なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

意識障害の原因は?

2012年11月10日 | Weblog

 昨日の夕方81歳女性が内科クリニックからの紹介で救急搬送されてきた。脳梗塞の既往があり、高血圧症・糖尿病・心房細動・心不全で治療を受けていた。午前中にデイサービスに行っていた時に嘔吐した。施設からその内科クリニックへ連れて行かれたが、意識レベルが普段よりも低下しているため、当院へ依頼がきた。意識レベルは30(JCS)という話だった。

 救急当番は若い循環器科医だった。搬入された患者さんは、明らかな麻痺はないようだったが、脳梗塞再発を疑って、画像検査を行った。頭部CTでは陳旧性脳梗塞のみで、脳出血はなかった。ついで頭部MRIを行ったが、拡散強調画像で新鮮な脳梗塞はなかった。脳梗塞がないと判明した時点で、内科に診療依頼がきた。救急室で患者さんに話かけると(難聴あり)、開眼して返事をした。頭痛などないかと尋ねるとないという。もともと認知症があり、ひとことふたことに簡単な会話しか成り立たない人だった。すでに、もともとの状態に戻っているのかもしれない。意識の評価が難し人なので、実際はどの程度の意識障害だったのかわからない。

 胸腹部CTでは明らかな肺炎はなく、腹部にも特に問題はなかった。血液検査で白血球が一万ちょっとと増加していて、CRPは0.4だった。感染症による炎症の起こり始めのデータと思われた。肺炎がないとすると、尿路感染症が疑われる。おむつをして尿失禁がある。導尿してみると、肉眼的には尿は混濁していなかった。尿検査でも白血球は5-10/HPFと大したことはなかった。細菌は(3+)だった。発や熱悪寒がなく、尿路感染症(急性腎盂腎炎)によると断定もできなかったが、尿培養と血液培養2セットと提出した。入院して、点滴・抗菌薬で経過をみることにした。

 この患者さんは、いろいろと問題がある。まず、糖尿病だが、経口血糖降下剤がほとんどフルで入っているが、HbA1cが8.7%と血糖コントロールが不良だった。インスリンを導入するしかないが、認知症で自己注射はできないから、家族がしなければならなくなる。入院中は速効型インスリンで補正するが、インスリン自己(家族)注射にふみきれるかどうか。

 心房細動・心不全があり、バイアスピリンが処方されているが、本来は抗凝固療法にするべきということになる。既往の脳梗塞も、部位からみて脳塞栓の可能性がある。ワーファリンを開始するか、新しい抗凝固剤(イグザレルト)を開始するか。

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