クラウド・コンピューティングが注目されていることは以前に言及しましたが、一方でサーバを統合し、ITリソースを効率的に活用しようと考える企業が増えているようです。
企業における情報システムの課題の一つに、増え続けるサーバへの対策があります。
サーバが増えると、
①運用管理負荷の増大
②サーバ室(設置スペース)の狭小化
③消費電力の増加(=発熱源の増加)
といった問題が発生してきます。
こうした問題を解決するには,サーバやストレージを集約するということになろうかと思います。サーバやストレージの集約方法として、現段階では
①仮想化統合
②クラウド・コンピューティングの利用
が考えられます。
クラウド・コンピューティングについては、1月16日にリリースした「クラウドは情報システム部門がある会社に必要か?」で言及していますので、ここでは省略します。
もう一つのサーバ統合においても気を付けなければならない点があります。
『SAP』や『IBM System-i RPG』で構築されたERPのように、ミッションクリティカル(注)な業務アプリケーションやI/O負荷の高いデータベースなどをいきなり仮想環境に移行するのはリスキーと考えられます。
(注)
ミッションクリティカルとは、24時間365日稼働し続けることを要求される基幹業務、あるいは、そのような業務遂行のために使用されるコンピュータシステムのこと。
経理、販売管理、購買管理、就業管理等の金銭に関わる業務を支える基幹システムに誤りや中断、セキュリティ上の問題が発生すると、業務の中断だけでなく巨額な損失の発生や信用の失墜を招く危険性がある。
このため、このような業務に使用されるシステムには、極めて高い信頼性や耐障害性、更には障害発生時に被害を最小に食い止める様々な機能、サポート体制などが必要となる。
これらの複合的な性質をミッションクリティカルと呼ぶ。
従って、情報システム運用管理は、
(1) WEBサーバやAPサーバなどのエッジサーバ
(2) 基幹業務システム(Application及びDB)
の2つの異なるサービスに分けて考え、実施することが重要となります。
余談になりますが、基幹業務システムにおいては、BCP対策としての、「セカンダリ・サイトの設置」がより優先して検討されるべき課題ではないかと思います。
「グリーンIT」も「TCOの低減」も、現在のIT界におけるブーム、トレンドです。自社にとって必要かつ実現可能な対応は“どれとどれか”を良く見極めなければなりません。
IT統制/内部統制への対応も重要です。
保守的と思われるかも知れませんが、基幹業務システムを仮想化するかどうかは第二段階或いは第三段階で検討することと考える方がいいでしょう。また、例えばバックアップを仮想化統合サーバによるレプリケーションで行うなど、情報システム運用管理のどの部分を仮想化するのかを決めるのも重要です。
ベンダーやメーカーによる営業攻勢は性急です。セミナーでの語調も、その仕組みを導入しないのは時代遅れだと言わんばかりのものが多いと思います。自社にとって何が重要で、何が必要かを考え、決定するのも情報システム部門の責務と思います。確固たる信念、方針をもっていれば、周囲に惑わされることは無くなると思います。