「
ピッリ・レポート」。2000年当時のマドリーのチーフ・スポーツ・ダイレクターであったホセ・マルティネス・ピッリの選手査定のことです。
2000年4月当時の選手評価&移籍計画の書類が何をどうしたか表に出てしまい(誰かが持ち出したのでは、ということですが)、2000年8月終わりごろにAS紙にて報道され、ずいぶんな大騒ぎを引き起こした…らしいのですが、それがなぜか今になってまたAS紙に載りました。おそらくは、クラシコ敗退後で「誰が中心になるべきだった?」とか「誰がフットボールを見極める目を持っていた?」ということを暗に言いたいのだと思いますが。
私がスペインサッカーを周辺ニュースも込みで見るようになったのは02/03シーズンくらい。00/01シーズンはリーガを見てはいましたが、こんな事件があったことは知らず、今回ASに載ったことで初めて知りました。
にしてもこのレポートはずいぶん衝撃的。選手の査定があるのは当然だと思いますが、本人たちや外に知られてしまっては気まずい。この件が明るみに出た後グティが「ピッリ大嫌い」と言ったそうですが、わかる気がします。グティ、ぼろぼろに言われてるもんね…。
ともあれ主だった選手に対する査定コメントをざっと訳してみました。
イルクナー 1967年4月7日生(33歳)
偉大なるプロフェッショナル、トレーニングを好み、最初はチームに余り馴染めなかった。彼はチームメイトたちを扱う術を身につけるようになった。彼自身のフォームを取り戻すために更なるトレーニングが必要だ。
カシージャス 1981年5月20日生(18歳)
下部組織から。1対1と膝下に極めて優れたゴールキーパー。非常に勇気があり落ち着いている。外では不確かな部分もあるが。高さには欠けている。非常に年齢が若い。足元に優れている。豊かな未来を持っている。来シーズンは、ヴァジャドリからやってくるセサルとともにトップチームのゴールキーパーとなるはずだ。
M・サルガド 1975年10月22日生(24歳)
サイドでのみプレイできる。フィジカルはハードで、良い予測力があり、90分間走り続ける。勇気を持ちアグレッシブだ。出場するにはフィジカル的に非常に優れていることが必要である。技術面は標準的で多くのチャンスを得るが、特に空中戦でボールを失うことがある。彼は彼の名誉に従ってプレイしているのだけれども。技術面及び戦術面での成長が必要だ。彼は若く、キャラクターを持っていて勝者でもある。チームにとって重要だ。
カランブー 1970年12月3日生(29歳)
ラテラルのように直線的に、また平均的なディフェンスとしてプレイできる。フィジカルは非常にハードだが、技術面ではきわめて劣る。優れた人間だが、レアル・マドリーに向いた選手ではない。来シーズンは続けることはないだろう。移籍へ。
イエロ 1968年3月23日生(32歳)
完璧であり、チームにとって非常に重要な選手。フィジカル面でのトレーニングコンディションは良くない。我々は彼を十分にケアしなければならない。もし彼のフィジカル状態を改善できれば、さらに2シーズンはプレイしてもらえるだろう。ふさわしいフィジカルプログラムを用意すればすぐに、良い状態に回復するだろうと信じている。彼は32歳だ。1、2年のうちに彼の代わりになりうる選手を探さなければならない。
カランカ 1973年9月8日生(26歳)
左のセンターバックとしてのみプレイ。技術面は良く、中に入っても良いプレイをし、シュートもすばらしい。シーズンを通して無難にプレイをした。しかし彼は4バックのディフェンスラインの中でプレイが遅い。予測力に欠け、ジャンプしてのヘディングも良くない。優れた人物であり、働き者であり、非常に良いチームメイトだ。しかし私は、彼が我々と続けていく必要はないと考えている。いくつかのクラブが彼を求めている時期でもある。移籍へ。
イバン・カンポ 1974年2月21日生 (26歳)
ディフェンシブなセントラルとしてのみプレイ。技術面は無難であり、コントロールがうまく、ショートレンジのパスにも優れている。自身を予測することもわかっている。ジャンプしてのヘディングも良い。フィジカル的にはきわめて強い。優れたセンターバックになるための非常に良い条件も備えている。ボールを持ったときに信頼しすぎると、特にサンティアゴ・ベルナベウでは不安定になる。彼が持つ特徴に集中するなら、つまりマークすることでありボールを持ったときに複雑なことをしないことだが、彼は興味深いプレイヤーである。今、彼はもっと中心になる。我々と共に継続していくべきだ。
