電話がかかってきて、目が覚めて、電話に出たら、瓦屋の親方だった。
電話と話しながら、ベッドから出て、カーテンと窓を開けると、瓦屋の親方が立っていた。
「あぁ、おはよう」というと、「おはよう?もう昼だよ」と言われた。
いやぁ、だって、おれは、朝に寝たばかりだから・・・さっき寝たばかりだから・・・。ムニャムニャ・・・。
「あぁ、おれ、狭山に行かなきゃ。大工さんに頼まれてるんだ」と親方は言う。
へぇ・・・そうなんだ。へぇ・・・そうなんだぁ。へぇ。いってらっしゃーい。
親方は庭先に立っている。どちらかというと、立ち尽くしている。
うーん・・・むむむ。うーん・・・むむむ。これはどういうことなのか・・・ということだ。
仕方ないので、着替える。仕方ないので、着替えた僕は親方のトラックの助手席に乗る。仕方がないので・・・。うーん・・・なんでだ?
嵐山から狭山まで1時間ほどのドライブ。現場に着く。ピンポンを押すと、おばさまが出てくる。関西弁のおばさま。
なんだかおばさまは怒っている。親方にクレームをつけている。
聞くと、数年前に親方が屋根を直した家らしい。
やった仕事のクレームが来れば、当然対応するうちの親方なのだが・・・。おばさまが言うクレームは、どうも親方の仕事とは関係のない事柄についてのようで、たとえば主に大工さんの仕事に対するクレーム。
まぁ、それはいいんだけど、親方はさっさと屋根の上へと消えてしまい、事情が今ひとつ理解出来ていない僕がおばさまのクレーム対応を一手に引き受けることとなる。
大体からにして、事情をわかっていない俄か瓦屋の小僧(現在休職中)に、クレームの対応など出来るわけがない。
おばちゃん、関西弁だし。関西弁で怒ってるし。
まぁしかし、どんな時も目の前の危機には対応していかなければならない。これは生きる上での鉄則なのである。
いつ工事をしたのかも、どんな工事をしたのかも、さっぱりわからないので、とりあえずおばちゃんの言うことにはすべてこう答える。
「そうなんですかぁ!」
「ほんとですかぁ!」
「それはひどいですねぇ!」
「なんでですかねぇ?」
「そりゃあ、まいっちゃいますよねぇ!」
こんな感じかな。ってな感じで。
元来、うちの親方ってのは、仕事で手を抜く人ではないし、ズルをする人でもないし、お金を多く請求したりする人ではない。現代では珍しい、誇りを持った職人なのである。
だからまぁ、こんな感じかな?ってな感じで対応しつつ、おばちゃんの怒りが収まってきた辺りを見計らって、「親方ならこんな風に説明するんだろうな、きっと」という想像をもとにして、なんとなーくゆるーく説明してみる。素人なりに。
結局、親方は出来得る限りの対応、つまり自分がした仕事とは関係のない仕事を、おばちゃんのためにしてあげた。無料で。
僕のクレーム対応もうまくいったようで、帰り際のおばちゃんの機嫌はすこぶる良好であった。
おばちゃん、寂しかったのかもしれないなぁ。
いや、まぁ、いいんだけど・・・。なんでおれは狭山まで連れて行かれたのだろうか。
トラックは嵐山の我が家で僕を降ろすと、ズドドドズビビビと音を立てて帰って行った。辺りはもう真っ暗だった。
なんだったんだろうか・・・。まぁ、いいんだけど。ははは。
電話と話しながら、ベッドから出て、カーテンと窓を開けると、瓦屋の親方が立っていた。
「あぁ、おはよう」というと、「おはよう?もう昼だよ」と言われた。
いやぁ、だって、おれは、朝に寝たばかりだから・・・さっき寝たばかりだから・・・。ムニャムニャ・・・。
「あぁ、おれ、狭山に行かなきゃ。大工さんに頼まれてるんだ」と親方は言う。
へぇ・・・そうなんだ。へぇ・・・そうなんだぁ。へぇ。いってらっしゃーい。
親方は庭先に立っている。どちらかというと、立ち尽くしている。
うーん・・・むむむ。うーん・・・むむむ。これはどういうことなのか・・・ということだ。
仕方ないので、着替える。仕方ないので、着替えた僕は親方のトラックの助手席に乗る。仕方がないので・・・。うーん・・・なんでだ?
嵐山から狭山まで1時間ほどのドライブ。現場に着く。ピンポンを押すと、おばさまが出てくる。関西弁のおばさま。
なんだかおばさまは怒っている。親方にクレームをつけている。
聞くと、数年前に親方が屋根を直した家らしい。
やった仕事のクレームが来れば、当然対応するうちの親方なのだが・・・。おばさまが言うクレームは、どうも親方の仕事とは関係のない事柄についてのようで、たとえば主に大工さんの仕事に対するクレーム。
まぁ、それはいいんだけど、親方はさっさと屋根の上へと消えてしまい、事情が今ひとつ理解出来ていない僕がおばさまのクレーム対応を一手に引き受けることとなる。
大体からにして、事情をわかっていない俄か瓦屋の小僧(現在休職中)に、クレームの対応など出来るわけがない。
おばちゃん、関西弁だし。関西弁で怒ってるし。
まぁしかし、どんな時も目の前の危機には対応していかなければならない。これは生きる上での鉄則なのである。
いつ工事をしたのかも、どんな工事をしたのかも、さっぱりわからないので、とりあえずおばちゃんの言うことにはすべてこう答える。
「そうなんですかぁ!」
「ほんとですかぁ!」
「それはひどいですねぇ!」
「なんでですかねぇ?」
「そりゃあ、まいっちゃいますよねぇ!」
こんな感じかな。ってな感じで。
元来、うちの親方ってのは、仕事で手を抜く人ではないし、ズルをする人でもないし、お金を多く請求したりする人ではない。現代では珍しい、誇りを持った職人なのである。
だからまぁ、こんな感じかな?ってな感じで対応しつつ、おばちゃんの怒りが収まってきた辺りを見計らって、「親方ならこんな風に説明するんだろうな、きっと」という想像をもとにして、なんとなーくゆるーく説明してみる。素人なりに。
結局、親方は出来得る限りの対応、つまり自分がした仕事とは関係のない仕事を、おばちゃんのためにしてあげた。無料で。
僕のクレーム対応もうまくいったようで、帰り際のおばちゃんの機嫌はすこぶる良好であった。
おばちゃん、寂しかったのかもしれないなぁ。
いや、まぁ、いいんだけど・・・。なんでおれは狭山まで連れて行かれたのだろうか。
トラックは嵐山の我が家で僕を降ろすと、ズドドドズビビビと音を立てて帰って行った。辺りはもう真っ暗だった。
なんだったんだろうか・・・。まぁ、いいんだけど。ははは。