ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

二風谷の王様。

2016-10-02 21:53:31 | Weblog


昨日、メールが入った。
昨日というのは、今から見る昨日ではなく、一昨日から見る昨日であって、つまり、夢の館へ行く前の日のことである。

「帰り道に二風谷を通る?寄ってきなぁ」

そう、二風谷のおじさまからである。

帰り道に二風谷は通らない。実は、二風谷は通らないのである。残念だ。残念だよ、二風谷のおじさま。

「きのこ食べに寄ってねぇ」

え?
おじさま?
キノコとは?
キノコっていうのは?
あのキノコのことですか?
あの、キノコの王様のことですか?

えっとぉ、名前はなんていいましたっけ?
・・・えっと・・・確か・・・
ま、ま、ま、ま、まつ、まつ、まつたけ!

僕はおじさまにメールを返す。

「二風谷、通ります!全然通り道っす!絶対寄りますって!どちらかというと、最初から寄るつもりでしたって!」

そんなわけで、天馬街道を抜けた僕は、サラブレッド街道を突っ走っているのである。
サラブレッドには目もくれないのである。

浦河、静内、サラブレッド銀座と呼ばれる地帯。

馬が草を食む横を、僕は二風谷へ急ぐ。

だって、二風谷は通り道じゃないから。

サラブレッドちゃんの写真を一枚。せっかくだからね。

突っ走っていても、実は、のんびりなのである。


憧れの人。

2016-10-02 21:32:49 | Weblog


嵐山町の我が家には、我が家の縁側の軒先には、美玉と浮き玉が吊るしてある。

美玉は、沖縄の西表島で貰ってきたやつ。
浮き玉は、夢の館のお父さんに貰ったやつ。

いつだって目に入る場所に飾ってある。

南の果てと北の果て。旅人のココロに光が射し込む場所に。

夢の館の話。

また、お父さんの浮き玉が欲しくなった。

「お父さん、浮き玉ちょうだい」

ワハハハ。いいぞいいぞ。持ってけぇ、持ってけぇ。

「二個、ちょうだい」

ワハハハ。いいぞいいぞ。持ってけぇ、持ってけぇ。

僕は小さな浮き玉を二個握りしめる。

「大事に持って帰るからね」

「お父さんとお母さんはだと思って、飾るよ」

そうかぁ、そうかぁ。ワハハハ。


青くて綺麗な浮き玉だ。
そっと手に乗せて浮き玉の中を覗き込むと、向こう側で微笑む、お父さんとお母さんの姿が見えた。

優しくて、強くて、働き者の二人である。

僕の大好きな二人である。

緩やかな時の中で、強く、優しくて。

大いなる自然の中で、強く穏やかに。

僕はきっと、こういう人になりたい。

なれるかはわからないけれど・・・
こういう人になりたい。

無理を言って、二人並んだ写真を撮らせていただいた。
照れるお母さんは、整理していた枝で自分を隠しているんだよ。とても可愛い。
この写真は、僕の宝物にする。

こういう人たちに、僕はなりたいなぁ。

夢の館の話。

斜里から豊似まで。
なんでそんなところへ?と、人は聞く。
逢いたい人に会いに行く。

そして、逢いたい人に会えた。

それが嬉しくて、天馬街道を走りながら、「あぁ、嬉しいなぁ」と何度も何度もつぶやいていた僕なのである。


流木父さん。

2016-10-02 20:10:28 | Weblog


夢の館の話。

お父さんは、大樹の浜辺へ行って流木を拾ってくる。それを何年も乾かす。

カラカラに乾いた流木に魔法をかけると、世界に二つとない、流木アートが出来上がる。

流木チェアー、流木テーブル、流木三輪車、流木なんでも。流木なんでも。

どれもこれも欲しくなる。

こんなものが庭のあちこちに置いてあったら、可愛すぎて評判になってしまう。

このアートは売り物である。

驚くほど安い値札が付いている。

どれもこれも欲しいが、とてもじゃないけど、持って帰れない。残念である。いつも、残念である。

僕はお父さんに言う。

「お父さん、弟子にしてよ」

お父さんは言う。

「わははは。おれに教えられることなら、なんでも教えてやるさぁ」

お父さんは、ほんとに優しい。優しくワハハハと笑う。

夢の館の片隅に、もう一つ建て物がある。
お父さんが建てた建て物の中に飾られた古民具。古民具館に行くための小径は、足ツボマッサージになっていたような気がする。

お父さんはなんでもやってしまう。なんでも作ってしまう。
その一つ一つが、笑っちゃうくらいに素敵で、ため息が出るくらいのセンスにあふれている。

お父さんはお父さんであって、アーティストではない。
気の向くままに、好きなように。お父さんはお父さんでしかない。

珈琲とアンドーナツ。

2016-10-02 19:20:32 | Weblog


夢の館の話の続き。

夢の館とは・・・何か?

