仏教徒の同僚・栗本さんは、山で熊の親子に遭遇したことがあるそうだ。
「最初、子熊と目が合ったんです。後ろに気配を感じて振り返ったら……」
母熊が子を守るため、猛然と突進してきたという。
「いやはや、速いのなんのって。一歩も動けませんでしたよ。やられる! と思いました」
「じゃあ、なぜ、ここにいるんですか?」
「奇跡が起きたんです」
「奇跡?」
「反射的に、私は般若心経を唱えました」
栗本さんの誦経(じゅきょう)する声は大きく、僧侶なみの迫力がある。しかし、とっさに出てくるところが常人ではない。普通は「ギャア~」などという悲鳴になりそうなものだが。
「母熊にもお経が聞こえたんでしょうね。すぐ近くまで来て急に立ち止まり、回れ右をしていなくなりました」
「へー」
「奇跡です」
仏様の御加護だろうか。それとも、悪霊退散?
いずれにせよ、栗本さんが助かってよかった。私も、今度、蜂に刺されそうになったら、般若心経を唱えてみよう。
さて、その栗本さんから、写経のルールを収めたDVDを借りた。今まで自己流ですませてきたので、本格的なやり方を知りたい。画像には男性が出てきて、かなり細かい指導をしてくれる。
「まず、部屋の清掃をすませて合掌します。腹式呼吸を10回繰り返し、瞑想したあと墨をすります。文字を書くときは、息がかからないようにマスクをするとよいでしょう」
メモをとりながら我が身を振り返った。
墨汁だけど、いいよね?
マスクしなかったけど、いいよね?
「1行目には内題を書き、2行目から写経を始めます。1行には17字記入します」
ほうほう。
「写経の書き間違いはよくあることです。正しく直せば問題ありません」
そうそう、それが知りたかったの。
「誤字は、線で消さずに隣に正字を小さく書きます」
ふーん。
「脱字は、抜けたところの横に『、』を書き、一番下に抜けた字を書きます。抜けた字の横にも『、』をつけておきましょう」
なるほど、『、』が目印になるわけか。
「余分字の横にも『、』を書き、線で消すことはしません。次の行の先頭に抜けた字を書き、18字にします」
「行を飛ばしたら、上に『、』をつけ、隣に抜けた行を書きます。あとから書いた行の上にも『、』をつけます」
よくわかったが、お坊さんでもこんなに間違えるのかとおかしくなった。これから始める方でも、心強く感じることだろう。
仏様の教えを、17字×16行で書き写したら、1行空けて奥題の「般若心経」という文字を書き、また1行空けて願文を記入する。「為 ○○○○」とするのが普通である。
あとは、その隣に日付、そのまた隣に「姓名 謹写」と書くことになっている。住所は、書いても書かなくても構わない。
名前は基本的に本名を使うが、個人情報を守らなければならない時代に、いいのだろうか。
考えてみると、神社の祈祷では住所と名前は必須項目で、神前にて読み上げられる。願いごとを叶えるためには仏様に「誰の願い」なのかを伝える必要があるのかもしれない。
故人の冥福を祈る般若心経。
家内安全を願う般若心経。
心願成就のための般若心経。
それからそれから、熊を追い払う般若心経……?
難しく考えないで、まずは書いてみてはいかが?
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
「最初、子熊と目が合ったんです。後ろに気配を感じて振り返ったら……」
母熊が子を守るため、猛然と突進してきたという。
「いやはや、速いのなんのって。一歩も動けませんでしたよ。やられる! と思いました」
「じゃあ、なぜ、ここにいるんですか?」
「奇跡が起きたんです」
「奇跡?」
「反射的に、私は般若心経を唱えました」
栗本さんの誦経(じゅきょう)する声は大きく、僧侶なみの迫力がある。しかし、とっさに出てくるところが常人ではない。普通は「ギャア~」などという悲鳴になりそうなものだが。
「母熊にもお経が聞こえたんでしょうね。すぐ近くまで来て急に立ち止まり、回れ右をしていなくなりました」
「へー」
「奇跡です」
仏様の御加護だろうか。それとも、悪霊退散?
