鵯に誘われて朴の木をみてから9日後の朝、いつもの様に駅に向かっていつもの道を歩いていると、目の前に何かが“ポトッ”と落ちてきました。落ちてきた物を確かめるように見るとドングリでした。
見あげるとそこには樫の木があり、沢山の実をつけていました。
団栗は鼠や栗鼠、カケスなど小動物のほか、月の輪熊に至るまで、森に棲む哺乳動物が冬を越すための重要な食料です。
つい数日前に夏がやっと終わったと思っていましたが、季節はそれよりも早く晩秋になっており、間も無く冬を迎えようとしているのだなと思わざるをえませんでした。
【団栗(どんぐり)】
わが国で団栗とはクヌギ・カシ・ナラ・カシワなどの果実の総称です。
ドングリは果実(堅果)で、種子ではありません。樹の種類によってさまざまな形状をしています。
尖った先端、硬い表面の皮、茶色ですべすべした上部とぶつぶつした薄めの褐色の下部が、団栗に限らずブナ科の実の共通の特徴です。実の下部または全部を覆う椀状或いは毬状のものは殻斗(かくと)といわれる部分で、ドングリの殻斗は俗には「ぼうし」とか「はかま」などと呼ばれます。
ドングリといえば細長く、下部をぶつぶつとした殻斗が覆っている実をイメージしますが、クヌギのドングリは丸く、殻斗は毛が生えたようになっています。
冒頭で述べたように、団栗は森に棲む動物たちの重要な食料であり、その出来不出来が森に棲む野生動物の翌春にかけての生存に大きな影響を与えます。熊の人里への出没の増加も団栗の不作が影響しているのではないかと考えられています。
因みに森で育てられると言われているイベリコ豚の飼料として、団栗が与えられているとのことです。