朝食は、ひじきご飯に限る。
カロリーが低く、鉄やカルシウムは豊富なこのメニューで、暑い夏を乗り切るつもりだ。
その日はお腹が空いていて、少々がっついていたかもしれない。箸でご飯を口に運び、奥歯で勢いよく咀嚼したら、ガリッというイヤな音がした。どうやら目測を誤り、箸ごと噛んでしまったようだ。
口から箸を取り出すと、先端部分が折れている。
あーあ……。
ふと、子どものときに聞いた、父の話を思い出した。
「お祖母ちゃんが亡くなったとき、アキヒコ叔父さんの靴ひもが切れたんだよ。すぐお父さんのところに電話がかかってきて、何かあったかって聞いてきた。靴ひもだけじゃなくて、箸が折れたときもあってな……」
もっと昔だったら、下駄の鼻緒が切れたりすることもあったのだろう。死者は親しい者に、自分がこの世から去ったことを知らせにくるという。いつもと違う出来事があったら、放っておかないほうがいいそうだ。
では、これは虫の知らせになるのだろうか?
うーん。
噛んだことが原因なので、いわゆる霊的現象とは違うとは思うが、木製の箸がこんなに簡単に折れるものだろうか。引っかかるものを感じて、退院して間もない母にメールを送ってみた。無駄に心配させてもいけないから、他の要件を前面に出す。
「夏の旅行の切符が取れたよ! その後、体調はいかがかな」
すぐに返信が来た。
「お母さんもお父さんも元気だよ。切符ありがとう」
何もなかったようで、ホッとする。
91歳の義母も、楽しそうにテレビを見ているから問題ない。
妹一家は、若いから大丈夫だろう。
それより、多忙を極める姉が心配だ。自炊もせず、飲んだくれて体調を崩してはいないか。
「さっき、食事中に箸を噛んだら折れて、虫の知らせかもと心配になっちゃった。お父さんもお母さんも元気みたいだからよかったけど、そちらはどう?」
姉は冷静だから、正直に書いても大丈夫だ。たぶん、今日も仕事をしているだろうから、邪魔をするのが心苦しい。
まもなく、姉から返信が来た。
「すごい歯だわね。私は大丈夫よ」
…………。
そうか、私の歯が強かっただけなのか。
「忙しいからどうしているかと思った」と送ると、その返信にとどめを刺される。
「親が元気ならひとまず安心だよね。歯が折れたんじゃなくてよかったよ」
…………。
この頑丈な歯は、ひじきご飯の賜物なのかもしれない。
みんな元気で安心したから、折れた箸をしつこく使っている。
↑
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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
カロリーが低く、鉄やカルシウムは豊富なこのメニューで、暑い夏を乗り切るつもりだ。
その日はお腹が空いていて、少々がっついていたかもしれない。箸でご飯を口に運び、奥歯で勢いよく咀嚼したら、ガリッというイヤな音がした。どうやら目測を誤り、箸ごと噛んでしまったようだ。
口から箸を取り出すと、先端部分が折れている。
あーあ……。
ふと、子どものときに聞いた、父の話を思い出した。
「お祖母ちゃんが亡くなったとき、アキヒコ叔父さんの靴ひもが切れたんだよ。すぐお父さんのところに電話がかかってきて、何かあったかって聞いてきた。靴ひもだけじゃなくて、箸が折れたときもあってな……」
もっと昔だったら、下駄の鼻緒が切れたりすることもあったのだろう。死者は親しい者に、自分がこの世から去ったことを知らせにくるという。いつもと違う出来事があったら、放っておかないほうがいいそうだ。
では、これは虫の知らせになるのだろうか?
