楽日を明日にして、再び南十字星を観に行ってきました。
李香蘭、異国の丘はいずれも1度しか観ていなかったのに、今回南十字星を観ようと思ったのは、舞台セットを俯瞰で観てみたいという思いからです。
前回、1階席のかなり前方から観たため、役者の方々の表情を十分に観ることができたものの、舞台上に表現された川の流れや水田などが解り難かったのです。
今回の席は2階の下手よりの2列目を取ったため、セット全体が見渡すことができ、ラストの収容所のシーンも印象的でした。
当初想像していたよりも奥行きのある舞台は、床の移動量を帰ることにより池や小川にも、田や川にも変化をしていくのですね。
火祭りのシーンも、独特の動きに特徴のあるダンスが印象深く残っています。
キャストは、ニルワンが小出さんに変わった程度で、メインの方々は前回とほぼ一緒でした。
今回は2度目ということもあり、かなりの情報が記憶に残っている状態のためか、早々に涙目の観劇となってしまいました。
1幕の保科の出征の時、姉の春子が「生きて帰ること」を強く望むシーンは、恐らく当時は口にすることも憚られた表現だとは思いますが、大切な人への心からの願いを止めることはできないのですね。
大戦が終結し、戦犯裁判というものが行われることになり、島村中将のシーンからは涙を抑えることができなくなりました。
戦争の責任を問われなくてはならない者と、それに呑み込まれていく者達。
歯車が狂い、時の流れに押し流された者達を救うために、自らが進んで刑を受けるということの辛さが胸を締め付けます。
リナが収容上に危険を冒してまで忍び込み、大粒の涙を流しながら保科と語るシーンは前回以上に啜り泣きをしている人が多かったような気がします。
後のシーンで姉の春子が保科の遺書ともいえる走り書きを読み返していますが、刑を執行するために呼び出されてから走り書きをするまでに、どれほどの時間があったのでしょうか?
綿々と書き綴られた思いは、平穏な心境に至ったと表現はしているものの、その言葉を記すまでに去来したであろう様々な思いが去来したことでしょう。
一方で、弟の勲を身代わりにして独立軍に身を置いた原田大尉。
インドネシア独立を願ってのものなのか、戦犯としての刑を逃れるためのものなのか、彼もまた自分の命は時間の問題であることは理解をしていてのものだとは思います。
究極の精神状態に置かれた者達の悲しみ。
繰り返されることのないことを、祈らずにはいられません。
昭和三部作のすべてを観て思うことは、平和の世界にしかしらない私たちが涙を流しているなか、世界では戦争の悲惨さに涙を流している人々が今も多くいるということです。
休憩中に気づいたのですが、劇場のエントランスの上のガラスにこんなものが貼られているのに気づきました。
この1枚を含めて、左側にも1枚。
鳥か何かが、ガラスに激突をするのを防ぐためでしょうか?
四季劇場[秋] | 2008年8月2日 |
保科 勲 | 阿久津陽一郎 |
リナ・ニングラッド | 樋口麻美 |
島村中将 | 田代隆秀 |
原田大尉 | 鈴木 周 |
塚本少尉 | 池田英治 |
ニングラット博士 | 武見龍麿 |
ルアット・ニングラット | 内田 圭 |
ニルワン | 小出敏英 |
キキ | 山中由貴 |
オットー・ウインクラー | 吉賀陶馬ワイス |
原田春子 | 都築香弥子 |
岡野教授 | 維田修二 |
【男性アンサンブル】 | 中村 匠 |
井上隆司 | |
朝隈濯朗 | |
片山崇志 | |
川原信弘 | |
染谷 裕 | |
田井 啓 | |
渡邊今人 | |
松本和宣 | |
西村侑剛 | |
山本伸夫 | |
安東 翼 | |
畑野年孝 | |
辻中 武 | |
【女性アンサンブル】 | 小松陽子 |
佐和由梨 | |
藤田晶子 | |
井藤湊香 | |
杏 奈 | |
倉斗絢子 | |
佐伯真由子 | |
有美ミシェール | |
梅崎友里絵 | |
小澤真琴 | |
宝生 慧 | |
チェ ウンヘ | |
ジョン ソンジ | |
ジョン ジヨン | |
牧野友紀 | |
児玉美乃里 | |
オーケストラ指揮 | 平田英夫 |