オザワジィが倒れた。というところまで書いた。
オザワジィは脳梗塞で倒れてしまった。
奥さんと二人でお昼寝をして、夕方前、奥さんが起こすと、オザワジィはムニャムニャとなり、救急車がやって来て、救急隊員がオザワジィに万歳をしろと命じ、オザワジィの万歳は左腕一本の万歳だったと。奥さんが言っていた。
脳梗塞になると大体の場合半身に麻痺が残る。オザワジィの右半身には麻痺が残る。字が書けなくなる。書道の先生なのに・・・。
陶芸が出来なくなる。来年の干支は丑なのに・・・。
右足が不自由になったら、子供たちを迎えに行けなくなってしまう・・・。
このご時世である。コロナのご時世である。奥さんでさえも面会が許されない。一度足りとも。
入院をして二日目に、奥さんが荷物を届けに病院へ。
脳梗塞というのは、二日目からリハビリを始めるらしい。
面会は出来ないのだが、リハビリから戻るオザワジィに偶然出会えたという。
奥さんが話しかけると、オザワジィは曖昧に笑ったそうだ。
オザワジィの記憶が、曖昧になってしまった。
電話をもらってすぐに、オザワジィの奥さんに会いに行ったのだが、オザワジィの奥さんはとても哀しげだった。
僕の作業場にネズミの置き物が飾ってある。オザワジィが作った干支の置き物のネズミである。
僕はネズミに話しかける。
オザワジィ、早く元気になって帰って来てね。お茶、飲みに行くからね。