ここが、最後の場所である。
なぜ最後なのかというた、不便すぎて来ようがない。
広尾町豊似。
夢の館。
ここのお父さんとお母さんが、僕が会いたい人。
会えるものなら、絶対に会いたい。
夢の館。ネーミングはともかく、僕が北海道で一番好きな場所が、ここだ。
営業中!の看板に歓喜したものの、入り口に鎖がかかっている。
営業開始は10時半になっている。
今は9時半。一時間待ち。
待つ。
何もない、ここで待つ。
ほんとに何もない、ここで待つ。
もしかしたら、襟裳よりも何もないかもしれない。
いや、襟裳はほんとに何もないから、襟裳よりは何かあるのかもしれないが。何もない。
帯広の豚丼のとんたに、人々は2時間も並ぶという。
都会では、ポップコーンやらクレープやらパンケーキやらドーナツに何時間も待つという。
ならば、僕がここで一時間待てないわけはない。
とりたえず、勝手に中へ入り込み、僕のお気に入りの場所へ。
そこで、僕は待つ。