Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

§153「事象そのものへ!」 池田晶子, 1992.

2022-06-18 | Book Reviews
 事象とは、ある出来事や物事のかたちやありようであり、自らがそれらをどう捉えどういう意味を与えるかという認識によってもたらされる結果なのかもしれません。

 マスコミやSNS等が伝える事象は、ある報道機関や不特定多数の人々それぞれの認識だったはずのものが世論や一般常識といった結果として存在してしまうことがあるような気がします。

 若かりし著者が約5年をかけて記した約30年前の初期作品ですが、考えることもAIを含め他者に委ね、自らが考えるということそのものをも効率化しようとしている現代社会への警鐘を告げているような気がします。

「『考えていても、何も変わらない』のではない。『考えることなしには、決して変わらない』のだ」(p.16)

 自らの日常生活で見たり感じたり知り得た事象なるものが、どういった状態や条件や経緯で自らの意識のなかで存在しているのかを考えることが大切のような気がします。

「あらゆる前提を徹底的に疑いぬくこと。原因の原因へ遡行すること」(p.51)

初稿 2022/06/18
出典 池田晶子, 1992. 「事象そのものへ!」法蔵館
写真 とある水源へ遡る小川のほとりにて
撮影 2020/05/23(埼玉・東松山)


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