頃だろうか。いつものように、父から「11時に着くから駅まで頼む」と連絡があり、子どもたちを残して、母はひとりで車を運転した。駅前のスペースに車を停めると、ちょうど電車が到着している。ほどなく、構内から人がうじゃうじゃと出てきた。母は父を探したが、見当たらない。
次の電車にも、その次の電車にも、父の姿はなかった。
駅前は、いつまでも車を停めておける場所ではない。他の車にクラクションを鳴らされ、母はロータリーから離れようと車を発進させた。
そのとき、前にいたタクシーが、いきなりバックしてきた。ブレーキをかけたが、逃げ場がない。リアガラスが迫ってきて、「ガシャーン」という金属音と同時に、体に軽い衝撃が走った。
ぶつけられたのだ。
すぐに、タクシーから運転手が降りてきて、「邪魔じゃないか!」と怒鳴りつけてきた。
母も、「そっちがぶつけてきたんじゃないですか」と言い返したが、周りはタクシーばかりで分が悪い。早く父に加勢してもらいたかったが、まだ帰ってこない。普段は気丈な母も、このときばかりは心細くてしかたなかったそうだ。
結局、父が駅に登場したのは、それからさらに20分経ってからだった。
「寝過ごして終点まで行っちゃったから、折り返し運転で帰ってきたよ」などとほざいたというから呆れる。ふくれっ面の母から話を聞き、「こういう男と結婚するのは、絶対にゴメンだ!」と肝に銘じた。
先日読んだ本に、「女性の扱いに不慣れで恋愛スキルが低く、気が利かない、甘い言葉もささやけない日本男性は、欧米女性にまったくモテない」というくだりがあった。
まっさきに、私の脳裏に浮かんだ男性が父であったことは、いうまでもない……。
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
警察、呼んだのでしょうか?
悪いのは、バックしたタクシーの側ですし。
日本の男性、女性に対し、気が利かないし、優しくできないようですね。
いまどきの若者は、その反動か、草食系で、女性とは友達感覚?
むしろそんなタクシーのくそったれ運転手はどんどん苦情を言うべし。バブル以降は、タクシーの協会だか組合に言うと、厳しく対処してくれるようになったらしいしね。
タクシーとの事故を警察に届けなかったのがアダになりました。
事故証明がないと保険が下りないことを、両親は知らなかったんですよ。
たしか、お互いに自分の車を直すという結果になったと思います。
日本の男性は、大事に育てられすぎるのではないでしょうか。
年をとるにつれて、周りが自分に合わせるべきだと考える人が増えるような…。
かなり自己中心的です。
女性上位の国、イギリスに行くと、わがままなおばあさんがたくさんいるそうで。
子どもを姫や殿として扱うのは危険ですね。
当て逃げされた経験を持つ、Yanoさんならではの意見かも。
もちろんタクシーが悪いんだけど、父も女性からはブーイングを浴びるわよ。
たとえば、Yanoさんが彼女とレストランに入ったとするでしょ。
彼女の料理に、虫が入っていたらどうする?
女性は、彼氏からお店にクレームをつけてもらいたいと思うのよ。
しかし、気が利かない男は何もせず、自分の料理を食べ続けちゃう。
仕方なく、彼女は自分で「虫が入っているので、お料理を取り替えてください」と言わなきゃならないの。
悪いのは店側だけど、彼女の愛は冷めてしまう。
そういうものだよ。
女性のしてほしいことを理解できないのが、日本の男なんだろうね。
え、そんなもの、無視したまえ??
自分の事なら一生懸命になるけど…家族の事になると急に腰が重くなるし…
まぁ、外面が良いのかもね(笑)
タクシー代がもったいないと奥さんがすすんで迎えに来るそうです。
我が家だったら考えられません。ちょっと羨ましいかも~
ところで、お母さんはまだお若いんですね。
20歳そこそこで結婚したから選り好みしなかったということでしょうか…?
でも~、30過ぎて男を選り分け始めたら婚期を逃すそうです。
勝負は結婚してから如何にして亭主を飼いならすかで決まるのかも。
「亭主にしたくない男」、私も女房によく言われますよーん。(_ _;)…パタリ
お父様はそのくらいがよいのでは?昭和な男の感じが出てgoodですぜ。
自分も嫁さんに迎えに来てもらいたいものですよ。頼まないのには理由が・・・
先日息子が普通免許をとって喜んでいたのですが、早速電柱にこすってきました。その前は親父殿が他人さまのいえの塀にガリゴリ。。。その前は嫁さんがコインパーキングの鉄柱にガツン。もう誰も乗らないでくれ~
結婚して年月がたつと、甘い言葉の囁きには裏があることを知ってしまうのよね
えっ、貴男も?
もう亡くなった方だけど、亭主の鑑だった男性がいます。
富山出身の友人のお父さんだよ。
サラリーマンだけど、家族の分の朝食を用意して出かけたというからすごいでしょ。
友人のお母さんは、娘たちより夫にベッタリだったんだって。
わかる気がするな~。
で、お父さんがお亡くなりになったら、お母さんも後を追うように…。
うちじゃあり得んわ。
母は22歳で結婚したようですよ。
翌年姉が生まれ、私は母が25歳のときに生まれました。
父はイケメンでも金持ちでもなかったのですが、真面目で働き者だったところに惹かれたそうです。
真面目な反面、冗談を解しない欠点もあります。
母も似たようなものですから、釣り合いのとれた夫婦かと。
婚期を逃すと、相手に求めるものが膨れ上がるようですね。
そんな異性が残っているはずないのに~(笑)
海を渡り、婚活する女性もいるそうです。
欧米では、日本人女性の人気が高いと聞きますね。
やはり、対人スキルの高さと、相手に喜んでもらいたいという心がけが大事なのだと思います。
昭和の男にも、それくらいは要求したいのですが。
ところで、しょうしみんさんちの車は、家族が運転するたびに形が変わるんですね(笑)
息子さんも免許を取れる歳になりましたか。
私の記憶では高1だったのに~。
少しずつ凸凹が増えていくと、いずれは違う車に変身しそうです。
なんてことはないか…。