2010 FIFA World Cup Match 16 - Group H
スペイン 2-1 チリ
スペインの得点:ビジャ、イニエスタ
GK:イケル
DF:セルヒオ・ラモス、ピケ、プジョル、カプデビラ
MF:シャビ・アロンソ(ハビ・マルティネス)、ブスケツ、チャビ、イニエスタ
FW:トーレス(セスク)、ビジャ
良いニュース
首位でグループリーグを通過しました。やれやれ。
悪いニュース
73分にハビ・マルティネスと交代したシャビ・アロンソは、前半終了間際にポンセに踏まれた足首に違和感が出たため。足首の捻挫の可能性もあり、その場合はシャビ・アロンソのポルトガル戦への出場は難しくなる。
シャビ・アロンソ
ハーフタイムの後もそのままやっていた。感触は良かったから。でも、もう1度足首を打って、それで痛みが出てきたので交代を申し出たんだ。ポルトガル戦でプレイするのに、問題がなければと願っているよ。
(勝ち抜けを決めたこの試合)難しいものだった。でも、僕たちは成熟したものを見せられた。
追加:医療情報
シャビ・アロンソについては、試合後、
右足首重度1~2の捻挫とメディコから発表があった。
オスカル・セラーダ医師
「初見では、強いタックルを受けたことによる捻挫と確定した。しかし我々は現時点で、決勝トーナメントに間に合うことに楽観的でいる。」
またメディコは、フェルナンド・トーレスの交代も、右脚双子筋に打撲を負ったためであるとしている。
勝手な長い感想
無事に勝ち抜けました。初戦でいきなりつまづいて、中心選手のコンディションがなかなかパーフェクトにならない状態で、2連勝できている調子の良いチリとの対戦…と、神経質になる試合でしたが、結果は上々。疑問や問題はいくつか持ち越しにはなってますが、何より勝ちあがらねばいけなかった。
試合開始から、ハイパーテンションで高い位置からプレスをかけまくるチリ。スペイン、苦しかったですね。当初はビジャやイニエスタがなかなか落ち着いてボールに触れず、最終ラインや中盤の底の辺りですら、落ち着いてボールを持たせてもらえない状態。前半20分までで、立て続けに警告が3枚。
というところで、ようやくチリが、自分たちのテンション高すぎたことに目が覚めた感じでした。ほんの少しだけど、高い位置からのプレッシャーが緩んだ…と思ったら、まもなくスペインが先制。シャビ・アロンソから左サイドで縦にトーレスを走らせるボール、チリのGKブラボが出てきて半端にクリアしたボールをビジャが拾い、GKのいなくなったゴールへ向けて落ち着いてシュート。GKが飛び出したところへシュート、って珍しくないですが、枠を外れたりバウンドしたりで思ったほど入らない印象がある。でもあの場面で、落ち着いて抑えたループを打てるビジャ、やっぱりうまい。ベンチも大喜び、とにかく大きな1点でした。
これでやっとスペインも、落ち着いてボールが回せるようになった。前線は、左にビジャ、中がトーレス、右イニエスタ、かもしれませんが、イニエスタは左右自由に動き、トーレスも右に出たりする場面もあり、その点で前線の動きは、ナバスが右にいるときよりもあったと思う。もっともトーレスがな…トラップがマズいのは相変わらずで、良いポジションでボールを受けてもキープできないのが痛い。先制点の場面は走力が生きたし、トーレスいることでビジャのマークが減るのはメリットなんだけど、このままだといる意味が…。
先制点から13分後、2点目が決まる。これもきれいでした。イニエスタ→トーレス→イニエスタ→ビジャ→イニエスタ、ですかね。うまいうまい。
トーレスのずっこけでエストラーダが退場になったのが微妙に物議な感じですが、意図的じゃないとしても脚が当たってたんじゃないかな。というか何よりも、その場面までのエストラーダがまずすぎる。黄色1枚目はブスケツ(だったかな)の脚を思い切り刈った場面。背後からで、これだけで赤を出す人もいると思う。その後にも、イニエスタの脚を刈った場面があり、そもそもここで2枚目カードが出るべきだったんだと思います。レフェリーも、退場を出したくなかったのか厳重注意だったけど、次にファウルの場面で主役になったら、退場にするつもりでいたんだと思います。
