93歳女性が一昨日の夜間に呼吸困難で救急搬入されていた。呼吸器科がないので、当直の外科医が初期治療をして入院させた。呼吸器科がないので、内科系の当番が消化器科医だったので、翌日その先生が担当になって、治療の相談を受けた。診察すると喘鳴が中途うふぉに聴取される。胸部X線・CTで明らかな肺炎の浸潤影はなかった。白血球数が10000でCRP5と炎症反応が上昇していた。
もともと当院の呼吸器科がなくなるときに、内科クリニックに紹介されていた。病名は気管支拡張症で、今回のCTでも気管支拡張像が確認された。処方はクラリス200mg/日がだされていた。それから6年間は特に問題がなかった。当院に搬入された日の日中にそのかかりつけクリニックを受診して、抗菌薬(ジェニナック)が処方されていた。私は化学療法学会に入っていて感染症科寄りなので、DPB以外の慢性呼吸器疾患にマクロライド少量長期投与するのは批判的な方だ。
病態としては喘息性気管支炎というべきものだった。抗菌薬(ロセフィン)と喘息発作に準じてステロイドを短期間使用することにした。デカドロン2mg(1.65mg)を1回点滴静注すると喘鳴が大分軽くなったので、同量を3日間のみ使用することにした。気管支拡張剤(テオフィリン)も内服とした。気管支拡張症に気管支拡張剤を投与するのかということになるが、実際はCTで見える拡張した気管支ではなくて、末梢の気管支が攣縮しているのだろう。
解熱して喘鳴が軽快して食欲良好となったので1週間くらいで退院にできそうな見込みとなった。継続してテオフィリン製剤を投与したら保険は通らないので、退院時には中止にする。