熱があって、リンパ腺が腫れて、耳が腫れて痛いのに、総合病院は診てくれない。
総合病院でお勧めされたさらに大きな総合病院へは、車で1時間。巨大な病院なので、予約をしていても一日がかりになる。待たされて待たされて、ただただ待たされて・・・。このご時世である。待たされている間にコロナウィルスに感染する確率は低くはない。嫌なのである。
最初から決めてました。隣町の駅前にある耳鼻科。最初から調べていました。隣町の駅前にある小さな耳鼻科。
解熱剤を飲んで、熱が下がっている間に、車でビューン。15分。
受付で、症状を告げて問診票を書く。
このご時世である。診察室のドアも待ち合い室の窓も開け放たれている。
患者さんはほぼいない。待たされている間、少しだけ緊張した。
・・・診てもらえるかなぁ?
呼ばれた。座った。問診された。耳を診られた。先生は言った。
「耳、触った?」
触ってません。いや、耳くらい触るだろ?えっ?耳って触っちゃいけないの?
でも、言った。触ってません。
「触ったでしょ?」
えっ?だからぁ、触っちゃいけないの?耳?僕は言った。うーん・・・触ったかなぁ?
「触ってるよ。ほら、傷があるもん」
えっ?傷があるの?そうなの?ということは触ったってことだけど、耳って触っちゃいけないの?僕は言った。耳掻きとか、ちょっとしたかなぁ?
「ほら、触ってんじゃん。触らないでよ、耳」
えっ?そうなの?耳?耳掻きとか?ダメなの?ほんとに?知らなかったなぁ。僕は言った。耳掻きとかダメなんですか?
「ダメだよ」
みんな、僕は言っておくよ。金輪際、耳かきはしないようにね。先生からの伝言だからね。
そして、先生は言った。
「バイ菌が入ったんだね」
僕は言った。今は耳が腫れてるけど、最初は首のリンパ腺が腫れたんですよ。原因は耳の傷なんですか?
「だって、耳に傷があるんだもん」
まあなぁ。
「抗生剤、出しておくから。四日分。なくなる頃に、また来て」
そう。抗生剤。それが欲しかったんです、先生。自力で直せないので、仕方ないから抗生剤。極力飲みたくはないが、ここぞという時の抗生剤。色々な細胞を殺してしまいそうな気がするけれど、悪いウィルスやバイ菌をやっつけてくれる抗生剤。
実のところ、首のリンパ腺から始まった腫れは、左耳の後ろへ回って、そのあとで右耳の後ろのリンパ腺へ回って、最終的に左耳が赤くなって腫れたという経緯がある。つまり、どう考えても左耳の傷が原因だとは思えない。つまり、ちょっと腑に落ちないところはある。だがしかし、そんなことはいい。大した問題ではない。今、大事なのは抗生剤。原因が何であろうと抗生剤。
その日から四日間、抗生剤をきちんと飲んだ。きちんと飲んだ以上に飲んだ。四日分を三日で飲んだ。6時間ごとにね。
二日目に完全に熱が下がって、三日目には耳の腫れが治まった。四日目に完治。
四日目。完治はしたのだが、いざという時に抗生剤があると助かるような気がしたので、再び耳鼻科へ行った。臨時休診だった。その後耳鼻科へは行っていない。
そんなわけで、コロナ疑い、のち、耳の傷からバイ菌。つまり、コロナくん疑い、のち、耳からバイキンマンの話はお終いなのである。
心配してくださったみなさん。ご安心を。
心配して、電話をくれたぎょいにー、ありがとう。
僕は元気です。