肺癌で緩和ケア中の80歳台男性が急にけいれん様の動きをして意識が低下した。病室に行ってみると、頻拍になっていて脈は触れるものの、血圧は測定できない。心電図モニターには心室頻拍の波形があった。リドカインを静注すると、多少心拍が遅くなったが、あまり効かなかった。もうだめかもしれないと思っていると、そのうちに100ちょっとの心拍数に戻った。循環器科医に聞くと、それは自然に治ったのだろうという。使うならアンカロンということだが、この状況で使うのは怖い気がする。とりあえず洞調律が続いている。
ここ数日は会話もできなくなっていて、週末までかなと予想された。食欲不振・全身倦怠感で入院して、ステロイド(デカドロン)を使用したが、食欲が戻ることはなかった。点滴と奥さんがいるときに数口アイスを食べたり、水分をとるくらいだった。ステロイドで一時的には食欲が出る癌終末期患者さんが多く、今回も一時的には良くなると思っていたが、ほとんど効いていなかった。癌性疼痛がない方で、このまま静かに看取るはずが、一時的にせよバタバタした展開になってしまった。