いずれにせよ、栗本さんが助かってよかった。私も、今度、蜂に刺されそうになったら、般若心経を唱えてみよう。
さて、その栗本さんから、写経のルールを収めたDVDを借りた。今まで自己流ですませてきたので、本格的なやり方を知りたい。画像には男性が出てきて、かなり細かい指導をしてくれる。
「まず、部屋の清掃をすませて合掌します。腹式呼吸を10回繰り返し、瞑想したあと墨をすります。文字を書くときは、息がかからないようにマスクをするとよいでしょう」
メモをとりながら我が身を振り返った。
墨汁だけど、いいよね?
マスクしなかったけど、いいよね?
「1行目には内題を書き、2行目から写経を始めます。1行には17字記入します」
ほうほう。
「写経の書き間違いはよくあることです。正しく直せば問題ありません」
そうそう、それが知りたかったの。
「誤字は、線で消さずに隣に正字を小さく書きます」
ふーん。
「脱字は、抜けたところの横に『、』を書き、一番下に抜けた字を書きます。抜けた字の横にも『、』をつけておきましょう」
なるほど、『、』が目印になるわけか。
「余分字の横にも『、』を書き、線で消すことはしません。次の行の先頭に抜けた字を書き、18字にします」
「行を飛ばしたら、上に『、』をつけ、隣に抜けた行を書きます。あとから書いた行の上にも『、』をつけます」
よくわかったが、お坊さんでもこんなに間違えるのかとおかしくなった。これから始める方でも、心強く感じることだろう。
仏様の教えを、17字×16行で書き写したら、1行空けて奥題の「般若心経」という文字を書き、また1行空けて願文を記入する。「為 ○○○○」とするのが普通である。
あとは、その隣に日付、そのまた隣に「姓名 謹写」と書くことになっている。住所は、書いても書かなくても構わない。
名前は基本的に本名を使うが、個人情報を守らなければならない時代に、いいのだろうか。
考えてみると、神社の祈祷では住所と名前は必須項目で、神前にて読み上げられる。願いごとを叶えるためには仏様に「誰の願い」なのかを伝える必要があるのかもしれない。
故人の冥福を祈る般若心経。
家内安全を願う般若心経。
心願成就のための般若心経。
それからそれから、熊を追い払う般若心経……?
難しく考えないで、まずは書いてみてはいかが?
↑
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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
一切書き間違いしないで写経はやはり至難の技なんでしょうね?こんなやり方親父は果たして知ってたのかな~?私には無理だなぁ。
じつは、先日ネットでお寺様のページから写経の用紙をダウンロードして試したところでした。
万年筆で数行書いてみましたが、やっぱり筆で書かないと意味ないようですね。
私の場合毛筆が苦手なので習字を習いに行くことから始めないと…ヾ( ̄o ̄😉オイオイ
こちら方面は最近クマの出没が多くて山には行かないようにしています。
お経を唱えればクマも退散させるということですか、何処の山で遭遇したのでしょうね?
私は蚊に刺されそうになった時に試してみます~
書き間違いは起こり得るものです。
ただ、誤った直し方では御利益半減なんでしょうね。
正しく直してお経のパワーをいただかなくては。
ワープロだったら修正できるのに(笑)
お父様とは気が合いそうな気がします。
万年筆で写経は新しいかも。
そんな発想はありませんでした。
筆でもマジックでもお好きなもので(笑)
栗本さんはあちこちの山を登っているそうです。
遭難したわけではなく、沢で水を汲もうと思ったのだとか。
そしたら、熊が先に来ていたというわけです。
怖いわぁ~。
蚊に刺されても気づきませんよ(笑)
熊まで撃退するとは、さすがです。
これだけの長さを書くには、集中力も相当必要ですね。
その前に私には、腕力も必要みたいです。
(腕を浮かせて?書けない気が↓)
達筆といっても、自分で書いたものではありません。
お手本なんです。
捨てるわけにもいかず、どうしたものかと栗本さんに相談しました。
名前などを書き加えて納経すればいいと聞いたものですから、きちゃない字で願文等を書き込んでいます。
これだけ上手に書けたらなぁ……。
娘も写経に挑戦しました。
ちょっとミスったけど、2枚完成させましたよ。
白玉さんならもっと書けそう(笑)