蜂箱を見にいくたびに、ハチの数が減っている。
確実に、女王蜂がいない。
ただただ寿命が来るまで働き続ける働き蜂たち。
悲しくて見ていられなくなった。だから、これが最後の写真。この写真を撮って以降、栗林へは行っていない。
「ハチさん、いなくなっちゃったなぁ」
梅雨が始まる頃、僕は三時間に一回くらい、そうつぶやいていた。
この世界からハチがいなくなると、人間は生きていけなくなる。という話がある。
ハチは蜜集めをする時に植物の受粉を手伝う。つまりおしべとめしべをくっつける。
鉢のお陰で、種は保存されていくという話。ハチは大事。
いちご農家は養蜂業者からハチを買うなり借りるならして受粉をさせる。そうしないとイチゴは成らない。ハチは大事。
ネオニコチノイドという農薬がある。米、果実、野菜に使われる。
農薬が染み入った花粉や蜜を摂取したハチは神経系統を冒され、帰巣本能を失って巣に戻れなくなる。という話がある。
北半球から4分の1のハチが消えたのはネオニコチノイドのせいだという話もある。
ヒトへの害は少ないという話もあるが、少なくないという話もある。
EUではネオニコチノイドの使用を制限したり禁止したりする国が多く見られる。アメリカでも少し規制されたりしている。
日本では、数年前にネオニコチノイドの残留基準が緩和されたという。ほうれん草などは、従来の13倍に緩和された。つまり、ネオニコチノイドをどんどん使いなさいということだ。
オザワジィの栗林のハチがいなくなった理由はわからない。
キムキムニーヤン曰く、「ハチは野生だ。野生だからヒトにはどうにも出来ない」。
オザワジィの栗林は小高い丘の上にある。
垢の上から見る景色が素晴らしい。眼下に、見渡す限りの水田。田植えの時期が終わって、稲がスクスクと育っている。
あぁ、ハチさん、またいなくなっちゃったなぁ。