前回(→こちら)の続き。
勉強ができて、クラスの中心的存在である中学時代の同級生ユウコちゃんだが、基本オラオラ系で、口が悪く、表現がストレートなのが玉に瑕。
出すテストが簡単な先生をつかまえて、
「あたしとバカの差がつかないから、もっと難しくしろ」
などと要求するのだから、その気の強さもわかろうというもの。
おー、コワ!
こんなキツイ子とぶつかったら、私のようなショボい男子など、どんな目にあわされるかわかったものではない。
なので、なるたけ見つからないようそっとしていたのだが、ひょんなことから、戦いの舞台に引きずり出されることとなってしまったのだから、災難というのはどこに転がっているかわからない。
それは、夏休み後すぐの美術の授業であった。
この夏休み、先生はある宿題を出していた。中身は単純で、風景画でも自画像でもなんでもいいから、絵を描いてくるというものである。
これを聞いたとき、私はまいったなあとボヤくはめになった。自慢ではないが、絵心というものがまったくないのである。
が、そうはいっても仕方がない。いつもならバックレてしまうところだが、時は中学3年生。そんなことをしては内申点に響いてしまう。
こうなればやるしかない。下手は下手なりにがんばろうと筆をとったのだが、これがその謙虚な姿勢がよかったのか、思ったよりもうまく描けてしまった。
もちろん、描ける人とくらべたら落書きみたいなシロモノだが、アウェー科目なら5段階で「3」をもらえれば御の字。それには充分の出来だったのだ。
提出すると予想通り、「まずまず描けてますね」と先生に及第点をいただいた。
よしよしである。これで赤点だけはまぬがれそうだと、ホクホク顔で席に戻ろうとすると、そこに立ちふさがった人がいた。
そう、天下の女王様、ユウコちゃんであった。
ユウコちゃんは腰に手を当て、私の前で仁王立ちしながら、
「先生、これはおかしいと思います!」
ビシッと響きわたる声だった。
突然の強烈な意見表明に、ややたじろいた先生が「なにがですか」と問うならば、
「それ、彼が描いたにしてはうますぎます」。
うますぎる。おお、うれしい。
思わず、よろこんでしまった。私は人生において、絵をうまいと言ってもらったことが一度もなかったのである。
だが、よろこんでばかりもいられない。どうやら私は彼女の逆鱗にふれるなにかをやってしまったようなのだ。
ユウコちゃんは、こちらに対し、石に変えようとするメデューサのごとくにらみつけると、
「これ、絶対にインチキです! だれかに描いてもらってるんですきっと!」
おーい、おいおいおいおいおいおい! なんちゅうこと言い出すのかキミは。
前回に続き、またもや直球ど真ん中である。顔面グーパンチだ。
思いっきりイチャモンをつけられた私は、思わず長いため息をつきそうになった。
うわー、めっちゃ怒ってますやん、と。
ハッキリ言ってヤカラだが、なぜにて彼女がそのような主張をするのかは、いかなボンヤリの私にもうっすら理解はできないこともなかった。
(続く→こちら)
勉強ができて、クラスの中心的存在である中学時代の同級生ユウコちゃんだが、基本オラオラ系で、口が悪く、表現がストレートなのが玉に瑕。
出すテストが簡単な先生をつかまえて、
「あたしとバカの差がつかないから、もっと難しくしろ」
などと要求するのだから、その気の強さもわかろうというもの。
おー、コワ!
こんなキツイ子とぶつかったら、私のようなショボい男子など、どんな目にあわされるかわかったものではない。
なので、なるたけ見つからないようそっとしていたのだが、ひょんなことから、戦いの舞台に引きずり出されることとなってしまったのだから、災難というのはどこに転がっているかわからない。
それは、夏休み後すぐの美術の授業であった。
この夏休み、先生はある宿題を出していた。中身は単純で、風景画でも自画像でもなんでもいいから、絵を描いてくるというものである。
これを聞いたとき、私はまいったなあとボヤくはめになった。自慢ではないが、絵心というものがまったくないのである。
が、そうはいっても仕方がない。いつもならバックレてしまうところだが、時は中学3年生。そんなことをしては内申点に響いてしまう。
こうなればやるしかない。下手は下手なりにがんばろうと筆をとったのだが、これがその謙虚な姿勢がよかったのか、思ったよりもうまく描けてしまった。
もちろん、描ける人とくらべたら落書きみたいなシロモノだが、アウェー科目なら5段階で「3」をもらえれば御の字。それには充分の出来だったのだ。
提出すると予想通り、「まずまず描けてますね」と先生に及第点をいただいた。
よしよしである。これで赤点だけはまぬがれそうだと、ホクホク顔で席に戻ろうとすると、そこに立ちふさがった人がいた。
そう、天下の女王様、ユウコちゃんであった。
ユウコちゃんは腰に手を当て、私の前で仁王立ちしながら、
「先生、これはおかしいと思います!」
ビシッと響きわたる声だった。
突然の強烈な意見表明に、ややたじろいた先生が「なにがですか」と問うならば、
「それ、彼が描いたにしてはうますぎます」。
うますぎる。おお、うれしい。
思わず、よろこんでしまった。私は人生において、絵をうまいと言ってもらったことが一度もなかったのである。
だが、よろこんでばかりもいられない。どうやら私は彼女の逆鱗にふれるなにかをやってしまったようなのだ。
ユウコちゃんは、こちらに対し、石に変えようとするメデューサのごとくにらみつけると、
「これ、絶対にインチキです! だれかに描いてもらってるんですきっと!」
おーい、おいおいおいおいおいおい! なんちゅうこと言い出すのかキミは。
前回に続き、またもや直球ど真ん中である。顔面グーパンチだ。
思いっきりイチャモンをつけられた私は、思わず長いため息をつきそうになった。
うわー、めっちゃ怒ってますやん、と。
ハッキリ言ってヤカラだが、なぜにて彼女がそのような主張をするのかは、いかなボンヤリの私にもうっすら理解はできないこともなかった。
(続く→こちら)