激しくいくのはそれがチリのらしさなのかもしれませんが、やっぱり、そんなにする必要あったのか?と思う。シャビ・アロンソも足首を痛めてしまった。
後半、スペインの入り方は、ちょっと油断したといえばそうかも。立ち上がりで失点。エリアの少し外から打たれて、寄せが少し甘かったといえば甘かった…シュートがピケの脚に当たって、軌道が変わり…。
(中略)
で、試合が終わりました。
後半途中から、すっかり試合が死んでしまいました。チリも、もう1つの試合展開によってはいっきに点を取りに出なければいけなかったかもしれませんが、試合経過は入っていただろうし、スイスはそうたくさん点が入るチームではないだろう、という思いもあったのではないかと。1人少ないこともあり、(体力の問題もあっただろうし)、がっちり引いてしまった。
スペイン代表もただのパス回し集団になってしまいましたが(時々は攻めていたけど)、もしスペインが3点目を取りにいって得点したら、チリは得失点差を考えて必死に攻め込みにくるだろうと思います。ラフプレイ、負傷につながる心配もあった。何よりも、勝ち上がれば3日後、4日後には決勝トーナメントの試合です。スペインもチリも、お互い勝ち抜けが見込めているからこそ、どちらも無理はしなかったんだろうと思います。
と、ここまでグダグダ書いていたのは、Yahooトップに出ていた産経新聞の「恥も外聞もないスペイン代表」の記事に、少々ブチ切れたから。書いた人が、スペイン代表にどんなステキなモノを夢見てたのか知りませんが、1つの出場国として勝ち上がることが必要だった。
ま、気になる部分とかいくつもあります。「美しく華麗な、皆が期待するスペイン代表」は、本大会に入って以降、まだ見られているとは言えないでしょうし、トーレスやチャビ、セルヒオ・ラモス、カプデビラ辺りのコンディションがちょっと微妙だな、と思うところもある。(カプのところ、やっぱりアルベロアでよかったんじゃないかなあ)
個人的には、チャビが気持ちよくなさそうなのがずっと気になっております。前のデルボスケのインタにあったように、チャビには、バルサのチャビらしくやってもらおうと思っている。でもそうするとたぶん、チャビがいたい場所は混雑してるんだと思います。ピボーテは、ブスケツとアロンソの2枚。チャビもやはり低めの位置からが好きな感じで、下がりめからボールをコントロールしようとする。アロンソかブスケツかを外せばいいのかというと(ピボーテ1枚でいいだろう、という意見はスペイン国内でずっとある)、この2人、どちらもコンディションが良いし試合への貢献も高い。この試合でも、前へガンガン飛び出そうとするチリの選手を堰き止め跳ね返す役割、どちらもよくやっていたと思います。1試合1試合が落とせない中で、守備にリスクを負う必要もないわけで、そうするとやっぱりドブレピボーテはそのままでいくだろう。なので、チャビにはもう少し前目で関わっていてほしいわけですが…。
詳しく中身まで読んでいないのですが、チリ戦の数日前にチャビのコメントやインタビューがいくつかあり、「tiqui-taka(テンポの良いパス回し)でもW杯は勝てる」という彼なりの哲学がありつつ、「チームがすべて」「1位で勝ち抜けて何より」という、らしさが出し切れない苦しい試合でも評価している。チャビの中では、いろいろ葛藤があり、それがまだすっきりしたプレイが出せていない理由のひとつになのかもしれません。
特筆したい
ここまでスペイン代表、警告が1枚もないこと。2戦目のビジャとか、セルヒオ・ラモスの挙動とか、怪しいところもありましたが、ゼロ枚。