その日、私は娘の保護者会に参加するため駅にいた。
手早くお昼をすませて、電車に乗らねばならない。昼食時はどこも混んでいるが、ミスタードーナツは空いていたので、「肉そばにしよっかな~」と考えながらドアをくぐった。
好物のエビグラタンパイを半分食べたところで、注文した肉そばが運ばれてくる。この手早さがありがたい。早速、「いっただきま~す」と箸をつけた。男性には少々物足りないだろうが、細い麺と控えめな量が気に入っている。
しかし、そこからがいけない。
入口近くの家族連れが、大きな声で店員を呼んだ。
「すみませーん、鳩が入ってきたんですけどー!」
見ると、一羽の土鳩が、店内の端を歩いている。「あれっ、変なとこに入ってきちゃったぞ」と気づいたようで、かなり焦り気味だ。
カウンターから、若い男性店員が歩いてきた。が、「俺に任せろ!」という様子はみじんもなく、目はオドオドとせわしなく動き、足取りも重い。いかにも頼りない雰囲気である。
鳩は危険を察知したようで、羽を広げるやいなや、バサバサバサと飛び始めた。
「ああっ!」
食べ物の上を、鳩が飛び回っている……。
何とも、非衛生的な光景である。だが、私は急いでいたので、「こっちに来るなよ」と念じながら、ひたすら食べ続けていた。
店員は、バックヤードに戻り、段ボールを持ってきた。さきほどよりは、やる気が感じられる。しかし、狼狽した鳩はやみくもに飛び回り、段ボールに収まる気配はない。
「怖いよ~!!」
小学生低学年とおぼしき少女が、母親にすがって泣き叫んでいる。これには驚いた。
男性店員もこの少女も、なぜか鳩を恐れているのだ。もし、私の子どもだったら、「鳩ごときで泣くなッ!!」と一喝するところだが、そうではなかった。この母親は、「○○ちゃん、大丈夫よ」などと背中をさすっている。
イライラする……。
若者の弱さに、日本の将来を悲観した。
鳩は疲れ、だんだん飛べなくなってきた。ゼイゼイと肩で息をしている。今がチャンスだ。しかし、手づかみという発想はないようで、店員は段ボールを離さない。ようやく鳩の上からかぶせ、そのままドアまでひきずって、何とか外に出すことができた。
これにて一件落着。
あとは店員が、鳩が飛び回っていた間、食べられなかったドーナツや麺類の交換を申し出ていた。まあ、妥当な判断だろう。
そんなこんなで、タッチの差で電車に乗り遅れ、保護者会に遅刻したことが悔しい……。
↑
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
手早くお昼をすませて、電車に乗らねばならない。昼食時はどこも混んでいるが、ミスタードーナツは空いていたので、「肉そばにしよっかな~」と考えながらドアをくぐった。
好物のエビグラタンパイを半分食べたところで、注文した肉そばが運ばれてくる。この手早さがありがたい。早速、「いっただきま~す」と箸をつけた。男性には少々物足りないだろうが、細い麺と控えめな量が気に入っている。
しかし、そこからがいけない。
入口近くの家族連れが、大きな声で店員を呼んだ。
「すみませーん、鳩が入ってきたんですけどー!」
見ると、一羽の土鳩が、店内の端を歩いている。「あれっ、変なとこに入ってきちゃったぞ」と気づいたようで、かなり焦り気味だ。
カウンターから、若い男性店員が歩いてきた。が、「俺に任せろ!」という様子はみじんもなく、目はオドオドとせわしなく動き、足取りも重い。いかにも頼りない雰囲気である。
鳩は危険を察知したようで、羽を広げるやいなや、バサバサバサと飛び始めた。
「ああっ!」
食べ物の上を、鳩が飛び回っている……。
何とも、非衛生的な光景である。だが、私は急いでいたので、「こっちに来るなよ」と念じながら、ひたすら食べ続けていた。
店員は、バックヤードに戻り、段ボールを持ってきた。さきほどよりは、やる気が感じられる。しかし、狼狽した鳩はやみくもに飛び回り、段ボールに収まる気配はない。
