僕がブルジョワジーのしんぐくんになったのは、トト亡きあとの雪月花廊の経営に少しでも貢献出来たら・・・という考えからではない。僕はそんな奢った人間ではない。ははは。
昔、トトが僕に言った。極貧キャンパーの僕に言った。
「いつか、俺の作った飯を食ってくれな。ルスツ豚丼、美味いぞ」
僕に色々と食べさせてくれながらトトが言ってくれた言葉を僕は強く覚えている。優しい言葉だった。忘れたことがない。
そう、だから、僕は、トトとの約束を果たしに来た。
トトはもういないけど、トトとの約束を果たしに来た。
「トト、カカが作ってくれたキムチ鍋、美味しいよ」
トト、雪月花廊は素敵だよ。
こんなに暖かくて温かい場所は、世界中を探しても、きっと、どこにもない。