カフェか?休憩所か?

よくわからない。

珈琲一杯200円である。カフェである。

だが、持ち込み自由である。飲み物でも食べ物でも。休憩所である。

まぁいい。

お母さんが、「珈琲飲んでいって!」と、母屋に入っていった。

築100年くらいの古民家。お母さんの実家の建て物。
お父さんが定年を迎えた後で、お母さんと二人で修復し、今がある。

珈琲とアンドーナツとチョコレート。

お金を払おうとすると、お母さんは言う。

「お金なんか要らないわよ」

お金を取らなきゃカフェじゃない。

お母さんのご馳走である。

珈琲を飲みながら、お母さんとたくさん話をした。

僕が初めてここを訪れた時、窓越しに見える庭の紅葉を指して、「この風景、京都みたいです。素敵です」と言ったのを、お母さんは覚えている。

「あれが嬉しくてねぇ。京都みたいだなんて」

今年はまだ紅葉していない楓の葉を眺めながら、お母さんと話す。

北海道を襲った災害の話。
災害に遭って助かった知り合いの話。
災害に遭って行方不明のままの知り合いの知り合いの話。
何に備えればいいのか、何を備えても仕方がないのか。

大樹町も大雨でやられた。
川は溢れ、水は暴れ、農作物は壊滅。
牧草地に、浸みこめなくなった水が川のように流れた。
太い樹々か次々と薙ぎ倒された。

百年もの間、無かったことが起きた。

お母さんは、この場所に「小川」があればいいのにと、ずっと思っていたという。
でも、今は、「もう小川なんていらないわ。水は怖いもの」と言う。

夢の館の敷地では、直径50センチを超える大木が13本も風で倒された。その片付けを終えたばかりだそうだ。

何に備えればいいのか、何に備えても仕方がないのか。

お母さんは言う。

「結局ね、清く正しく生きるしかないの」

胸に沁みた。

清く正しく生きるしかない。


さらば、北の大地。

2016-10-02 18:21:33 | Weblog


あと20分もしたら、船は動き出す。

船に乗った瞬間に、僕の足は北の大地から離れた。

お別れだ。

ひと月なんて、あっという間だ。

当たり前だ。ひと月なんて、あっという間だ。

瞬きをする間に通り過ぎるのが、ひと月というものだ。

嘘みたいなひと月だった。

実際、嘘だったのかもしれない。

夢のようなひと月だった。

実際、夢だったのかもしれない。


僕は、全部の瞬間、幸せだったんだよ。

信じられるかい?

僕は、少し、信じられない。


たくさんの人に出会えた。

すべての人に、ありがとうを伝えたい。

僕は幸運な旅人だ。

たくさんの人が、僕の旅を見守ってくれた。

僕の旅を見守ってくれたすべての人に、ありがとうを伝えたい。

僕が幸運な旅人でいられたのは、きっと、みんなの祈りのおかげだ。

今回は会えなかった人に、「またいつかね」と伝えたい。

きっといつか・・・会える。

もう会えなくなってしまった大切な人に、「ありがとう」と、伝えたい。

心の中で何百回も、ありがとうを唱える。


僕の大切な場所。

僕の大切な空と風。

僕の大切な道。

僕の大切なアイスクリーム。


「またね」と、僕は手を振る。


北の大地は答えない。


北の大地の向こう側に、たくさんの笑顔と優しさが見える。

どうもありがとう。

こんな僕を、優しく包み込んでくれてありがとう。

感謝します。

さらば、北の大地。
さらば、北の大地の人。

ははは。大袈裟かな?

ははは。大袈裟だね。

でも、僕は、本当に、毎日、そんな風に思いながら、過ごしていたんだよ。

もしかしたら、それが僕の「成長」なのかもしれない。


さぁ、船が動き出した。

出航だ。


みんな、どうもありがとう。

乗船したよ。

2016-10-02 18:17:26 | Weblog


乗船完了しました。

寝るスペース、狭いです。

コジキ部屋です。最安ルームです。

隣がいたら危ないです。

寝返り厳禁です。

チューします。

知らないオヤジとチューは嫌です。

チューが怖くて、今夜は寝られません。

空いてるから、隣はいない模様です。

良かったです。

寝られそうです。




さらばプー助!

2016-10-02 15:57:09 | Weblog


プー助の体をずっと撫でていて、どんどん毛が抜けていって、その毛をプー助の背中あたりに集めておいて、その毛がたまったところで、頭の方へ持って行って、モヒカンにして、ベッカムプー助にしようと思ってやっていた。

そしたら、背中はいいくせに、頭は嫌みたいで、ブルブルブルってされて、せっかく集めたプー助の毛が、全部吹っ飛んだ。

ショックだよ、プー助。
せっかくベッカムにして写真を撮ってあげようと思ったのに。ブログに載せようと思ったのに。

さらばだ、プー助。

また来るぜ!