「怖いよ~!!」
小学生低学年とおぼしき少女が、母親にすがって泣き叫んでいる。これには驚いた。
男性店員もこの少女も、なぜか鳩を恐れているのだ。もし、私の子どもだったら、「鳩ごときで泣くなッ!!」と一喝するところだが、そうではなかった。この母親は、「○○ちゃん、大丈夫よ」などと背中をさすっている。
イライラする……。
若者の弱さに、日本の将来を悲観した。
鳩は疲れ、だんだん飛べなくなってきた。ゼイゼイと肩で息をしている。今がチャンスだ。しかし、手づかみという発想はないようで、店員は段ボールを離さない。ようやく鳩の上からかぶせ、そのままドアまでひきずって、何とか外に出すことができた。
これにて一件落着。
あとは店員が、鳩が飛び回っていた間、食べられなかったドーナツや麺類の交換を申し出ていた。まあ、妥当な判断だろう。
そんなこんなで、タッチの差で電車に乗り遅れ、保護者会に遅刻したことが悔しい……。
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
鳩は見た目や動きの愛らしさはともかく、保菌なのがねぇ…。
子どもの頃、ヒッチコックの映画「鳥」を見てから鳥は嫌い。
鳥インフレのニュースでニワトリの画像がでますが、あれもダメ。
目をそらせてしまいます。
というわけで、私はその小学生の少女に近いかも。
ベランダに巣を作ったハチなんかなら叩き落としたけど…
そりゃ、集団で襲ってきたら怖いよね(笑)
でも、そんなことありえないでしょ。
ヒッチコックの「鳥」は、非現実的すぎる…。
鳩にエサをあげる人もいるね。
フン害は困るけど、平和のシンボルだし。
食べ物屋には遠慮してもらいたいところ。
なるほど、人それぞれなんですね。
私も「鳥」は見ました。
「そんなこと、あるわけないじゃん」で終わってしまいましたが…。
長年、鳥を飼っていたから、免疫もありますし。
大学のとき、手品の鳩を触る機会がありました。
しかし、蜂は苦手です。
何度も刺されたことがあるからかも。
蜂退治はYUMIさんにお願いしようかしら(笑)
記事を見て私も日本の将来を悲観した口ですが、インフルエンザとかもあるし、若者の行動は慎重だったのかも。
鳩がエビグラタンパイの上でポッポするという大惨事にならなくてよかったです。(*^^*)ポッポ
そうですね、鳥インフルは危険です。
しかも、「鳩はバッチイ」と教わって育ちますから、触ったら大変なことになると思うのかも。
今の子どもたちは、清潔志向が強すぎ。
除菌がなんだっと反論したくなりますよ。
人間は多少の菌に慣れないと、耐性もできませんもの。
店員が苦戦している間、聞こえる声で「かわいそう」と言っている女の子がいました。
好きで鳩を追いこんでいるとでも思っているのでしょうか。
「だったら、お前が何とかしろっ」と突っかかりたくなりましたよ。
人の気も知らないで。
でもひょっとして、海を渡ってきたハトだったら(汗
清潔思考と、カワイイ・かわいそうで括る日本。
・・・ちょっと行く末が心配です。
私もさいたま市で木登りに明け暮れる少女でした(笑)
鳩ごときを手づかみできずどうする!?
しかし、病気になるのはイヤですね。
まあ、洗えば何とかなるような気もしますが。
カワイイ・かわいそうはよく聞く言葉です。
もっと他にも言葉はあるだろう~!
いま秋田にいますが、昨日散歩中のヤマドリに会いました。かなり珍しい鳥の気がしますが、土地の人はハト扱いでした。
はい、鳩も必死だったようで…。
段ボールをかぶせられてから、店外に出されるまでの何秒かが、一番怖かったんじゃないかと思います。
ケガしなかったかな~?
秋田にいらっしゃるんですね。
こちらは、やっとミュシャ展にたどり着きました。
今、どのブログにアップしようか思案中…。
ヤマドリも散歩するんですね(笑)