去年、私のクラスから警察官採用試験に合格した男子がいる。
今は警察学校に入っていて、2月に卒業する予定らしい。
「今年も、警察官になりたいっていう生徒さんはいませんかね」
先月、警視庁からのリクルーターが来校し、仕事の内容や採用試験について熱心に説明してくれた。東京オリンピックを控えて、採用枠を広げているのなら、今がチャンスかもしれない。
「いないこともないのですが、他の職種と迷っているようです」
「そうですか。じゃあ、お近くですから、一度、施設見学にいらしたらどうですか?」
「いいですね」
「できれば先生もご一緒に」
見学や体験という言葉には弱い。公務員希望の男子に声をかけると、彼らも大いに乗り気だった。
早速、弾んだ声でリクルーターに電話をかけ、見学の日どりを決める。もちろん、私も引率でついていくことにした。
「お邪魔しまーす」
男子生徒3人と一緒に庁舎に入り、まずは職務内容のDVDを見る。地域警察官、交通警官、刑事警察、生活安全警察、警備警察などから始まって、一般職としては事務職員、鑑識、電気、自動車運転免許試験管などなど、予想以上に多様な職種があるとわかった。
警察学校は府中にあり、毎年1500人が入校するという。法学・倫理を学び、取り調べや職務質問のやり方を身につけるのはもっともなことだ。だが、華道、茶道、道徳、伝統文化もカリキュラムに含まれていることは知らなかった。柔道、剣道、合気道などの武道に射撃訓練、応急措置、心肺蘇生法に取り組む様子は、まさに警察官の卵。苦労して迎える卒業式では、涙涙のオンパレードらしい。
「どうですか、仕事についてご理解いただけましたか?」
「はい」
生徒たちは目をくりくりと動かして答える。自分も、警察官になった気分に浸れたのかもしれない。
「じゃあ、白バイを見に行きましょう」
リクルーターは現役の白バイ隊員である。青と水色の中間くらいの色で塗られた制服がりりしい。
一番多いのはホンダ製だというが、ヤマハ製やモトクロス仕様の白バイも見せてくれた。
「それぞれに、スピーカーとサイレンがついていますから、転倒したら修理代が大変なんですよ。みんな慎重に運転しています」
「へー」
私は白バイをじっくり観察していたが、男の子たちは喜びの余り、落ち着きを失っていた。リクルーターは彼らの心理を十分に理解しているようで、言葉もなく動くと、280kgものバイクを彼らの前まで持ってきた。
「どうです? 乗ってみませんか」
「わあ、いいんですか!」
ここで断る男の子がいるのだろうか。乗車したところで写真も撮ってくれる。普段は無口な男の子たちだが、この日ばかりははしゃいでいた。
「先生もよかったら」
「はいっ」
私まで……。調子に乗り過ぎたかもしれない。
このあと、パトカーにも乗せてもらって、館内を見学したあと出口に向かった。
「ありがとうございました!!」
到着時と、挨拶のボリュームが違う。普通はできないことをさせてもらって、彼らも満足したようだ。
警察官になれるかどうかはともかく、警察の仕事を理解することは一市民として必要だと思う。
さて、本校には、自衛隊のリクルーターもときどきやってくる。
「どうですか、自衛官になりたいという生徒さんはいますか」
「公務員志望は多いので、いるかもしれません。体験や見学はないですか」
「潜水艦に乗る体験はありますが、有料なんですよね」
「えー、警視庁は白バイやパトカーに乗る体験をさせてくれたのに」
「じゃあ、調べておきます……」
ちょっと図々しい?
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
今は警察学校に入っていて、2月に卒業する予定らしい。
「今年も、警察官になりたいっていう生徒さんはいませんかね」
先月、警視庁からのリクルーターが来校し、仕事の内容や採用試験について熱心に説明してくれた。東京オリンピックを控えて、採用枠を広げているのなら、今がチャンスかもしれない。
「いないこともないのですが、他の職種と迷っているようです」
「そうですか。じゃあ、お近くですから、一度、施設見学にいらしたらどうですか?」
「いいですね」
「できれば先生もご一緒に」
見学や体験という言葉には弱い。公務員希望の男子に声をかけると、彼らも大いに乗り気だった。
早速、弾んだ声でリクルーターに電話をかけ、見学の日どりを決める。もちろん、私も引率でついていくことにした。
「お邪魔しまーす」
男子生徒3人と一緒に庁舎に入り、まずは職務内容のDVDを見る。地域警察官、交通警官、刑事警察、生活安全警察、警備警察などから始まって、一般職としては事務職員、鑑識、電気、自動車運転免許試験管などなど、予想以上に多様な職種があるとわかった。
警察学校は府中にあり、毎年1500人が入校するという。法学・倫理を学び、取り調べや職務質問のやり方を身につけるのはもっともなことだ。だが、華道、茶道、道徳、伝統文化もカリキュラムに含まれていることは知らなかった。柔道、剣道、合気道などの武道に射撃訓練、応急措置、心肺蘇生法に取り組む様子は、まさに警察官の卵。苦労して迎える卒業式では、涙涙のオンパレードらしい。
「どうですか、仕事についてご理解いただけましたか?」
「はい」
生徒たちは目をくりくりと動かして答える。自分も、警察官になった気分に浸れたのかもしれない。
