前回(→こちら)の続き。
お笑いの世界だけではなく、テニスにも「じゃないほう」は存在する。
それはダブルスの話で、
マルチナ・ヒンギス&アンナ・クルニコワ
ロジャー・フェデラー&スタン・ワウリンカ
のような双方ともスター選手ならいいけど、ときに「格差」のあるチームというのは存在するもの。
一番有名なのは、ジョン・マッケンローと、ピーター・フレミングのコンビであろう。
ウィンブルドンやUSオープンをはじめ、幾多のビッグタイトルをものにし、デビスカップでも活躍したアメリカの誇るスーパーチーム。
だが、いかんせんフレミングのほうが地味である。
いや、実はピーターの方もなかなかのもので、シングルスではトップ10入りも果たしている。
とはいえ、相手が天下のマッケンローときては、これはもう分が悪すぎるではないか。
ジョンの知名度は、テニスを知らない人でも相当高いだろうが、ピーターの方は少なくとも、今のヤングたちには知られていまい。
格差の不条理というやつである。
同じような「パートナーがすごすぎて……」なコンビに、ステファン・エドバーグ&アンダース・ヤリードというのもいる。
アンダースもシングルスではトップ10に入っているが、世界1位、グランドスラム6勝の貴公子ステファンとくらべると、どうしても差が出てしまう。
ダブルスでは1位だし、キャリア・グランドスラムも達成している、いい選手なんだけどなあ。
オールドファンの再評価を、求めたいところだ。
やはり「相方が世界一」というところでは、ロシアのアンドレイ・オルホフスキー&エフゲニー・カフェルニコフという2人。
デビスカップでも不動のペアとして君臨したコンビだが、グランドスラム2勝、オリンピック金メダル、世界1位というカフィとくらべて、アンドレイは相当に知られていまい。
ダブルスは最高6位だが(カフィは4位)、シングルスの最高が49位という「そこそこ感」が味である。
アンドレイには悪いけど、これこそリアルな「じゃない方」。
でも、シングルス2勝していて、なかなかにあなどれない。
ひそかに、大阪の大会でもダブルスで優勝しているそうな。
1994年のセーラム・オープンで、このときのパートナーは、やはりダブルスのうまいマルティン・ダム。
マルティンはシングルス最高42位ということで、こっちは釣り合いの取れたナイス(?)カップルだ。
「相方が世界一」なうえに、もうひとつ「兄弟」という要素がからんでくるのが、アンディーとジェイミーのマレー兄弟。
弟が世界ナンバーワンなうえに、ウィンブルドンのチャンピオンとあっては、お兄さんからすればさぞかし、ジャギ様のごとく、
「兄より優れた弟など存在しねぇ!!」
となるのかと思いきや、この2人はツアーやデビスカップで、兄弟コンビとして活躍。
特にデ杯では、2015年の優勝に大きく貢献した。
まあ、このふたりはシングルスとダブルスに完全に分業しているうえに、どっちもその道で世界一になってる。
ウィンブルドンのタイトルも持ってるから(ジェイミーはエレナ・ヤンコビッチと組んでミックスダブルスで優勝)、それなりに充足感もあって牽制しあわないのかもしれない。
その意味では、ミーシャとアレグザンダーのズベレフ兄弟はどうか。
ここは、ちょっとミーシャに「じゃないほう」感があったけど、今年は全豪でマレーを破ったり、ランキングもトップ30に入っていい感じだ。
このまま、いいライバルに育ってほしいもの。
ミーシャとサーシャもけっこうダブルスを組んでいて、ツアーでも優勝している。
あと、兄弟で「じゃないほう」といえば、昔マイケル・チャンが、お兄さんのカール・チャンと組んだこともあった。
といってもカールは選手じゃなくて、弟のコーチだったから厳密には「じゃない方」でもないけど。
たしか日本のセイコー・スーパー・テニスにエントリーしてて、雑誌に写真が載ってた記憶が。
ビッグコンビが出現かと思いきや。1回戦で負けてたから、まあファンサービスのつもりだったのかも。
マイケルはダブルスうまいイメージないし、カールも見た目はお腹の出たおじさんだったし。
ちなみに、シングルスでは、マイケルが決勝でマーク・フィリポーシスを破って優勝していた。
他にも、最近のデ杯なら、アルゼンチンの、フアン・マルティン・デル・ポトロと、レオナルド・マイエル。
クロアチアの、マリン・チリッチと、イワン・ドディグ。
ベルギーの、ダヴィド・ゴファンと、スティーブ・ダルシス。
昔をひもといても、1999年フレンチ・オープンのダブルスではゴーラン・イバニセビッチが、ジェフ・タランゴと組んで決勝進出。
とかとか、おもしろいペアがたくさんいる。
ぜひみなさまもダブルス観戦の際は、スターだけでなく「じゃない方」と言われがちな地味な実力者にも注目してほしいもの。
私も、まだまだ見落としているチームも多いだろう。
知ってる方がいたら、ぜひ
「こんな個性的なコンビいるよ」
なんて、教えていただきたいものだ。
☆おまけ 最強ダブルスのブライアン兄弟の試合は→こちらから。