内科クリニックからチアノーゼの78歳女性を救急搬送したいと連絡が入った。救急隊が酸素3L/分としてきたが、酸素分圧は70だが、炭酸ガス分圧は88と上昇していた。もともと左肺は小児期からの結核後遺症でつぶれていた(destroyed lung)。右肺も正常とはいえず、背側に軽度の肺炎をきたしていた。慢性呼吸不全の急性増悪だった。廃用性萎縮で3年前から寝たきり状態になっていた。理解力も低下していた。 酸素0.5~1L/分で調整して酸素飽和度が80%大後半ならばよしとするしかない。幸いに1L/分でぎりぎりに保たれるようだ。やるとすればNPPVだが、この方ではなじまないと思われる。
別の内科医院から紹介された82歳女性は、2日前から元気がなくなり、ほんやりしているという。肺炎もないし、原因となる感染症を指摘できないと紹介状に記載していた。確かに胸部X線・CTで明らかな肺炎はない。尿路感染症とも言い難い。胆嚢に結石が2個あったが、胆嚢炎の症状や所見はない。関節痛や筋肉痛もなかった。心雑音や敗血症性血栓もなかった。項部硬直もなかった。元気がないが話はできる。何だかわからないが、入院で経過をみることにした。血液培養提出後に抗菌薬を開始したが、根拠のない投与ということになる。