哀愁の街「艋舺」。バンカと読む。
台北の街の繁栄はバンカから始まった。次第に繁華は他の街へ広がり、移り、バンカは哀愁が漂う街へと変わっていく。
つまり、ここは下町。
ゴミとかスーツケースとかダンボールをしこたまチャリンコに載せて走るおじさんがいる。
道の真ん中にリアカーを停めて話し込むおばちゃんがいる。
道端にガラクタの露店を広げて、その横で延々と眠り込むおじいちゃんがいる。
ばんか公園。
ライオンちゃんの後ろに座っているおじさんは、競馬かなんかの予想の紙を広げて、あーーー!おーーー!と唸っている。
台北は暑い。
バンカ公園の日陰に、僕はいる。
バンカ公園の日陰のベンチには、1000人くらいのおじちゃんとおばちゃんが、時に何をするでもなく、ほぼほぼ何をするでもなく、完全に何をするでもなく、時を費やすために集まっている。
僕はその中に混じって、ライオンちゃんをバッグから取り出したりして、地面に置いたりして、写真を撮ったりして・・・何をするでもなく、台北の暑さの中、おじちゃんとおばちゃんの波に紛れ込んでいる。
安安青草茶という怖い名前の屋台を見つけた。
アロエティーを買ってみた。
冷たくて甘くて美味しかった。
20元。70円くらいかな。