「じゃあ、白バイを見に行きましょう」
リクルーターは現役の白バイ隊員である。青と水色の中間くらいの色で塗られた制服がりりしい。
一番多いのはホンダ製だというが、ヤマハ製やモトクロス仕様の白バイも見せてくれた。
「それぞれに、スピーカーとサイレンがついていますから、転倒したら修理代が大変なんですよ。みんな慎重に運転しています」
「へー」
私は白バイをじっくり観察していたが、男の子たちは喜びの余り、落ち着きを失っていた。リクルーターは彼らの心理を十分に理解しているようで、言葉もなく動くと、280kgものバイクを彼らの前まで持ってきた。
「どうです? 乗ってみませんか」
「わあ、いいんですか!」
ここで断る男の子がいるのだろうか。乗車したところで写真も撮ってくれる。普段は無口な男の子たちだが、この日ばかりははしゃいでいた。
「先生もよかったら」
「はいっ」
私まで……。調子に乗り過ぎたかもしれない。
このあと、パトカーにも乗せてもらって、館内を見学したあと出口に向かった。
「ありがとうございました!!」
到着時と、挨拶のボリュームが違う。普通はできないことをさせてもらって、彼らも満足したようだ。
警察官になれるかどうかはともかく、警察の仕事を理解することは一市民として必要だと思う。
さて、本校には、自衛隊のリクルーターもときどきやってくる。
「どうですか、自衛官になりたいという生徒さんはいますか」
「公務員志望は多いので、いるかもしれません。体験や見学はないですか」
「潜水艦に乗る体験はありますが、有料なんですよね」
「えー、警視庁は白バイやパトカーに乗る体験をさせてくれたのに」
「じゃあ、調べておきます……」
ちょっと図々しい?
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
20年前は「来たけりゃ来れば?ただしキツいぞ、舐めんなよ」みたいな感じでした。
吹奏楽部の子が楽隊に入りたいとよく迷ってたなあ。
自衛隊の体験が来たら、
迷彩服着て匍匐前進体験とかするのかな?
海上保安官になって今日も命がけで尖閣諸島の警備に行っている甥っ子のことを思うと、微笑み切れない私がいます。
ただ、僕が普段見かける警察官の質はどうなのか?長い直線道路とか一時停止の交差点で運悪く捕まっているのは軽に乗ってる主婦みたいな人ばかり…ってのを度々見てると、そんな弱者ばかり相手にしてないで、もっと悪質なヤツいるだろ?って思います。
マンションの1、2階以上に住んでいてもカギをかけなくちゃいけない日本って、いつからこんなに質が低下したのか?・
警察官にはもっと頑張って本当に悪いヤツをしっかりと捕まえて欲しいです。
…にしても、白バイいい経験でしたね。自衛隊体験記事も楽しみにしてます。
母が海自フリークで、子供の時から観艦式などに連れて行かれました。
夏の制服は白。
素敵ですよね。
警視庁のリクルーターも、慣れない仕事に試行錯誤のようでした。
来るなら来い、の時代から方向転換した結果でしょうか。
白バイの乗り心地は素晴らしく、適度な硬さのシートに腕にしっくりくるグリップ、ボンドカー並みの計器にほれぼれします。
専門学校の先生に言わせれば「ズルいですよね」でしたが(笑)
神奈川に住む友人が、県警の問題点を指摘していました。
以前、あれやこれやでニュースになりましたが、何も変わっちゃいないという話です。
警視庁はどうなんだろう。
私が気になっていたのは、ベストセラーになった警察学校小説『教場』です。
はたして、これが本当なら、教え子は仕事を続けられるのかしら。
率直にリクルーターに聞いたら、あれはフィクションだと断言していましたが。
市中で犯人を捕らえるよりも、警察学校のほうが危険という書き方だったのが気がかりです。
たまに、ランニングしているのに出くわします。
女子も一緒なので、大変だなあと。
公務員の中でも、よほどの覚悟がないとできない仕事。
教え子くん、がんばってほしいです。
われわれの頃は誰も行きたがらなかったけど、今は公務員ということで警察の倍率は高いそうです。
てか首都圏だと簡単に公務員になれる成績でも田舎は就職するところが無いのでたいへん…
近くに自衛隊の駐屯地があるので金網越しに見てると走ってばかりですよ、
体験入隊したときはペコちゃんのあめ玉でもしゃぶらせているんでしょうね、でないと誰も入らないと思います(笑)
警察学校の一日は厳しいようです。
7時に校庭集合で朝礼。
その後は学科や実技に明け暮れ、夜にもまた校庭集合があるとか。
雨の日は班長だけが一室に集合するので楽なんですって。
卒業までは寮生活。
部屋着も指定のものを着用します。
週末は外出可能なので、私服を着られるのはこのときだけ。
教え子には5月に一度メールしてみました。
前向きに頑張っている雰囲気だったので、大丈夫かな?
警察官にあこがれる若者も多いです。
しかし、公安の仕事にはいちいち制限があって、身辺調査も厳しいとか。
不合格になった者は自衛官などのスライドすると聞きました。
昔は子供が多かったから、もっと大変だったのかも。
自衛隊体験を3種類紹介してもらえました。
陸上、海上、航空それぞれ1種類ずつあるようです。
教員枠はなかったけれど(笑)