うーん。
噛んだことが原因なので、いわゆる霊的現象とは違うとは思うが、木製の箸がこんなに簡単に折れるものだろうか。引っかかるものを感じて、退院して間もない母にメールを送ってみた。無駄に心配させてもいけないから、他の要件を前面に出す。
「夏の旅行の切符が取れたよ! その後、体調はいかがかな」
すぐに返信が来た。
「お母さんもお父さんも元気だよ。切符ありがとう」
何もなかったようで、ホッとする。
91歳の義母も、楽しそうにテレビを見ているから問題ない。
妹一家は、若いから大丈夫だろう。
それより、多忙を極める姉が心配だ。自炊もせず、飲んだくれて体調を崩してはいないか。
「さっき、食事中に箸を噛んだら折れて、虫の知らせかもと心配になっちゃった。お父さんもお母さんも元気みたいだからよかったけど、そちらはどう?」
姉は冷静だから、正直に書いても大丈夫だ。たぶん、今日も仕事をしているだろうから、邪魔をするのが心苦しい。
まもなく、姉から返信が来た。
「すごい歯だわね。私は大丈夫よ」
…………。
そうか、私の歯が強かっただけなのか。
「忙しいからどうしているかと思った」と送ると、その返信にとどめを刺される。
「親が元気ならひとまず安心だよね。歯が折れたんじゃなくてよかったよ」
…………。
この頑丈な歯は、ひじきご飯の賜物なのかもしれない。
みんな元気で安心したから、折れた箸をしつこく使っている。
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
俺は夏の暑さにはとても弱く食欲も失せるんだけど、それは体からの信号だから素直にそれに従い、あまり食べない事にしてる。←ただの屁理屈か…。(^^;)
何でトレーがバラバラになるんだろう?
力を入れすぎたの?(笑)
空き缶が移動するのは見たことある。
夏の暑さは我慢できないこともない…。
ただし、じっとしていればの話。
スポーツとか、絶対無理だわ(笑)
ひじきmy love!
彼は何度かそういう経験があるとか。
炊き込み?混ぜご飯?
今度レシピを教えてください。
猛暑2日ですでに夏バテ気分ですので。
一歩も外に出てないくせに。
幼稚園の時。
しっかりついていたはずの上着のボタンがとれて
落ちてしまいました。
どこを探してもみつからず、困っていた時に母が迎えに来ました。
「おじいちゃんが亡くなったの。すぐ帰るわよ。」
以来、不思議現象多数です
母方の祖母が亡くなったときは、玄関のドアが開けっ放しになっていたとか。
カギまで掛けていたはずなのに。
でも、私の場合は何もないなぁ。
あ、唯一あったかも。
義父が亡くなったとき、いたずら電話に悩まされていて、呼び出し音をゼロにしていたんですよ。
でも、義弟からの訃報があったとき、私はなぜか電話を見ていました。
吸い寄せられるような感覚があったんです。
着信のライトが見え、受話器を取ったら「ありゃ~」という電話でしたよ。
以後は何もありません。
ひじきの煮物を作ります。
それを炊き立てのご飯に混ぜて、ひじきご飯(笑)
こんなんじゃダメかしら。
夏バテはほとんどしません。
冷え性のせいか、暑くても我慢できるんです。
昨日はクーラーをつけずにいたら、室温が35度になっていました。
夫はとっくに逃げ出しています。
お風呂に入るとき、お腹を見たらあせもができていたのでビックリ!
ボタンは不思議ですね。
おじいちゃんの仕業ですよ。
女房の実家が漆器屋なので貰った箸であふれています。少し分けて差し上げたいです。(笑)
こちらも霊の話ですか??
最近虫歯が痛みます。今のところ身内には何も起こってないようですが。
結果、その「虫の知らせ」という予感はいい方向に向いたのでは。
箸が折れて「これは何かの知らせでは」と思わなければメールをして安否をうかがう事はなかったですよね。
無関心な人間関係って多いですよね。
これからもどんな小さい事でも気付いて行くと、小さな事が大きな幸せを呼び込むかもしれません。
方や、ナスに負ける歯もあるのに・・・
これはやっぱり、ひじきと歯間ブラシのたまものでしょうね。
虫歯ならぬ虫の知らせは、感じると怖い気もします。
日々の仕事の時間帯が、丑三つ時だったりするので?
古い記事ですが、TBお願いします。
箸は供養するんですか?
まだ使っております(笑)
だって、つまめるんだも~ん。
お箸がたくさんあるご家庭なんですね。
割り箸無用(笑)
虫歯が痛むのはムシバイ菌のせいですよ。
しかし、ご用心なさってください。