昨日、ワコールのリボンブラという下着を買ったら、クリップをもらった。
これは、肩ひもが落ちないように、背中でストラップを留めるものである。
礼を言って受け取ったが、「もっと早く作ってよ~!」と思わないこともない。実は、肩ひもには苦い思い出がある。
大学生のとき、私は手品のサークルに入っていた。年に何度か発表会があり、ドレスやスーツを着てステージに立った。
たしか、3年生のときだ。他大学との合同発表会に出た際、私は「ジグザグ箱」と呼ばれる道具の中で、胴体を切り刻まれる役となった。まず、背の高い箱に入り、ドアを閉める。ドアにはところどころ穴が開いており、顔や手、足が見えるようになっている。
演者が金属板を上に掲げ、ギラギラと光らせながら、私の胸のあたりに打ち込む。板がスッポリはまると、もう一枚の金属板を取り出し、今度は腰に差し込む。観客には、私の胸と腰が切り離されたように見える。
それから演者は、板と板で区切られた箱の真ん中を、ゆっくり右に引いていく。頭と足は元の位置にあるが、胴体だけが遠くに離れていく。テレビなどでもお馴染みだが、自分で見ても気持ちが悪い。
大きな拍手をいただいたあとは、胴体を静かに戻す。完全に戻ったらドアを開け、無事な姿で箱から出てくる。ここでも割れんばかりの拍手喝采が起こる。
問題はそのあとだった。演者が次のマジックを披露する間、私は舞台の端で待機していた。激しい動きのあとで、下着が乱れたのだろう。ブラジャーの肩ひもが、ズルズルと落ちてくるのがわかった。
その日の服装は、ノースリーブの裾がふんわりしたドレスである。公衆の面前で、ブラのひもが「こんにちは」をしたら大変だ。私は焦った。
出しゃばりのストラップは、どうしても顔を出したいらしい。こちらの気持ちを無視して、じりじりと下がってきた。阻止せねばと、袖口から手を入れ、ひもを押し戻す。だが、1分もすれば、またズルズルと落ちてくる。心で「このくそっ」と罵りながらひもを押し込む。その繰り返しだった。
5分後にすべてが終わり、他の演者と手をつないで礼をすると、緞帳が閉まった。私が心底ホッとしたことは言うまでもない……。
後日、発表会のビデオを見た。予想通り、肩ひもと格闘している場面も、しっかり映っていた。幸か不幸か、ずり落ちたストラップを戻しているというより、かゆみに耐え切れず、腕をボリボリかいている図に見えた……。
このクリップさえあれば、あんな恥ずかしい思いをせずにすむ。
もう一度、ステージに上がりたくなってきた。
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
これは、肩ひもが落ちないように、背中でストラップを留めるものである。
礼を言って受け取ったが、「もっと早く作ってよ~!」と思わないこともない。実は、肩ひもには苦い思い出がある。
大学生のとき、私は手品のサークルに入っていた。年に何度か発表会があり、ドレスやスーツを着てステージに立った。
たしか、3年生のときだ。他大学との合同発表会に出た際、私は「ジグザグ箱」と呼ばれる道具の中で、胴体を切り刻まれる役となった。まず、背の高い箱に入り、ドアを閉める。ドアにはところどころ穴が開いており、顔や手、足が見えるようになっている。
演者が金属板を上に掲げ、ギラギラと光らせながら、私の胸のあたりに打ち込む。板がスッポリはまると、もう一枚の金属板を取り出し、今度は腰に差し込む。観客には、私の胸と腰が切り離されたように見える。
それから演者は、板と板で区切られた箱の真ん中を、ゆっくり右に引いていく。頭と足は元の位置にあるが、胴体だけが遠くに離れていく。テレビなどでもお馴染みだが、自分で見ても気持ちが悪い。
大きな拍手をいただいたあとは、胴体を静かに戻す。完全に戻ったらドアを開け、無事な姿で箱から出てくる。ここでも割れんばかりの拍手喝采が起こる。
