頼もう!頼もう!
と、嵐山窯の扉の前で叫んで、弟子にしてくれ!と頼んで、ここは会員制だよと言われ、会員になるのか?と聞かれ、会員?弟子みたいなもの?と問いかけ、弟子みたいなものなら会員になると答え、会員になったという話を、書いた。
あれから一週間。
もういっちょまえの陶芸家になっていると思われていることだろう。
答は・・・ノンノンノンだよ。
知ってる?知ってた?会員と弟子の違い。
会員って、弟子じゃないから何も教えてもらえないんだよ。
勝手にやれば?と言われても、陶芸のトの字も知らないんだよ。僕は。
くそぉ、どうしたらいいんだ。どうしたらいっちょまえの陶芸家になれるんだ。
古本屋で「初めての陶芸」という本を買った。
そうか・・・会員は初めての陶芸という本から始めなければならないのか・・・知らなかった。
「初めての陶芸」という古本に、「必要なもの」が色々と書いてあった。
そうか・・・会員は「必要なもの」をそろえるところから始めなければならないのな・・・全然知らなかった。
ヤフオクで「手回しロクロ」なるものを1300円で買った。
なんだかよくわかんないけど、陶芸初心者道具セットなるものを、アマゾンで1000円で買った。
新規会員特別サービスとして白髪の老人がタダでくれた信楽粘土が手元にある。
よし、やるか!
手回しロクロに粘土をのっけて、クルクルー、クルクルー、クルクルー。
初めての陶芸という古本を眺めながら、クルクルー、クルクルー。
飯茶碗が出来た。
知ってた?
陶芸って、意外と難しい。
なんだか、ところどころ、おかしい。おかしくはあるが、まぁいい。初めてにしては上出来だ。やった。飯茶碗だ。
しばらく乾燥させて、ひっくり返して、手回しロクロにのっけて、台の部分を削る・・・と、本に書いてある。
よし、書いてある通りにやってみる。
クルクルー、クルクルー。
ぴょいーーーーん。
あぁぁぁぁ、おれの飯茶碗が!
あぁぁぁぁ、おれの初めての作品が!
クルクルーと回した勢いで、半ナマの飯茶碗が向こうの方へ飛んでいってしまった。飛んでいってグシャッと潰れてお亡くなりになった。
よし、手を洗おう。今日のところはこれで終わりだ。
あーびっくりした。まさか茶碗が飛ぶとはな。
会員になって一週間。
いっちょまえの陶芸家になるどころか、初めての作品さえ出来ていない。
うーん・・・陶芸家への道は、ちょっとだけ遠い。