「ダビド・フェレールこそが男である!」と独眼鉄先輩は言った

2015年01月06日 | テニス
 ダビド・フェレールは男である。

 「男とはなんぞや」と問うたのは男塾三号生独眼鉄先輩だ。

 その答えには将棋界なら佐藤康光であるとか、野球なら男岩鬼など様々であるが、テニス界ではフェレールこそが熱き魂を持った男であろう。

 ダビド・フェレールはスペインのテニス選手。

 スペインのスポーツといえば、今ではサッカーが名高いが、実はテニスでも大きな果実を実らせている。

 もともとアカデミーを設立したり、国内のチャレンジャー大会(サッカーでいう2部リーグのようなもの)を充実させるなど、若手育成に力を入れていたところではあったが、1996年のオーストラリアン・オープンでカルロス・モヤが準優勝してから一気に花開いた。

 その後アレックス・コレチャ、アルベルト・コスタ、フアン・カルロス・フェレーロなど多くのチャンピオンを排出し、特にクレーコートのフレンチ・オープンでは毎年のように優勝者を出すほど。

 またテニスでは珍しい国別対抗戦デビスカップでも何度も栄冠に輝く、まさにテニス王国ともいえる実績を誇っているのだ。

 その結実ともいえるのがラファエル・ナダルというテニス史上に残るスーパーヒーローだが、通のテニスファンはナダルの陰で、このテニス王国を支える男への畏敬の念は忘れることはない。

 それが、ダビド・フェレールという男である。

 スペイン不動のナンバー2として君臨する彼は、昔から実力は認められていたものの、同僚で後輩のナダルがあまりにも大きな結果を出してしまったためか、いまひとつ目立たないポジションに甘んじることとなっていた。

 ジャパン・オープンで優勝したり、錦織圭と大きな場面で対戦することが多かったことから、日本ではかなりなじみのある選手ではある。

 だが、やはりグランドスラムのタイトルや世界ナンバーワンの経験がないことなどもあって、ジョー=ウィルフリード・ツォンガや、先日引退したニコライ・ダビデンコのような、

 「力はあるのに、もう一つ爆発しきれてない」

 といった、はがゆさを感じさせる選手の一人となっている。

 そんなフェレールがついに爆発したのが2012年。

 年始めのオーストラリアン・オープンでベスト8の成績を残すと、スペイン・クレーコーターの庭であるローラン・ギャロスでは初の(意外だ)ベスト4に。

 さらには苦手のはずのウィンブルドンでもベスト8に入り、ロンドン・オリンピックこそ3回戦で錦織圭に敗れたものの、USオープンでも準決勝まで進出して、その実力を見せつけた。

 これを見ると、

 「世界ランキング最高4位の選手なんだから、それくらいはできるだろう」

 そう簡単に思われがちだが、ハードに芝、それにクレーとサーフェスの違う大会でコンスタントに好成績を残すのは、見ている側が考えるより相当難度が高いのである。

 スペインといえば土のスペシャリストのイメージが強いが、あらゆるコートに対応できる力を備えているのがフェレールの魅力。

 この年は年間過去最多の7大会で優勝。トップの座をおびやかす2番手グループの中では、頭一つ抜け出すこととなった。

 2013年のオーストラリアン・オープンでも、「因縁の」錦織圭を4回戦で吹っ飛ばしてベスト8入りを果たし見事な安定感を見せつけている。

 ではこれだけの力を持ちながら、なぜにてフェレールはいまだグランドスラムのタイトルを取れず、ランキングも4位が最高でストップしているのか。

 これはもういうまでもない、上に「4強」という大きな壁が存在したからである。


 (続く【→こちら】)



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