問題はそのあとだった。演者が次のマジックを披露する間、私は舞台の端で待機していた。激しい動きのあとで、下着が乱れたのだろう。ブラジャーの肩ひもが、ズルズルと落ちてくるのがわかった。
その日の服装は、ノースリーブの裾がふんわりしたドレスである。公衆の面前で、ブラのひもが「こんにちは」をしたら大変だ。私は焦った。
出しゃばりのストラップは、どうしても顔を出したいらしい。こちらの気持ちを無視して、じりじりと下がってきた。阻止せねばと、袖口から手を入れ、ひもを押し戻す。だが、1分もすれば、またズルズルと落ちてくる。心で「このくそっ」と罵りながらひもを押し込む。その繰り返しだった。
5分後にすべてが終わり、他の演者と手をつないで礼をすると、緞帳が閉まった。私が心底ホッとしたことは言うまでもない……。
後日、発表会のビデオを見た。予想通り、肩ひもと格闘している場面も、しっかり映っていた。幸か不幸か、ずり落ちたストラップを戻しているというより、かゆみに耐え切れず、腕をボリボリかいている図に見えた……。
このクリップさえあれば、あんな恥ずかしい思いをせずにすむ。
もう一度、ステージに上がりたくなってきた。
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
中学生の時、前の席に座ってた女子のブラのホックを摘むのが面白くて何回か外しました。でも外されて喜んでたよ(笑)
ブラチラがイイな(^^)/ってナンノコッチャ(笑)
先生、オッパイ大きいんや?
袖から出るとき、後続のソリストが裾を踏んづけ、
上半身の下着が露わになった話を、
まだ若いアルトのソリストからお聞きしたことがあります
私は息子の母親から、ソリストでもないのに
ステージへ偉そうに出て来ないように、と
毎回、ご指摘を受けております
なんと砂希さんは、手品サークルに入ってたのですか!
鮮やかなドレスを着ての手品や助手姿、見たかったです。
なるほどあの箱は、そういう仕掛けが。
体が硬い人は、努まりませんね。
あ、ヒモをクロスにできるものもあるんですって。
当時もあったかは、定かでないけれど・・・
(`ε´)
なんて書くと、また「最近どうせ“ご無沙汰”のくせに!」なんて言われそう。はい、それはその通りだけど…。
(´_`)
あの、胴体が分かれるマジックは、剣を刺した瞬間、血のりが飛び散る仕掛けにしたら更に面白いだろうね。
ブラジャーのことは疎いので構造がよくわかりませんが…
クリップは脱がせるのがたいへんそう~ (*゜.゜)ゞポリポリ
まったく、しょうもないことばかりして~。
「ブラのホック」ってタイトルで日記を書きなさい。
で、巨乳かって?
どこにそんな文があるのよ(笑)
貧乳だから、ジグザグ箱に入ったんだよ(爆)
陽水さんはブラ男になり、肩ひもが落ちる不快感を味わうべし。
なかなかよさそうです。
でも、まだ使ってないので何とも。
貴女の服の下には秘密があったんですね。
私は右肩にバッグを掛ける癖があるので、右肩が上がり左肩が下がっているそうです。
だから、左の肩ひもが落ちてきます。
あの気持ち悪さはたまりませんね。
ソリストの悲劇ってやつですかね。
予期せぬ衝撃に上半身がベローンとは。
後続の方はどうやってお詫びしたのでしょうか。
私だったら、自分で裾を踏みつけてベローンとなりそうです(笑)
でもまあ、ライブ中にズボンのお尻の部分が破れたロッカーもいるし。
服には危険がつきまといます。
はい、背中でバッテンにできるストラップもありました。
でも、あれは肩がこるんですよ。
落ちてこない代わりに、肩が重くなるので、私はクロスさせませんでした。
そして悲劇が…。
人体を切ったり浮かべたりする、大掛かりな種目をイリュージョンといいます。
タネがどうのというより、演者や助手の美しい動きが大事だと思います。
でも、当時はそこまでゆとりがなくて、手順をこなすだけで満足していました。
やはり素人ですね。