ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

世界は広くても、やることは同じ。2

2018-06-02 01:17:49 | Weblog


タロコの終点から数キロ、スクーターを走らせる。そこに秘湯の入り口がある。

文山温泉という名前がついている。ちゃんと名前がついているわけだから、秘湯というほど秘湯ではない。が、行き難いという意味では秘湯といってもいいと思う。行く人があまりいないという意味でも、秘湯と呼んでもいいと思う。

そこんとこ、どうだろうか?

北海道で知り合ったコーカタにーさんはなんというだろうか?

「うーん・・・あれは・・・秘湯とは言えませんね」と言うだろうか?どうだろうか?

何年か前、コーカタにーさんとコデラーマンと三人で、那須の辺りへ秘湯を探しに行った。僕の鎖骨がまだ折れていた頃だ。
川沿いを3時間も歩いて秘湯を探し、結局秘湯は見つからなかったという・・・そんなこともあった。
秘湯の痕跡はいくつも見つけた。その痕跡を追って・・・。秘湯マニア・・・恐るべし。

話はタロコの奥へ戻る。

文山温泉の入り口に看板が立っている。
そこに文字。
「Onen is closed」

つまり、温泉は閉鎖しています。

なるほどね。温泉は閉鎖中かぁ。行っても入れないのかぁ。といってあきらめると思う?
思わないね。が、正解。「はいはい、閉鎖中ね」とつぶやいて先へ進むのが正解。

だって、温泉は、自然のものだから。人間が決めるものではない。

眼下200メートルに川が見える。けっこう高い。ここを川まで下りていくと上りがきついなぁ・・・そんなことを思いながら、トコトコと階段を降りていく。

工事現場の音みたいなセミが鳴いている。日本では聞いたことのない鳴き声だ。

細くて小さな吊り橋が、川の上にかかっている。
30メートルほど下、眼下に川、川の横に大きな窪み。なんとなく温泉の湯船のようにも見える。中身は空っぽである。

閉鎖中・・・の文字がよぎる。

なるほどね。なるほどね。

吊り橋を渡ると、大きな鉄製の門がある。門は閉まっている。施錠してある。なぜか?・・・閉鎖中だからである。

なるほどね。なるほどね。閉鎖中だもんね。

門を抜ける場所を探す。
ここは崖の上。

ここで、先へ進む道がなけれな、秘湯探検は終了するしかない。まさか、崖をボルダリングしてまでたどり着こうとは思わない。

大きな鉄製の門の横に人が通り抜けられそうな隙間がある。その隙間を抜けて、柵を越えれば門の先へと出られる。

ひょいひょいと行く。こういう道は人が作ったものだ。人が作ったということは、人が行くということだ。

さて、タロコは大理石の産地。文山温泉、ここは天然の大理石の湯船に湧き出す硫黄泉。

滑り落ちたら死ぬだろうなぁという、急階段を降りていく。

湯船があろうがなかろうが、温泉が湧き出ていようが枯れていようが・・・そんなことは、まぁ、どうでもよい。

結局のところ、こういうのが楽しいのだと思う。

「わぁ、すごい峡谷!」と感嘆するよりも、「やべぇなぁ、この階段・・・滑るなぁ」とか。

結局のところ、バカなんだと思う。ははは。
こういうのを、バカっていうんだと思うよ。僕は。

つづく。


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