ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

マギー司郎の弟子が、昔、うちの高校の三送会に来たんだよ。

2015-01-31 00:25:20 | Weblog
MRIの話のつづき。

ところで今日の午後。病院から帰って来て、雪は止んでいたけど、部屋の中が冷蔵庫よりも寒かったから、外の薪ストーブをつけてロストシンボルの下巻の最終盤を読もうとしていた。ら。

「こんにちはぁ」と声が聞こえた。

誰かなぁ?NHKの集金かなぁ?うちはテレビのアンテナ立ってないしテレビ観られないんだよぉ?とか思いながら、テントの外へ出ると、庭に知らないおにーさんが立っていた。

おにーさんは、庭にある色々なものを見ながら僕に、「すごいですね、全部手作りですか?」「お店、やってるんですか?」と聞いてきた。よく意味がわからない・・・あなたはだーれ?

この近くでイベントをやってるんですけど、その説明をさせてもらってもいいですか?と言う。

イベントって何かなぁ?
こんな所で・・・嵐山の奥地とも言っていい場所でイベント・・・レイブパーティーとかかなぁ?比企郡の若者総動員でドコドコ重低音のパーティーしてるのかなぁ?それか、近くの杉山公民館にDA PUMPでも来てるのかなぁ?それか、すぐ裏のタマノオカ中学の体育館にマギー司郎の弟子のマギー瑠美でも来てるのかなぁ?イベントでしょぉ・・・なんだろう?これは説明してもらわないといけない。

そんなわけで、庭に置いてある揺り椅子を勧めた。そして、遠慮をするおにーさんの制止を振り切って美味しい紅茶もいれてあげた。
さて、僕も椅子に腰をかけて、さぁ、イベントの説明を聞こうじゃないか。

おにーさんは、おもむろにバッグの中から布と缶を取り出した。缶には、「WAX」と書いてある。・・・ワックスぅ?

ワックスですか?と聞くと、おにーさんはこう答える。そうです、ワックスです、よくわかりましたね!
いや・・・ワックスって書いてあるし・・・。と言うと、はははははと笑った。

このワックスがですね、すごいワックスでしてぇ・・・と、マギー一家の手品のイベントの説明ではなく、ワックスの説明が始まる。

今、我が家にはバイクがある。こーかたにーさんから譲り受けたスズキのジェベル号。モトクロスのバイクである。まだナンバープレートが付いていないので公道は走れない。
このバイク、こーかたにーさんの家で数年間眠り続けていた代物で、不動車だったものを、我が家にやって来る前に手を入れて動くようにしたものである。年代物のせいもあり、相当の汚れなのである。
いっとき、綺麗に磨こうと思いトライしたのだが、長年の汚れというのはそう簡単には落ちない。色々と試したが、どうしても取れない。これが時の流れの証というものなんだなぁと、あきらめたという経緯。

おにーさんが説明してくれるワックスは、汚れを落として艶を与えるワックス。おにーさんの座る揺り椅子の隣にジェベル号。

「その汚れ、落ちますかねぇ?全然落ちないんですよ」と聞いてみる。落ちないと知っていて聞いてみる。だって、マギーのイベントの説明をしてくれないんだもの。

おにーさんは、ジェベル号の汚れを指で触わってこう言う。
「いやぁ・・・この汚れはどうですかねぇ・・・古すぎるよってのは・・・いやぁ。一応やってみましょうか」

缶からちょびっとワックスを噴いて、布で擦ってみる。
「うーん、やっぱり難しいかなぁ・・・。ん、あれ、落ちるかもしれない」

確かに、ちょっとだけ汚れが落ちた、ような気がする。でもなぁ・・・。

おにーさんは、再び缶からちょびっとワックスを噴いて、そのまま数分放置した。そして、またゴシゴシ擦る。

すると・・・なんと、なんと、汚れがスッキリ落ちて、真っ白になったではないか!魔法か?おぉぉ!すげぇ!

おにーさんは、イベントの説明をしながら魔法のワックスの営業をしているらしい。
今日は、結構買ってもらえたらしく、そんなことを説明してくる。もう残りは8本しかないらしい。

それにしても、こんな片田舎。民家がポツポツとしかない辺鄙な場所。一軒一軒、「こんにちはぁ」と飛び込みで営業をかけるなんて・・・すごすぎるだろ?ツワモノってのはいるんだねぇ。

ところで、おれ、そのワックス、欲しいなぁ。と思ったんだね。だって、どうやっても落ちなかった汚れが落ちたんだもん。欲しいよ、ワックス。
おにーさんが言ってきた値段は安くもないが高くもない。どちらかというと、安い部類に属する思う。
あぁ、ワックス欲しい!

でも、買わなかった。だって・・・今、おれ、無職だし。働かざる者、ワックスを買うべかざるっていうし。。。

おにーさんは、椅子や紅茶やらの厚遇とワックスの性能に感嘆する僕の反応に反して断られたことに、少し驚いていたようだが、こればかりは仕方がない。
でも、欲しかったんだよぉ、おにーさん。

で、おにーさんは、冷たい雨の中を傘も刺さずに、ワックスを乗せたカートをコロコロと引いて、紅茶のお礼を告げながら愛想良く去って行った。

あれ?イベントは?あれ?

そんなこんなの午後でした。

あっ、MRIの話をしようと思ったのになぁ。

つづく。