楽日1週間前になり、ようやく李香蘭を観てきました。
昭和の歴史三部作として四季劇場[秋]で演じられる、最初の作品です。
日本人でありながら、中国人の将軍の元に養女として迎えられた李香蘭。
美貌と美し歌声が、彼女の意に反して政治的に利用され、運命に翻弄されていく様子を、清朝皇族ながら日本人の養女として育てられた川島芳子が時代背景や自身の心情とともに歌い上げていきます。
軍人を装う川島芳子のを演じる濱田めぐみさんは、エビータのチェと姿が重なってきます。
李香蘭を演じられる野村玲子さんの歌声が心配だったのですが、少しハスキーな感じもしますが、思ったよりも良かったので安心しました。
ただ、声量は少し細いのかも知れませんね。
沼尾さんが演じていたとしたら、もっと迫力の歌声が聞けたのではないかとも考えてしまいます。
李愛蓮役の五東由衣さんは、変わらず美しい歌声ですね。
舞台の内容が厳しいものだけに、澄んだ歌声がいっそう切なさを感じさせます。
関東軍の参謀の方々の、重々しい男声コーラスは迫力があって良いですね。
中でも、種井さんの裁判長が印象に残ります。
キャッツでの長老とは違い、歌声に聞き入ってしまいました。
青木さんの丸の内警察署長はコミカルな演技もあり、印象に残ります。
それにしても、舞台の根底にあるのが軍部による武力行使や戦争があるため、映像として映し出された大戦の様子や犠牲になられた方々の映像には、目を覆いたくなるものがあります。
客席の中からも、すすり泣きがあちこちから聞こえてきました。
ラストの以徳報怨では、アンサンブルの女性のうち、もっとも上手寄りの方が涙を流し泣いている姿が印象に残っています。
今回の演出では、一部の曲を中国語で歌っています。
役者の方の中には、中国出身の方もいらっしゃると思います。
それだけに、複雑な心情となったりすることもあるのではないでしょうか?
また、休憩時間の時に、劇場のロビーに警備員の姿を見ましたが、この作品に対する様々な思いがあることを感じさせられました。
この後、異国の丘、南十字星と昭和の歴史三部作は続きますが、残りの作品を見続けられるものか・・・。
四季劇場[秋] | 2008年5月11日 |
李香蘭 | 野村玲子 |
川島芳子 | 濱田めぐみ |
李愛蓮 | 五東由衣 |
杉本 | 芝 清道 |
王玉林 | 芹沢秀明 |
【男性アンサンブル】 | |
高橋是清/海軍大将 | 維田修二 |
山口文雄/斉藤孝雄 | 山口嘉三 |
李将軍/参謀/丸の内警察署長 | 青木 朗 |
参謀/関東軍中佐 | 岡本隆生 |
検察官/参謀 | 川地啓友 |
弁護官/連合艦隊通信員 | 林 和男 |
裁判長/参謀 | 種井静夫 |
奉天放送局員/新聞記者/負傷兵 | 中村 伝 |
検察官/新聞記者 | 川原信弘 |
溥儀 | 星野光一 |
参謀/関東軍少佐 | 深水彰彦 |
永井荷風 | 川口啓史(劇団俳優座) |
伝令兵 | 上田 亮 |
青年将校 | 青山祐士 |
リットン卿 | 田島康成(劇団昴) |
検察官/参謀 | 池田英治 |
青年将校 | 岡本繁治 |
石 路 | |
平田郁夫 | |
村澤智弘 | |
渡邊今人 | |
前田順弘 | |
高城将一 | |
花沢 翼 | |
【女性アンサンブル】 | |
山口夫人 | 大橋伸予 |
李夫人/声楽教師 | 佐和由梨 |
小松陽子 | |
勝又彩子 | |
畠山 馨 | |
村上 智 | |
齋藤 舞 | |
吉村晶子 | |
松尾美惠子 | |
今 彩乃 | |
谷口あかり | |
蒼井 蘭 | |
コンダクター | 平田英夫 |