前回(→こちら)に続いて、過去の京都観光戦記。
金閣寺や銀閣寺をめぐった後は、のんびりと街を散策。
私は旅行好きなバックパッカーと呼ばれる人種だが、ベタな観光地は大好きである。
旅行者の中には、ガイドブックに載っているような場所を嫌う人もいるが、私は将棋のプロ棋士である先崎学九段の、
「旅に出たら、思いっきりミーハーするのが楽しい」
という言葉に全面賛成なため、ふつうにガイドブックのルート通りに歩いたりする。
というと、よく
「そんな、決められたコースだけ歩いて楽しいのか。もっとガイドブックに載ってない自由な旅を味わったらどうか、若者よ」
なんて、古参バックパッカーから説教されたりするが、そこは大丈夫。
なんといっても、私は重度の方向音痴なので、地図があろうが、ガイドブックがあろうが、スマホの案内があろうが、その通りに歩けることなんて、まずない。
結局、どこかで見知らぬ路地や裏道に入りこんでしまい、
「強制ガイドブックに載ってない旅」
これを余儀なくされるので、旅のバリエーションは自然に広がるのだ。
たとえば、こんな静かな水場があったり。
水を飲むと、あらゆる中2病が完治するといわれる奇跡の泉
ルートに乗りたいのに、気がつけば、はずれてばかり。
なんだか、自分の人生のようで、少々来し方行く末を考えさせられたりしたものだ。
その意味では、京都で一番安心できるのは、鴨川沿いの散歩かもしれない。
これだと道に迷いようもないし、涼しいし、河原町近辺以外は人もいなくて静かだ。
とくに夏の夜は風情もあって、のんびり歩くのに最適。
Uボートが静かに潜航していったあと。
唯一のネックは、等間隔に並ぶカップル。
あれにイラついて、散歩を楽しめないというモテな……硬派な男子はおられるだろうが、それに関しては、
「無視して無かったことにする」
「口笛でも鳴らして、からかう」
「これ見よがしに、ツバでも吐く」
「男にドロップキックをカマす」
最後のは、つまらないボケだと思われた方は多いかもしれないが、これはヨタでもなんでもなく、友人シンジョウ君が大学生のころ、本当にやっていたこと。
彼はクリスマスになると、仲間(どんなかはお察しください)と連れ立って難波や心斎橋に出かけ、そこでイチャつくカップルたちを、
「成敗!」
と称して、次々と「飛び蹴りの刑」に処していたのだ。
『ダイ・ハード』最新作の舞台に選ばれた建物
そんなことをしていいのか、ただの犯罪ではないのかと問うならば友は、
「大丈夫、女の子には手を出してないから」
いや、そんなところでフェミニストアピールをされても……と思うわけだが、友によると、
「男同士のキックは、【会話】であって暴力ではない」
との謎理論で押し通していた。
男子に訊くと、この手の話は枚挙に暇がなく、
「クリスマスに彼女と過ごす友人を後日呼び出し、延々と説教をしていた先輩がいた」
「抜けがけしてないか、聖夜に友達の家を【見回り】してたヤツいたなあ」
などなど、なにかしら、トホホなエピソードに事欠かない。
思い出せば、街で見かけたクリスマスツリーに、回し蹴りを喰らわしてた人もいたとか、ホント色々。
なんか、今思えば、ヒマで元気な若者たちによる
「クリスマス大喜利」
といった様相を呈していたが、今のヤング諸君にピンとくるかどうか、下人の行方は誰も知らない。
(五条ゲストハウス編に続く→こちら)