台北故宮博物院の白菜と角煮は、どう見ても「ウケねらい」の産物

2019年06月01日 | 海外旅行
 台北故宮博物院には感動することしきりだった。
 
 海外旅行が好きな私は、友人からおすすめスポットをたずねられることなんかもあり、こないだは台湾にある龍山寺が、
 
 
 「意味もなく、関羽孔子を祀るというアバウトさがステキ」
 
 
 ということで推薦したが(→こちら)、台湾といえば、もうひとつはずせないのが故宮博物院であろう。
 
 資料によると69万個以上の美術品などを所蔵しており、もう中華好き歴史好きにはたまらない場所。
 
 中に入るとずらりと宝物が並んでおり、郎世寧の「百駿図」とか永楽帝とか、もう世界史の教科書でちらっと見た記憶のある名前が、ガンガン出てくる。
 
 それを見ているだけでも充分に楽しいが、やはりここをおとずれたら鑑賞したいのは、これしかあるまい。
 
 そう、白菜角煮だ。
 
 というと、おいおいだれが昼飯の話をしてるんや、なんてつっこみを入れられそうだが、いやいやこれは別に腹が減ったわけではなく、展示物の話をしているんです。
 
 なにをかくそうこの台北にある故宮博物院では、堂々と「白菜」と「豚の角煮」の精密彫刻が展示されているんですね。
 
 で、生で見たら、これがメチャクチャよくできてる。
 
 白菜はヒスイを彫った一品で、の部分がエメラルドみたいで美しい。
 
 そこにチョコンと、キリギリスが乗っているお遊びがまた楽しい。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 角煮の方は土色で、作者不明の謎のアイテム。
 
 飴色に輝くが絶妙の仕上がりで、もう今すぐこれをおかずに、『孤独のグルメ』の井之頭さんのごとく、メシをわさわさと食いたい。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 他の「皇帝の台座」みたいなのが、しっかり作られているのは当然といえば当然だから、「すごいなあ」くらいだけど、こんな「おもしろアイテム」みたいなものに、これだけの技術を注ぎこんでいる。
 
 というアホらしさといって悪ければ、お茶目さがいいではないか。
 
 実際のところは、翠玉白菜は「多産の象徴」とか、一応もっともらしい由来が語られているが、もちろんのこと、そんな大仰なことでもあるまい。
 
 この2品が作られたモチベーションは、
 
 
 「中華4000年の歴史でもって、その技術の粋と膨大なる手間をかけ、作るのがあえて白菜角煮
 
 
 完全無欠の「ウケねらい」であろう。
 
 おそらくは職人同士で、
 
 

 「おまえ、今度の作品、なに作るねん」

 「白菜や」

 「アッハッハ、なんでやねん! おまえくらいのプロが、なんで野菜なんや!(笑)」

 「それにバッタも乗せるで(キリッ!)」

 「ダッハッハ! 乗せてどないする! もっとちゃんとしたもん作れよ、とか扇子とか(爆笑)」

 「見て見てー、オレなんか角煮やねん。ほら、ホンマもんにしか見えへんやろ?」

  「ナハハハハ! だから、なんで角煮やー! おまえらメッチャおもろいな! 天才か、吉本行

 
 
 みたいな会話をしていたことであろう。
 
 嗚呼、なんてマヌケでステキなんだ、古代中華の人!
 
 このように、故宮博物院は行く価値のある観光スポットといえる。
 
 そこで我々が感じられることとは、中華4000年の悠久歴史、すばらしい技術極み
 
 そしてなにより、当時のマイスターたちによる
 
 
 「オレたちの、おもしろセンス大爆発」
 
 
 といった、古代からの中二病的メッセージなのである。
 
 
 

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