ロベルト・カルロス 1973年4月10日生(27歳)
選手の見本。非常に強靭なフィジカル。現時点では欠くことができない選手であり、替えの効かない選手。
レドンド 1969年6月6日生(30-31歳)
偉大なプロフェッショナル。技術面では左脚が優れている。フィジカルは強靭であり、非常に良く働く。
守備的なメディオセントロ(中盤の真ん中)でのみプレイ可能。その働き、ピッチ内外でのプロフェッショナリズムによってチームにとって重要な選手であり、このためチームメイトの誰もが彼を信頼している。彼に必要なのは、彼の傍らでプレイする質と運動量とを備えた攻撃的ボランチである。
エルゲラ 1975年3月28日生(25歳)
メディオセントロ、センターバック、リベロとしてプレイできる。統制の取れた、戦術的および守備的なタスクに関して非常に良い選手。サンティアゴ・ベルナベウの外で、さらに良いプレイをする。その働きで中心に据えるなら、レアル・マドリーにとってきわめて重要な選手である。
グティ 1976年10月31日生(23歳)
攻撃的なボランチ、メディアプンタとしてプレイできる。技術面では非常に優れており、左利きで、フィニッシュに関しても良いシュートやパスを持つ。フィジカル的にも非常に強い。彼は技術的コンディションに関しては勝者である。しかしその行動はレアル・マドリーの選手らしいものではない。ピッチの外でも中でも、その態度は良いものではない。技術面でもフィジカル面でも良いものを持っているのはわかるが、レアル・マドリーでうまくやっていくのは難しい。中心選手ではない。もし良いオファーがあれば、考慮するだろう。
マクマナマン 1972年2月11日生(28歳)
右サイド、左サイド、メディアプンタ、攻撃的に自由にプレイする。技術的には良く、安心できる。簡単にボールを失わない。フィジカルは強くないが、良く動く。守備的ではないが、中盤での攻撃的プレイヤーであり、サイドを行ったりきたりするような選手ではない。偉大な人物でありチームメイトである。怪我がちなため信頼に欠ける。シーズン開始までに回復すれば、有用な選手となるだろう。
エトオ 1981年3月10日生(19歳)
右サイドとメディア・プンタでプレイ。若く、技術的にもフィジカル的にも優れた選手。物事に打ち勝つ良い条件を備える。サッカー選手としては大いなる将来がある。しかし彼はチームメイトや監督に対する態度を改めなければならない。彼は非常に若い。我々は、彼がほかの人とうまくやっていけるように向上していくのを手助けする必要がある。もし彼がグループとしてやっていけるようになるなら、来シーズン我々は彼に報いねばならないだろう。
モリエンテス 1976年4月5日生(24歳)
センターフォワード。偉大な選手であり、偉大な人物。現在は完璧な状態ではないが、彼はゴレアドールである。我々にとって重要ではあるが、中心選手ではない。
ラウル・ゴンザレス 1977年6月27日(22歳)
すべてにおいて完璧、大いなるキャラクターをもつ。我々の中心選手。
サビオ 1974年1月9日(26歳)
左のメディアプンタ、サイド、センターでもプレイ。勇猛であるが、フィジカル的には脆弱である。技術面は非常に優れており、そのコントロールは流暢である。守備的ではなく、中盤で前を向いてプレイさせなければならない。ディフェンスに回ることができず、すぐに前へ行こうとする。フィジカルトレーニングコンディションはそれを許さない。シーズンに40試合以上プレイする選手ではない。フィジカル的に良い状態ではバランスを失う。彼は試合においては変則的である。
サンチス 1965年5月23日(34歳)
偉大な選手、ベテランであり、どんな種類の問題も引き起こしたりしない。すばらしいフィジカルトレーニングコンディションを維持している。彼はいつでも良いプレイをする。後1年はプレイできるはずだ。
アネルカ 1979年3月14日生(21歳)
センターフォワード。彼の優れた点はそのスピード。フットボールの練習においては完璧なフィジカルを持つ。非常に速く、リズムを帰る。ゲームを薦めるには彼はスペースを必要とする。カウンターアタックにおいて効果を発揮する。練習量は少なく、内向的で、不信感あり。チームの重要な選手との間に問題を抱えている。マドリーでうまくやっていくのは彼にとって非常に困難である。今後も我々に多くの問題をもたらすことだろう。ベストな解決方法は、できるだけ早く移籍させること。同様のことはセードルフにも言える。
左から、セードルフ、サビオ、モリエンテス、イエロ、レドンド、ラウル。