正月である。
私は年末年始が好きで、冬休みと言うこともあるが、27日くらいからの、
「これで1年も終わりかあ」
という感慨のようなものが、なんとなく心地いいのだ。
その意味では、年始よりも年末を好むタイプなのだが、まあやることは同じで、家でゴロゴロしているだけ。
まさに、栄光の寝正月ということで、今回はそんな1日を。
■1月1日の日記
朝10時起床。
起き抜けに、最近ハマっているポン・ジュースのウェルチと豆乳紅茶。初詣とかは、特に行かない。
私は人生で一度も「初詣」というのをしたことがない人種であり、昔は誘われることもあったけど、全断り。
寒いし、人混みはしんどいし、みんな、よう行くなあ。
そういや、学生のころ元旦に初詣行って、その帰りに車上荒らしにあった人がいたて、まさに新年を飾るにふさわしい、すばらしすぎるスタートダッシュを見せてくれた。
気の毒ではあるが、なぐさめようにも、話がよく出来すぎていて、同情より笑いが先に出てしまう二次遭難なのが、また困りものだ。
なんて懐かしい気分にひたりながら、なんとなく昔の江夏豊のピッチング動画など見る。
明らかに、M−1グランプリで真空ジェシカがやったネタのせいだが、元近鉄ファンとしては、「江夏の21球」には複雑な思いが。
とはいえ、すばらしい戦いだし、山際淳司さんの名文は何度も読んで、気分はマゾ。
あとは、オススメで出てきた阪神-東映や、巨人-西鉄の日本シリーズの動画など観る。われながら意味不明のチョイスだ。
朝食はインスタントコーヒー、くるみパン、リンゴにゆでたまご。
BGMはスマホに入れてる曲を適当に。ヤンタンのテーマとか、くるりのワンゲルとか、『ロマンシング サ・ガ』のバトル曲とか、木枯し紋次郎にキング・クリムゾンなどなど。
午前中は映画を観る。『がんばれ!ベアーズ』。
何度観たかわからないけど、それでもおもしろい。
ルーパス君がフライをキャッチするあのシーンも、もちろんいいんだけど、不良少年のケリー君が、ベアーズの黄色いユニフォームを着ると
「ただのかわいい男の子」
にしか見えなくなるギャップもステキ。
ベアーズといえば、ガイナックスの創立メンバーで、『王立宇宙軍 オネアミスの翼』の監督もつとめた山賀博之さんが、淀川長治先生の、
「同じ映画に10回観れば、映画監督になれる」
というアドバイスに影響を受けて観たのが、『がんばれ!ベアーズ 特訓中』だったという話。
なんで『特訓中』やねん。ふつうに『ベアーズ』観ろよ! と、メチャクチャに笑ったものだった。
『猿の惑星』じゃなくて『続・猿の惑星』。『スピード』じゃなくて『スピード2』。10回観たのが、すごいと思います。
調子が出てきたので、これも何回観たかわからない『新幹線大爆破』。
高倉健さんといえば、おぼえているのが、吉田豪さんがラジオで話していたエピソード。
なんでも、東映時代に健さんの舎弟だった人が、
「雪山に裸で放り出されて、その後を刀や銃で武装した健さんが、銃声を鳴らしながら追いかけてくる」
とかいう体験を語っていて、腹かかえて笑ったもんだ。
すげーなー、昭和やなー。てか、それただのホラー映画だよ!
この話のすごいのは、当時の東映では健さんは「まじめな男」という評価で、このテキサス・チェーンソーが「まじめ」なら、他の連中はどうだったのか。
なんとなくカーテンを洗濯して、昼食。
コンソメスープの素をお湯に溶かして、そこにトマトを1個入れ、あとは玉ねぎ、鳥肉、ナス、キャベツなど、テキトーにぶちこんで、オリーブ油と黒コショウをたっぷり。
ダイエット成功のMVPでもある、アバウトなトマトシチューの出来上がり。
私は料理のセンスが無いので、味はたいしたことないが、とりあえず体は温まって栄養も満点。
食べながら、YouTubeにあがっている海外の風景動画を見る。
今のもいいが、古いものが4Kになっているのもありがたく、1945年のハンブルクやら、1930年のワルシャワやら、1908年のモスクワやら、1940年代の東京。
昔、氷室冴子さんが、昭和天皇が亡くなったときにずっと流れてた「昭和を振り返る」みたいな映像を一週間くらい、ぶっ続けで見ていたとかエッセイに書いていて、子供のころは、
「なにがおもろいんやろ」
と不思議だったけど、今思うと、それ絶対おもしろいやろ。
そら見るわ。『映像の世紀』とか、ヒマなときずっとBGVにしてるし。
食後は少し昼寝。午後からはコーヒーを飲みながら、ひたすら読書。
エラリー・クイーン『災厄の街』を再読。
エラリー様はもともと苦手で『靴にすむ老婆』と、『フランス白粉の秘密』『十日間の不思議』くらいしか読んでなかったけど、『オランダ靴の秘密』のあざやかな「論理性」に感動し、一気にハマった。
その後『ローマ帽子の秘密』も当然アタリ。
あと本棚には『Xの悲劇』と『九尾の狐』があって、『十日間』も読み直す予定で、楽しみ楽しみ。
ノッテきたので、ハシゴ読書と次は若島正先生の編んだチェス小説集『モーフィー時計の午前零時』。
ヴィクター・コントスキーのバカ小説が絶品。タニス・リーの優雅なファンタジー世界に、しばしウットリ。
夕食は、年越しそば用に買ったダシを使ってキムチ鍋。
キムチとコチュジャンを山盛り入れ、白菜、エノキ、豚肉、モヤシ、ニラ、ネギ、タマゴを汗だくになってやっつける。
こんなもん、うまいに決まっているのである。シメはうどん。はち切れるくらい、お腹いっぱい。
食後はパソコンを開く。お茶しながら、YouTubeやラジオなど。
レニ・リーフェンシュタールの『意志の勝利』とか、『オリンピア』をダラダラ観る。
レニのやったことに「責任」があるかどうかは、私にはむずかしくてよくわからないが、この才能が埋もれることになったのは、ただただもったいなかった。
寝る前に少し読書。ヘニング・マンケル『リガの犬たち』。
最近、また北欧ミステリに興味が向いてきて、アーナルデュル・インドリダソンとかkindleで買い直したりした。
ラーシュ・ケプレルとか、また読み直そうかなあ。ただ、北欧ものは、土地柄か陰惨な事件をあつかった物語が多いのがなあ。
とかなんとか言ってるうちに、眠くなってきたんで、湯たんぽのお湯をわかしながら、今調べている将棋のちょっと大きめのネタについて、長くなりそうだけど、どこをけずるか、それともいっそ全部書いちゃうかとか考える。
布団の中で、ダラダラとスマホをいじり、年末にオールザッツ漫才でやってた、エルフの2本目のネタが妙にしみるね、なんて思い出しながら、眠りに落ちていった。