5月8日、加古川市の鶴林寺で花祭りが執り行われ、この日は入山料が無料とのことだったので、訪ねることにしました。
鶴林寺の花祭り
「花祭り」とは、お釈迦様の誕生をお祝いする法要です。お釈迦様が2500年前、現在のネパール国のルンビニ園で生まれ、神が空から祝福の甘い雨を降らせた故事にちなんで、花で飾った花御堂に誕生仏の像をお祀りしてお祝いします。
灌仏会(花祭り)の花御堂と誕生仏
花祭りは、日本において釈迦を本仏とする仏教寺院の多くで4月8日に、一部の寺院によっては月遅れの5月8日に実施されます。
鶴林寺では当日、甘茶の接待をしていました。このほか、塔婆回向(とばえこう)や納骨・納髪の供養も行っていました。
鶴林寺と鶴林寺公園
鶴林寺(かくりんじ)は兵庫県加古川市にあり、山号を刀田山(とたさん)と称し、宗派は天台宗、本尊は薬師如来です。
聖徳太子創建の寺と伝えられています。養老2年(718)に七堂伽藍が整い、太子信仰が高まった鎌倉・室町の全盛期には三百ヵ坊を数えたそうです。鶴林寺公園の緑に囲まれた境内に立ち並ぶ国宝の本堂、太子堂、重要文化財の常行堂、鐘楼・行者堂、護摩堂は平安~室町期に造られたもの。宝物館には白鳳時代の聖観音立像(重要文化財)など数々の寺宝が展示されています。
鶴林寺は尾上(おのえ)街道(県道129号)と鶴林新道に囲まれた一角にあります。鶴林新道とは、1984年11月30日に廃止となった国鉄高砂線の軌道敷跡地を整備・転用した道路です。
鶴林寺は「刀田の太子さん」と親しまれており、「播磨の法隆寺」とも言われています。境内には菩提樹と沙羅双樹が植えられています。例年、これらの花は6月上旬に見頃となります。この写真は2014年6月17日に撮影したものです。
また、この時期には境内周辺の『鶴林寺公園』で躑躅(サツキツツジ・ヒラドツツジ)や藤などを楽しむことができます。今年は気象が異常なのか、神姫エリアでは色々な花の開花時期が1カ月位早くなっています。ここ鶴林寺も例外ではなく、藤は終わっていたし、躑躅も見頃を過ぎていました。
本堂で、ご朱印を三種いただきました。右から
・ 『西国薬師第二十二番』 醫王殿
・ 『新西国霊場二十七番』 聖観音
・ 『聖徳太子御遺跡第二十七番』 刀田の太子
です。
≪プチ知識≫
1.花祭り
花祭りは「灌仏会(かんぶつえ)」の別名で、日本では4月8日、寺院によっては月遅れの5月8日に実施されます。
「灌仏会)」は、「花祭り」のほか、「降誕会(ごうたんえ)」、「仏生会(ぶっしょうえ)」、「龍華会(りゅうげえ)」、「花会式(はなえしき)」、「浴仏会(よくぶつえ)」とも言われています。
『釈迦生誕時に産湯を使わせるために9つの竜が天から清浄の水を注いだ』との伝説に由来し、日本では、釈迦を本仏とする多くの寺院で、様々な草花で飾った花御堂の中の甘茶を満たした灌仏桶に安置した誕生仏像に柄杓で甘茶を掛けて祝うお祀りが執り行われています。
2.本仏と本尊
本仏とは、無数の仏(如来)の中で、根本となる仏のことで、多くの仏教宗派で釈迦牟尼仏を本仏としています。
一方、寺院を訪れると、「お寺のご本尊は○○」という話を耳にします。この本尊とは、寺院などで礼拝の対象として安置されている最も主要な仏・菩薩(ぼさつ)像を指しています。仏・菩薩像に替えて画像・曼荼羅(まんだら)・名号などのこともあります。
3.グレゴリオ暦と旧暦、月遅れ
お釈迦様の誕生日については、インドや中国など諸国における暦の違いから諸説ありますが、日本では現行歴(グレゴリオ暦)の4月8日としているところが多く、一部には旧暦(天保暦)を踏まえた月遅れの5月8日とする寺院もあります。
1908年(明治41年)には、旧暦併用がグレゴリオ暦普及を阻害するとの理由から、帝国議会衆議院で「陽暦励行に関する建議」が可決され、1910年(明治43年)の官暦から旧暦併記が行われなくなりました。1910年の旧暦併記廃止はその時代の人々に「旧暦廃止」と認識され、旧暦に基づいた行事が新暦や月遅れに移行するところとなりました。
【関係サイト】
○ 刀田山鶴林寺
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