草原の丘から。

2016-10-02 08:19:58 | Weblog


草原の丘から、戻る。

お父さんとお母さん、来た頃じゃないかな?と戻る。

なんにしても、家主不在の中、鎖を乗り越えて勝手に敷地に入り込んでいる僕である。勝手に敷地の奥深くの、草原の丘で時間を占拠していた僕である。不法侵入である。逮捕されるのである。

母屋の方へ向かうと、遠くにお父さんとお母さんがいるのが見える。

「あっ、やべぇ、もう来てた」
「あっ、やべぇ、不法侵入、バレた」

向こうが僕に気づく。

僕は手を振りながら近づいていく。

「埼玉から来たんですか?遠くからどうもありがとねぇ」

と、お父さん。

なぜかというと、鎖で閉じられていた入口にバイクが停めてある。

ペコリと頭を下げて、不法侵入の件について謝罪する。逮捕されるとまずいので。

お母さんが僕の顔を見て言う。

「あら」

そう、僕です僕です、と僕は言う。

お父さんもお母さんも、思い出してくれた。

「おぉぉ、よく来たよく来た。おぉぉ、休んでいけ休んでいけ、ゆっくり休んでいけ」

となる。再会である。


夢の館。

2016-10-02 08:05:27 | Weblog


「あー、嬉しいなぁ」

そうつぶやいていた。

「あー、嬉しいなぁ」

と、100回くらい。

天馬街道。

天馬街道を走りながら、「あー嬉しいなぁ」と心の底から言葉が出てきてしまう。

「逢いたい人に会う旅」である。

「行きたい場所に行く旅」である。

行きたい場所には相当な確率で行けるが、逢いたい人に会える確率は、僕が思うに、それほど高くない。

旅の途中というのは、ほぼワンチャンスである。略すと「ワンチャン」である。

ワンチャンで会える確率は低い。今日は不在だからまた明日来よう!というわけにはいかない。今日会えなければ、来年か再来年か、いつになるのか。という具合なのである。

だからこそ、ワンチャンだからこそ、会えた時の喜びは大きい。

そして、数年ぶりに訪れた「ただの客」の僕のことを、何百人何千人という中の「ただの一人で」の僕のことを、覚えていてもらえたりすると、笑顔で迎えてもらえたりすると、その喜びは、天馬の頂をも超えるほどになるのである。

これは、「夢の館」の話。

プー助も元気。

2016-10-02 07:58:25 | Weblog


プー助が迎えてくれた。
ぐいぐいと、迫ってくる。
プー助の顔をぐいぐいと制する。

「プー助、よだれが付くから、来んなよ」

ぐい。

「来んなよ」

ぐい。

「来んなよ」

ぐい。

プー助は向こうを向いてふて寝する。

プー助の背中を撫でる。

プー助起き上がる。

ぐいぐいと顔を近づけてくる。

「来んなよ」

ぐい。

「来んなよ」

ぐい。

「来なくていいんだよ」

ぐい。

100回くらい、そんなことを繰り返すのである。

プー助、可愛すぎる。

グッドモーニング苫小牧。

2016-10-02 07:43:54 | Weblog


昨夜は毛ガニとウニの歓待。
一ヶ月ぶりの再会。
一ヶ月ぶりの苫小牧島田家。
けんちゃんとめぐちゃんち。

毛ガニを丸一匹一人で食べると、お腹がいっぱいになるんだね。

「毛ガニなんて、食べるのが面倒だし、面倒な割には身が少ないような気がするし、毛ガニを食べる人の気がしれない」

と、カニ素人丸出しだった僕に、蟹の王様「毛ガニ」の美味しさを教えてくれたのは、7年前の島田家の人である。

身の味の濃さ、味噌の旨さ、食べ方のコツ等々、毛ガニを僕に振舞いながら指導してくれた。

今では、毛ガニを見ると「ドキっ」とする。

「蟹の王様や!」

三人で毛ガニを黙々と食べる。うず高く積まれる毛ガニの殻の山。
お腹がいっぱいになったところへ、エゾバフンウニ。

黄金のエゾバフンウニ。

「しんぐ、全部食べていいよ」

とか、最早、意味不明なことを言うのである。

ははは。嬉しい。遠慮なく全部頂く。だって、美味しいから。だって、美味しすぎるから。だって、ウニは高価すぎて、見ると僕が食べるには、密漁をする以外に方法はないから。

幸せな夜なのです。

島田家の新居の、100坪はあろうかという広い庭のデッキに腰を掛けて、ブログを書いている朝なのである。

今日も天気がいい。

グッドモーニング苫小牧。

タラバ?ズワイ?花咲?
いえいえ、やはり、王様は・・・毛ガニなんです。