先日、ミツバチ師匠のキムラ師匠に会った。
キムラ師匠はちょっと怖い。なんか怖い。怖いけど優しいんだけど、ちょっと怖い。元マル暴の刑事。マル暴というのは、暴力団担当刑事。
ちなみに、ネットでマル暴と検索したら、一番目に「見た目はヤクザそのもの」と出てきてちょっと笑えた。
キム兄の見た目は、ヤクザそのもの。ははは。
キム兄が言う。
「スズメバチトラップは仕掛けてあるのか?」
「全然やってません」と僕が答えると、すごく怒られた。だいたい、100パーセント怒られる。見た目はヤクザそのものの人に、100パーセント怒られるという状況を、君は経験したことがあるのかい?
キム兄曰く、秋に捕らえるスズメバチなんぞは、ただの兵隊スズメバチなので意味なんてない。スズメバチは、春に捕らえなければならない。なぜか?なぜならば、スズメバチの群れは越冬しない。越冬するのは、女王蜂だけなのである。ローヤルゼリーを食べながら、スズメバチの女王だけが越冬をし、春になり、巣を作り、数万匹の兵隊蜂を産み、虫たちを皆殺しにしながら種を残していくのである。
・・・怖すぎる。
つまり、この時期にトラップにかかるのは、全て女王蜂。一匹捕らえれば、数万匹の群れを一つ消すのと同じ。ということになる。
というわけで、春にスズメバチトラップを仕掛けないでいるとは、なんという愚か者なのか!と怒られているわけである。
キム兄は、もう7匹もスズメバチを捕らえたと言う。
スズメバチの女王が巣を作り、群れをなし、兵隊スズメバチが飛び回り、人間の子供や老人を刺しまくったりすると、みんな泣いてしまったりするわけだから、7匹もの女王を捕らえたとなると、表彰ものの社会貢献じゃないか!見た目はヤクザそのものなのに!と、僕は思ったりするわけなのである。
キム兄の家からの帰り道、早速、スーパーマーケットでグレープフルーツジュースを買った。225円もした。思ったより高かった。自分で飲むわけじゃないのに・・・。ハチのトラップ用なのに・・・。
ペットボトルに穴を開けたりして、中にグレープフルーツジュースと酢と焼酎を入れたりして、スズメバチトラップを5個作った。
庭のそこかしこの木の枝に、スズメバチトラップを吊るしてみた。
そして、数日間の観察。
入るわ入るわ・・・色々な虫が。そして、スズメバチも入る。
うわぁ、おれも社会貢献しちゃってるじゃん。。。
そして、数日前。
グレープフルーツジュースや焼酎や酢が乾燥してしまい、トラップの中の液体が少なくなっている。そして、大量の虫たちの死骸が染み渡り、トラップの中は、もうなんだか、すごーく気持ちの悪いことになっている。
トラップの中で何かが蠢いている。音がする。見ると、巨大なオオスズメバチの女王が・・・5センチを優に超える大きさである。ペットボトル越しに目があったする。夢に出てきそうな顔なのである。怖い怖い怖い。そして、数時間後、隣にぶら下げてある別のペットボトルにも、5センチを優に超えるオオスズメバチの女王が・・・カタカタと音を立てながら、ペットボトルの壁を登ろうとしているのである。
どんだけいるんだよ・・・オオスズメバチ。
それから四日ほどが経過した。
「トラップにスズメバチ入ってるっかなぁ」と、僕はスズメバチトラップチェックを。
カタカタカタ・・・。
うげっ!
一匹の女王蜂、まだ生きているのである。お尻を液体に浸しながら、四日間、ずっと、カタカタカタと音を立てて壁を登ろうとしているのである。半端ない生命力・・・怖すぎる。
そろそろ、スズメバチトラップを新調しなければならない。液体交換をしなければ。
えー、でも、気持ち悪いなぁ。液体を入れるには、液体を出さなければならないじゃないか・・・。どうするっかなぁ。
と、考えている僕なのである。
とりあえず、オオスズメバチの顔は怖い。という話。
見た目はヤクザそのものの人とどっちが怖い?
・・・うーん・・・甲乙つけがたい。