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ジーザス・クライスト=スーパースター ジャポネスク・バージョン

2007年06月24日 22時13分12秒 | 観劇

浜松町・四季劇場[秋]で、ジーザス・クライスト=スーパースターを観てきました。
イエス・キリストの最後の7日間を題材とした、ロックオペラです。
今回の舞台は、ジャポネスク・バージョンと呼ばれるものです。
白を基調としたスロープには大八車が白子によって巧みに配置を変え、様々なものを演出しています。
役者も、歌舞伎をイメージさせる白塗りに隈取りという特徴的なメイクです。
音楽は笛や鼓が響き、独特の世界を広げます。
そのいずれものが、初見の私には驚きです。
ジーザス、イスカリオテのユダ、マグダラのマリア等々、少なからず記憶に残る名前が。
オープニング、芝 清道さんのユダのソロから、圧倒されそうな迫力です。
能の世界をも思わせる、ジーザスの表情。
ジーザスを愛おしむ、マグダラのマリアの手の仕草。
木村花代さんのマリアが歌う、『今宵安らかに/私はイエスがわからない』は、深い愛情を感じさせます。
時にすがり、時に歓喜の声をあげ、時に怒りに満ちあふれる、多くの群衆のエネルギーも痛いほど伝わってきます。
ジーザスが民衆の心を掴んでしまうことを怖れ、ジーザスを殺すことを計る大司教カヤパ、義父のアンナスや司祭達は、公家荒れの隈【くげあれのくま】と呼ばれる藍色の隈取りをしていて、歌舞伎の世界同様に位の高い敵役を表現しています。
カヤパの低音の声、歌い上げるのは大変そうです。

ローマ総督ピラトを演じるのは村 俊英さん。
ピラトも、藍の隈取りをしています。
捕らえられたジーザスが無罪であることを知りながらも、民衆の意に沿うために鞭打ちにし、十字架に磔とすることを命じたため、藍の隈取りとなっているのでしょう。
本心と、政治的な演出との間での葛藤は、例えようもないものがあったことでしょう。
ジーザスを鞭打ちにし、カウントを重ねるピラト。
背に鞭を打たれる度に、苦悶の表情を重ねるジーザス。
着衣が破れ血が滲み、引きずられた後の真っ白な舞台には血痕が。
終わりが無いのではと思えるほど繰り返し打たれる鞭の音には辛さを覚え、耳を覆いたくなります。
それにしても、安心して聞き入ることが出来る村さんの素晴らし歌声は、さすがとしか言いようがありません。

自殺したユダが天から降り、ソウル・ガールと共に十字架のジーザスに向かって歌う、『スーパースター』。
ユダの歌声に聞き入ってしまいます。 この曲が終わると、ラストへ。
静寂の中十字架を背負うジーザスの姿は、やはり見続けるのは辛いものが。

観終えて感じることは、無駄を廃したジャポネスク・バージョンの素晴らしさ。
白く塗られ隈取りによる表情と素晴らしい歌声は、感動を与えれくれます。
高いレベルの歌唱が求められるだけに、役者の方々にはハードな舞台だと思います。
この後、もう1度観る予定です。
また違った角度で観ることができればと、期待しています。

それにしても、最近は観劇の話題ばかりが続いているなと、我ながら思ってしまいます。
劇場に行く途中に見かけた、紫陽花。
大半の紫陽花が咲き進んでいる中、これからの花を見つけました。
まだまだ緑掛かっているものの、ピンクやブルーの淡いグラデーションが印象的でした。
今のところは空梅雨のような天気も、月末頃からは本格的な梅雨空になるのでしょうね。

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