業務関係者に個人情報が含まれたドキュメントを送付する必要があり、会社で導入している暗号化ソフトを使って“自己複号暗号化”ファイルに変換し、メールに添付して送信しました。また、複号化パスワードを別メールで送信しました。
私のメールを受信したA氏から電話があり、
「パスワード入力画面が表示されないばかりか、霧がかかったような画面が表示される。」
また、別のB氏からは、
「受信メールに添付されていたファイルが削除されてしまったようだ。」
といった連絡がありました。
一瞬、「どうしたんだろう?」と私の思考回路は混乱し始めましたが、3時間程度経つ内にあることを思い出そうとしながら、一方で現象再現方法についても整理しようとし、何ができる訳でもないのにPCに向かっていました。PCに向かうことで思考の整理が容易になる傾向を認識していたので・・・。
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この現象はイントラで利用しているメーリングソフトでは再現できないはずだ。
Windows XP に同梱されている「Outlook Express」のバージョン6以降のメーラー環境が必要。
Windows Vista 又は Windows 7 に同梱されている「Windows メール」のメーラー環境が必要。でもこれは必須ではないかも。
確認して、解消方法を思い出さなければ・・・
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ここまで考えた時、先の二氏に送付したメールを自宅の自分宛に送信していました。
自宅でのメーラーは「Outlook Express 6」です。現象再現の可能性と解決策確認の可能性を賭けたのです。
帰宅後、PCを立上げ、Outlook Express を起動しました。会社から送信したメールを受信していました。メールを開くと、添付ファイルが表示される箇所に
『次の添付ファイルは安全でないため、メールからのアクセスが削除されました:***.exe』
というメッセージが表示されていました。
疑問が確信に替わった瞬間です。
何年も前のことです。会社の全PCに Windows XP Service Pack2 を入れたときに整理していた事項でしたが、既に記憶の奥底に仕舞い込んでいたことを思い出したのです。
このトラブルは Microsoft 社の余計なお節介によるメールセキュリティ機能によるものです。(欧米の人には必要な機能のようです。)
Microsoft 社の余計なお節介とはこうです。
①ウィルスの9割以上はメールの添付ファイルを利用してやってくる。
②うっかり添付ファイルを開いてしまい、ウィルスに感染した、ということが減るよう、『ウィルスの可能性がある添付ファイルを保存したり、開いたりしない』ように制御する。
といった機能を Outlook Express 6 から追加し、デフォルトでその機能を“ON”にしたのです。
したがって、Windows XP Service Pack 1 以降、あるいは Internet Explorer 6 Service Pack 1 以降をインストールしたときや Windows Update で自動的にインストールされたとき、突然『添付ファイルが削除された』とか『添付ファイルを開けない』といったトラブルに見舞われることとなります。
Windows Vista や Windows 7 に同梱されている Windows メールにもこの思想と仕組みは引き継がれています。
このお節介な機能のターゲットとなるファイルは、次のような拡張子をもつファイルです。
ただし、ここに列挙した拡張子はターゲットの全てではありません。
.exe .scr .vbs .com .pif .bat .lnk
以下の設定変更を行うと、全ての添付フィルを開くことができます。当然、自己複号暗号化ファイルのパスワード入力画面も表示されるようになります。
1.メールソフトを起動する
2.メニューバーの「ツール」をクリック
<Outlook Express 6の場合>
<Windows メールの場合>
3.「オプション(O)」をクリック
4.表示されたオプション・メニューの「セキュリティ」タブをクリック
<Outlook Express 6の場合>
<Windows メールの場合>
5.「ウィルス防止」項目の「ウィルスの可能性がある添付ファイルを保存したり開いたりしない(N)」のチェックボックをクリックし、チェックマークを消す。
6.〔適用(A)〕ボタン→〔OK〕ボタンの順にクリック
以上で設定変更は完了です。
どんな添付ファイルも開くことができるようになりましたが、以前にも増して
○ウィルス・メールやスパム・メールへの注意を怠らない
○安易に添付ファイルをクリックしない
といった、ヒューマン・エラー防止意識を高めることが常に必要となります。