「松岡修造さんの隣でテニスを観戦したことがある」。
というのは、ひそかな自慢である。
「街で有名人を見かけた」という話は、渋谷や新宿でけっこうアイドルや女優とすれちがったりするらしい帝都東京とちがい、大阪ではそうあることではない。
かくいう私が見かけた人といえば、シャンプーハットのこいちゃんとか、天竺鼠の川原君とかウーマンラッシュアワーの中川パラダイスさんとか、関西らしく、やはり芸人さんが多かった。
あと、結局見ることはかなわなかったけど、通っていた高校の近くに中島らもさんの事務所があって、ファンだった私と友人数名がJR玉造駅近くのビルに日参していたこともあった。
「ここが、らもさんの仕事場かあ」
「この中で大麻とか吸ってはるんや」
「睡眠薬もバリバリやで。カッコええなあ」
「なあ、どうする? やっぱピンポンダッシュしとくか?」
「エッセイのネタにしてくれるかもしれへんなあ」
などと、そのあこがれを吐露していたもの。迷惑至極で、今なら下手すると炎上ものだ。
やはり近所にあった大阪女学院のすっごいかわいい女の子たちに、「なに騒いでんの、コイツら」と汚物を見るような目で見られたことも、今となってはM的にステキな思い出だ。
他にも、ラッキーぜんじろうとか、ちゃらんぽらんの冨好さんとか、めずらしいところでは将棋のプロ棋士である南芳一九段なんてのもあるけど、なかなか全国区で知られてそうな人との遭遇経験がなかったのだ。
そんな田舎者が、思いもかけず「おお!」と思わず背筋を正してしまいそうなビッグマンに間近で接することになる。
もう10年以上も前のことだが、大阪は本町にある靫公園テニスセンターで行われる、世界スーパージュニアテニス選手権という大会を見に行ったときのこと。
文字通りジュニアの選手の大会だが、「なんだ、まだ子供かよ」とあなどってはいけない。
彼らはまだ17、8歳くらいだが、これからトッププロを目指す精鋭ぞろいである。
その証拠に、歴代優勝者およびファイナリストを見ても、男子ではマルセロ・リオス、セバスチャン・グロージャン、パラドン・スリチャパン、マルコス・バグダティス、 ジョー=ウィルフリード・ツォンガ、マリン・チリッチ、ダブルスで何気にアンディー・ロディックが優勝していたりする。
女子でもアメリ・モレスモ、ダニエラ・ハンチュコバ、エレナ・ヤンコビッチ、ルーシー・サファロバ、キャロライン・ウォズニアッキ、ビクトリア・アザレンカなどなど。
かの錦織圭も参戦しているが、ベスト4どまりだったといえば、そのレベルの高さもわかろうというものである。
これはもう、玄人のテニスファンなら「買い」というか、将来、
「まあな、アイツもがんばっとるみたいやけど、オレが育てたようなもんや」
なんて自慢するためにも、ぜひとも押さえておきたい大会なのだ。
で、その年もスケジュールのやりくりをつけて朝から観戦に出かけたのだが、グランドスタンドコートの試合をぼんやりとみていると、隣にどっかと、男の人がすわったのであった。
印象としては、やたらとでかくて存在感がある。オレンジっぽいシャツを着て、オーラもバリバリだ。
きっとコーチかなにかだろうな。もしかしたら、有名な元選手だったりして。
と期待を胸にちらりと見てみると、それがなんと松岡修造さんなのであった。
(続く→こちら)
というのは、ひそかな自慢である。
「街で有名人を見かけた」という話は、渋谷や新宿でけっこうアイドルや女優とすれちがったりするらしい帝都東京とちがい、大阪ではそうあることではない。
かくいう私が見かけた人といえば、シャンプーハットのこいちゃんとか、天竺鼠の川原君とかウーマンラッシュアワーの中川パラダイスさんとか、関西らしく、やはり芸人さんが多かった。
あと、結局見ることはかなわなかったけど、通っていた高校の近くに中島らもさんの事務所があって、ファンだった私と友人数名がJR玉造駅近くのビルに日参していたこともあった。
「ここが、らもさんの仕事場かあ」
「この中で大麻とか吸ってはるんや」
「睡眠薬もバリバリやで。カッコええなあ」
「なあ、どうする? やっぱピンポンダッシュしとくか?」
「エッセイのネタにしてくれるかもしれへんなあ」
などと、そのあこがれを吐露していたもの。迷惑至極で、今なら下手すると炎上ものだ。
やはり近所にあった大阪女学院のすっごいかわいい女の子たちに、「なに騒いでんの、コイツら」と汚物を見るような目で見られたことも、今となってはM的にステキな思い出だ。
他にも、ラッキーぜんじろうとか、ちゃらんぽらんの冨好さんとか、めずらしいところでは将棋のプロ棋士である南芳一九段なんてのもあるけど、なかなか全国区で知られてそうな人との遭遇経験がなかったのだ。
そんな田舎者が、思いもかけず「おお!」と思わず背筋を正してしまいそうなビッグマンに間近で接することになる。
もう10年以上も前のことだが、大阪は本町にある靫公園テニスセンターで行われる、世界スーパージュニアテニス選手権という大会を見に行ったときのこと。
文字通りジュニアの選手の大会だが、「なんだ、まだ子供かよ」とあなどってはいけない。
彼らはまだ17、8歳くらいだが、これからトッププロを目指す精鋭ぞろいである。
その証拠に、歴代優勝者およびファイナリストを見ても、男子ではマルセロ・リオス、セバスチャン・グロージャン、パラドン・スリチャパン、マルコス・バグダティス、 ジョー=ウィルフリード・ツォンガ、マリン・チリッチ、ダブルスで何気にアンディー・ロディックが優勝していたりする。
女子でもアメリ・モレスモ、ダニエラ・ハンチュコバ、エレナ・ヤンコビッチ、ルーシー・サファロバ、キャロライン・ウォズニアッキ、ビクトリア・アザレンカなどなど。
かの錦織圭も参戦しているが、ベスト4どまりだったといえば、そのレベルの高さもわかろうというものである。
これはもう、玄人のテニスファンなら「買い」というか、将来、
「まあな、アイツもがんばっとるみたいやけど、オレが育てたようなもんや」
なんて自慢するためにも、ぜひとも押さえておきたい大会なのだ。
で、その年もスケジュールのやりくりをつけて朝から観戦に出かけたのだが、グランドスタンドコートの試合をぼんやりとみていると、隣にどっかと、男の人がすわったのであった。
印象としては、やたらとでかくて存在感がある。オレンジっぽいシャツを着て、オーラもバリバリだ。
きっとコーチかなにかだろうな。もしかしたら、有名な元選手だったりして。
と期待を胸にちらりと見てみると、それがなんと松岡修造さんなのであった。
(続く→こちら)