現在地域包包括ケア病棟に入院している92歳男性は、昨年末から誤嚥性肺炎で入退院を繰り返していた。ここ3か月は感染症というよりは、老衰による食欲不振で入退院を繰り返している。
娘さんは施設の介護士をしているが、胃瘻造設・経管栄養や高カロリー輸液は希望されず、末梢点滴とできる限りの経口摂取を希望された。もう食べられないかと思うと、少し食べ出しらりしていた(嚥下調整食2)。先週はある程度食事がとれて、そろそろまた退院にしようかと思っていた。
今週になって食欲が低下して、また点滴を再開した。珍しく腹痛を訴えて、腹部は平坦・軟だったが、アセリオ500mg点滴静注をした。次の日から下痢(水様便)が出て、便のCD検査の結果、抗原陽性・トキシン陽性でCDIと診断された。
抗菌薬投与は、5月に誤嚥性肺炎で治療した時が最後で、救急外来の先生(外部からのバイト)がメロペネムを使用していたので、引き継いでからも継続して、約1週間使用していた。
CDIの治療の治療だが、経口投与が厳しい。メトロニダゾール注射薬のアネメトロがあるので、薬事委員会に申請して取り寄せれば使用はできる。これまではNGチューブを挿入して、粉砕化してフラジールを注入していた。迷ったが、心房細動で抗凝固薬の内服もあることから古典的な(?)、NGチューブからの注入を開始した。
抗凝固薬はヘパリン点滴静注にできるわけだし、今時はアネメトロを使用すべきなのかもしれない。調べてみると、思ったほどの高額医薬品ではなかった。数日で腹部症状が軽快すると、途中から薬を飲めるかもしれないが、逆に数日投与してから経口投与に切り替えられるなら最初は点滴静注で入れればいということになる。院内採用薬として常備すべきか。